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塩谷瞬、故馬渕晴子さん遺作に万感の思い「役者の魂を伝えて」

2013年2月2日 17:10

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初日を迎えた「ばななとグローブとジンベエザメ」
初日を迎えた「ばななとグローブとジンベエザメ」

[映画.com ニュース] 東京と沖縄を舞台に父と息子の絆を描いた「ばななとグローブとジンベエザメ」が2月2日、東京の銀座シネパトスで公開初日を迎え、主演の中原丈雄塩谷瞬原田佳奈黒田福美佐藤B作矢城潤一監督らが舞台挨拶に立った。

15年前に家族を捨てた自由奔放な園田敦(中原)と、そんな父を反面教師にしながら弁護士を目指す息子・光司(塩谷)が、周囲の人々に支えられながら次第に親子の絆を取り戻していく姿を描く。

中原は、まもなく閉館を迎える「銀座シネパトスで上映されるということの喜び。裕福な子ではなく、食うや食わずで育て、今日皆で送り出したような状況なのでどういう風に育つか見守っていかないと。大きく羽ばたいていってくれれば」と感無量の面持ち。そして、「よくぞこれだけの俳優が力をあわせてやってくれたなと思う。全力を注いで生まれた子どもの1日目。皆さんの心が大きく育てていくんではないか」と客席に語りかけた。

塩谷は撮影を振り返り、「毎日が刺激の連続だった。主演の中原さんとはお父さんと息子役だけど、一緒に芝居をするシーンはほとんどなく、あるワンカットだけ。なので台本を読んだ状態からお互いのイメージを考えていた」。また、「家族の話という壮大なことを一言で表すのは難しいけれど、それが芝居の醍醐味。人はひとりじゃ生きていけなくて、家系図をひっくり返すと本当にたくさんの人に支えられて生きているんだなと実感した」と思いを馳せていた。

黒田は、「見るたびに新しくて筋が分かっているのに泣けてしまう、優しさがちりばめられた映画。縁を切ることができないからこそ他人よりも深く傷つけ合うのが家族であり、だからこそ絆を確認する。今年の話題作になると思う」と胸を張った。沖縄編に登場する佐藤は、「天気はいまいち曇天だったけど、おいしいお酒もいただき楽しかった。不倫の愛も描かれており、人間何が燃えるかというと不倫が燃える」と大胆発言。また、「じっくりと味わえる映画なのでシートにどっかり座って見て。でも、私の出番は終わりの方なので途中で寝たりなさらないで」と冗談交じりにアピールしていた。

昨年10月に他界した馬渕晴子さんの遺作となったが、矢城監督は馬渕さんの遺影を胸に「この小さい作品にこれだけの役者さんが集まってくれて感謝しかない。それに応えるには、一人でも多くの人に映画を見ていただくことしかない」。塩谷も、「最後まで僕たちに凛(りん)とした姿を見せてくれた。映画を見た皆さんで役者の魂を伝えていってほしい」と語った。

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