劇場公開日 2006年6月3日

ポセイドン : インタビュー

2006年6月2日更新

72年に公開され、ディザスター・ムービーの先駆けとなった大ヒット作「ポセイドン・アドベンチャー」を、「U・ボート」「パーフェクト・ストーム」などで知られる海洋映画の名手ウォルフガング・ペーターゼン監督がリメイクした「ポセイドン」。公開を前に来日したペーターゼン監督と主演のジョシュ・ルーカスに話を聞いた。(聞き手:編集部)

ウォルフガング・ペーターゼン監督インタビュー
「単なるリメイクではなく、時代に合わせた映画を作ったつもりだよ」

――「U・ボート」「パーフェクト・ストーム」に続き、「ポセイドン」を完成させ、“海の3部作”ができました。なぜ、これほどまでに海、そして水に惹かれるのでしょう?

ウォルフガング・ペーターゼン監督
ウォルフガング・ペーターゼン監督

「とにかく海が好きなんだ。ドラマの背景として、海ほど素晴らしいものはないと思う。海は地球上で最も偉大なエレメントのひとつだし、凄まじい破壊力がある。一方で、とてもロマンチックで心を癒すところもあり、幅広いドラマの背景としては格好だと思うんだ。ただ、今回はその海の魅力から発想を得たわけではなくて、現代社会にあふれる色々な不安、脅威へのメタファー(比喩)となるディザスター映画を撮りたいと思ったんだ。そこで、昔観た『ポセイドン・アドベンチャー』を思いついた。船が転覆し、乗客たちはひっくり返った世界で、金持ちも貧乏も、老いも若いも関係なく平等にサバイバルを強いられる。そんななかで、個人個人は臆病者や卑怯者になるかヒーローになるかを試される。そんな映画を作りたかったんだ。ここまで考えたあとで『ああ、また海の映画だ』と気づかされたんだ(笑)」

――オリジナルより約20分少ない上映時間でしたが、作品を短くした意図は?

「オリジナルの『ポセイドン・アドベンチャー』には船が沈没するシーンがなかった。それが不満でね。あれだけ爆発をしたら、ダメージも相当なはずで、短い時間で沈没するものなんだ。そのあたりの緊迫感を出さないといけないし、時間がないということを示すためには早いペースが必要だった。だから私は、最初からテンポを早くして、なるべく短い時間の映画にしなくてはと思っていたよ。いかに時間がないかという切迫感が出るようにね」

――オリジナルと比較して「これは負けていない!」というところは?

あらゆる恐怖が登場人物を襲う
あらゆる恐怖が登場人物を襲う

「リアルかつドラマティックな要素だね。我々は、災害時におけるリアリティを何よりも重視したよ。船が沈むシーンや、水が迫ってくる恐怖など、ありとあらゆる現実の恐怖を見せたつもりだ。また、オリジナルが持っていて、我々の作品が持っていない要素はイノセントなメロドラマだね。オリジナルはチープなユーモアやノスタルジアがあって、まさに70年代前半のフィルムメーキングなんだよ。とてもセンチメンタルな印象だね。でも、今日におけるディザスター映画は、センチメンタルになってはいけないんだ。時代のトーンが違う。オリジナルから35年経った今、我々の住む世界は人災、天災を含め、実に多くのトラブルがあり、非常にタフな状況下にある。時代に合わせた映画を作ったつもりだよ」

――“海の3部作”を終えて、この次は何を?

「まだわからないけど、『エンダーのゲーム』を知ってるかな? オースン・スコット・カードという作家による、宇宙で子供たちが活躍するストーリーなんだが、すごいシリアスなんだ。とても面白い作品で、これをやるつもりでいるんだ」

インタビュー2 ~ジョシュ・ルーカス インタビュー
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