劇場公開日 2004年5月1日

ゴッド・ディーバ : 映画評論・批評

2004年5月1日更新

2004年5月1日より丸の内プラゼールほか全国松竹・東急系にてロードショー

エンキ・ビラルは観客に知的な挑戦を挑む

画像1

2095年のマンハッタン。その超高層ビルが林立する都市の光景は、たとえば「ブレードランナー」「未来世紀ブラジル」「フィフス・エレメント」などでお馴染みの、既視感を伴い、すでに懐かしくさえある摩天楼。それでも、上空にはピラミッドが浮かび、セントラルパークには異次元空間が出現するなど、色調と共に独自の異郷存在感は濃密。

そうした情景の中、死刑の執行猶予を得た古代エジプト神ホルス、ホルスの寄代として使われる政治犯、ホルスが探し求める過去の欠落した美女、連続殺人事件を追う刑事、暗躍する政治家など、多視点で語られるストーリーは、難解ではないが、およそ不親切に展開する。エンキ・ビラル監督のコミック作品(邦訳あり)に親しんでいる人は、彼の絵が実体化したかのようで感動を覚えるだろうが、大多数の観客は戸惑うばかりかもしれない。それでも、映像に目を奪われ、最後まで魅せられる仕掛けになっている。

生身の肉体で登場する人物はわずか3人で、あとはすべてデジタル処理された映像は、ヤリスギ感がないではないが、このやや観念的な作品の意図に沿った手法なわけで、原題も含め、観客に知的な挑戦を挑む異色作。

高橋良平

Amazonで今すぐ購入

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む
「ゴッド・ディーバ」の作品トップへ