劇場公開日 2001年12月15日

スパイ・ゲーム : インタビュー

2001年12月18日更新

トニー・スコット監督を直撃

兄リドリーに勝ってる点は?

渡辺麻紀

「そりゃあタフな質問だな。えーと、僕はどちらが勝っているかなんて考えない。違っていると考えるんだよ」

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兄貴リドリーにどこが勝っていると思うかと尋ねると、躊躇しながらこう答えてくれた。「スパイ・ゲーム」を見るとつい、そんな質問をぶつけたくなるのだ。そう、トニーはもしかするとリドリーより演出が上手くなった? と感じてしまうからだ。

「10年前なら<ビジュアル派>とか<ストーリーテラー派>とか、監督をカテゴライズ出 来たけど、いまはそなんこと言ってられない。ぼくたち監督はすべてが出来なきゃいけない時代になったんだよ」

サスペンス、アクション、そしてドラマがある「スパイ・ゲーム」を手掛けるなら、おっしゃる通り、すべてを必要とされる。しかもこの映画、回想シーンとCIAの会議室がその大半を占めるという難しいシチュエーションなのだ。

「会議室シーンは大変だったよ。みんな動かずに座ってしゃべっているだけだからね。そ んななかで観客の興味を持続させるため、ぼくは役者たちがまるでチェスゲームをしているような感覚を作ったんだ。要するにマインドゲームだよね」

はるか離れたワシントンの会議室から、中国に拉致されたブラピを救出しようと秘密裏に画策するレッドフォード。その心の葛藤がトニーの演出によって浮き彫りにされるのだ。

「ぼくはドラマが上手く行くようにするためには、自分が使えるものは何でも使うんだ。今回もヘリのレスキュー・シーンは、パナマから男を救出した現実の事件のまったくのコピー(笑)。そのビデオを手に入れて勉強したわけさ」

トニーはその前作「エネミー・オブ・アメリカ」でフランシス・フォード・コッポラの「カンバセーション/盗聴」を<勉強>していた。

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「そうそう。で、今回は『コンドル』(笑)。『コンドル』はぼくにとってスパイ映画の最高作さ。そもそもこの企画をやろうと思った理由も『コンドル』に似てたからなんだ。しかもその主演スターだったレッドフォードまでいるし(笑)」

抑えたアクション、抑えたトーン、重きを置かれるマインドゲーム、そしてレッドフォード。確かに「コンドル」とよく似ている。

「“あの映画と似てますね”とか“あの映画のパクりじゃないですか”とかみんなが言うのを気にしたことなんてないよ。“ああ、そうだよ、パクったんだ”ってね。上手くやれば問題なんてないさ」

開き直ってる……なんて思っちゃいけない。そう言い切れるのは「上手くやってる」自信があるからなのだ。実際、今回も「コンドル」をパクるというよりオマージュを捧げ、しかもドラマは熱く役者は活かされ、演出は静と動のコントラストが見事! うーん、やっぱりリドリーより上かもしれない。

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