劇場公開日 2006年4月8日

「ジョニー・デップの名演が光る」リバティーン live_at_luxorさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ジョニー・デップの名演が光る

2009年10月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

霧の立ち込める曇り空にドロドロの地面。
舞台となる中世のロンドンは王政復古の中、政治に宗教的な力も影響していた時代。

表面を取り繕ったような堅苦しい貴族社会の中に身を置きながら、
人々の目には人間の本質的な欲望のままに人生を楽しんでいるように映る主人公。

でもそれは社会へのシニカルな体現で、本人は満たされぬ深い思いを抱えたまま
いつしか身を滅ぼすまでに落ちていく…。

暗く哲学的な内容な上に卑猥な表現が満載なので、そこで引いてしまう人は無理かもしれません。
特に最近のジョニー・デップのファンの人が「パイレーツ~」や「チャーリー~」のイメージで観てしまうと
とんでもないことになると思いますのでご注意。R指定だそうです。

冒頭の時代背景のテロップから主人公の語りへと繋がる導入部分では物語に入り込みやすく秀逸。
序盤の伏線が後半~ラストに繋がってきたり、台詞のやり取りの1つ1つにも見ごたえがあります。

人間の本質的な所を突いている印象的なセリフが多いのも好きなところですね。

「反抗は誰にでもできるし愉快なものだ。だが人間いつかは何かを肯定せねば」
「自腹を切らなければ人生は学べない」
「人を嫌う理由は無知か嫉妬だ」 …などなど

自己啓発本に出てきそうな台詞の数々には、いちいち「そうだよなぁ~」と納得してしまいました。

その他、カメラワークや音楽の使い方でも「うまいなぁ~」と感じるところがありましたし
サマンサ・モートンやジョン・マルコビッチなど魅力的なキャストも個人的にツボです。

間違いなく賛否両論ありそうですが、人間の深い部分を壮絶に描き出した傑作。
ジョニー・デップ出演作の中では最も好きな作品の1つになりました。

※他サイトより転載(投稿日:2008/03/22 )

live_at_luxor