「RRRを視聴された方にもおすすめしたい」サイラー ナラシムハー・レッディ 偉大なる反逆者 はらぱんまんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0RRRを視聴された方にもおすすめしたい

2023年10月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

知的

時代背景は『RRR』と同じく、イギリスに支配されているインドではあるが本作は趣が異なる。
『RRR』では、二人の男が友情を育み、踊り、ときにロマンスを交えながらも、体力・知力・そして信念でイギリスをボコボコにするという、全体的に明るい作品だと思う。一方の本作はまず、イギリスからの支配により形だけの領主だらけで、インドの中でも特に作物が育ちにくい地方から話が始まる。前半はナラシムハー・レッディは疲弊した民を勇気づけたり、あきらめきっている領主たちを団結させたりと、戦いに向けた準備になっており、その過程で、インド独自の祭や風習、宗教観を知ることができる。特に、穀物を徴収するイギリス軍に対し、ナラシムハーの教えに従って子供が立ちはだかる場面は胸が熱くなる。
後半はひたすら、ナラシムハー率いる反乱軍とイギリスとの戦いで、途中宗教が異なるインド人達も加わって、熱い展開にはなるのだが。残念なことに、独立を目指すのは皆同じであっても、誰もがナラシムハー・レッディのように強いわけではない。ナラシムハー・レッディの力量への妬み、負けてしまった後の不安、親もしくは子を想う気持ちなどから、裏切りが起こり、ナラシムハー・レッディは捕らえられ、最期は処刑されてしまう。
しかしナラシムハーが死しても、信念は死ななかった。現在のインドがイギリス支配地ではいことは皆さん御存知の通り。
エンディングでは、『RRR』よりも多くのインドの活動家達の似顔絵と、当時の映像が流れる。おそらく史実の反乱が数々の活動家のきっかけになったということなのだろう。

なお、私が視聴したのは10月29日で、公開初日でもなく、舞台挨拶などのイベントもなかったが、終演後に劇場内が明るくなると、方方から拍手が鳴り響いた。

しんかまぼこ