がんばれ!ベアーズ ニュー・シーズン : 映画評論・批評

2005年9月27日更新

2005年9月23日よりみゆき座ほか全国東宝洋画系にてロードショー

戦争ではなく、野球をやろう!

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オリジナル版が作られたのは、もう30年近く前。タイトルを見てドキドキする自分の年齢をあらためて思い知らされるのだが、しかしドキドキするものは仕方がない。それくらい鮮烈な印象を残した映画だった。

ではその鮮烈さとは何かというと、掃き溜めのクズ・チームが更生するのではなく、彼らにしかできないやり方で、彼らなりの勝利をもぎ取ってしまうところである。出来損ないの少年・少女たちが、そのいびつさを矯正されるのではなく、いびつさと共に生きることを学び、そしてそれがどういうことかをまわりの大人たちも学ぶ。最終的には、野球というルールさえも、彼らの生き生きとしたいびつさが変えてしまうかもしれないと、見ているものに思わせてしまうのである。もはや最終的な勝利が問題ではない。彼らがそこでまさに生きて戦っているというそのことだけが問題なのだ。

そんなダイナミックな生きる力を、どのようにして伝えるか。リメイク版もあの手この手で少年たちのいびつなキャラを強調する。酔っぱらいの監督も同様。更にこの映画のポイントは、映画終了直前に映される星条旗である。いびつな人々によって構成されるアメリカ。それを政府が矯正・コントロールすることはできない。戦争ではなく、野球をやろう! そんな思いが胸一杯に広がる。

樋口泰人

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