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コラム:FROM HOLLYWOOD CAFE - 第285回

2017年3月1日更新 小西未来

第285回:マーベル映画や「ウォーキング・デッド」の“聖地”アトランタがロケ地として好条件な理由は?

映画の都ロサンゼルスに住んでいるにもかかわらず、現場取材となると飛行機での出張になることが多い。エマ・ワトソン主演の実写映画版「美女と野獣」の取材はロンドンだったし、シリーズ最新作「エイリアン コヴェナント」はシドニー、「デアデビル」や「アイアン・フィスト」といったNetflixのマーベルドラマはニューヨーク、「ペット」と「SING シング」ではパリのイルミネーション・スタジオといった具合だ。さまざまな国や自治体が誘致を行っているため、ハリウッド映画やアメリカドラマの制作拠点が世界中に散らばっているのだ。

画像1 (C)2016 Marvel All rights reserved.

最近もっとも注目されているのが、米ジョージア州アトランタだ。1996年に夏季オリンピックが行われたことで知られる南部の都市は、かつてはエンターテイメント業界とは無縁の地だった。しかし、2008年にジョージア州が税優遇措置を導入すると、「ハンガー・ゲーム」シリーズや「ウォーキング・デッド」がアトランタをロケ地に選ぶ。その後、「スター・ウォーズ」や「007」シリーズの撮影スタジオとして知られるイギリスのパインウッドが新スタジオをアトランタにオープンすると、ここが大作映画づくりを手がけるマーベル・スタジオの拠点となり、「アントマン」から「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス」(5月12日公開)、「スパイダーマン ホームカミング」(8月11日公開)に至るまでここで撮影を行っている。

税優遇措置で誘致を行っている他の自治体と比較して、アトランタが秀でている点がいくつかある。まず、都会と大自然が共存しているので、アメリカを舞台にしたさまざまな物語に対応できる。実際、アトランタの郊外は「ウォーキング・デッド」そのままの風景が広がっていて、ドラマのファンには感動的だ。

画像2 (C) 2016 AMC Film Holdings LLC. All Rights Reserved.

また、アトランタは黒人向けの映画やテレビ番組でヒットを飛ばしているクリエイター、タイラー・ペリーの本拠地であることから、設備や機材、人材が充実している。さらに、カナダやイギリス、オーストラリアではなく、アメリカ国内だから移動時間が短いし、雇用を国外に流出させる後ろめたさがないのも重要なポイントだ。

最近は人気ドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のロケ地に選ばれている。昔ながらの街並みがそのまま残っているから、80年代を舞台にしたドラマには好都合なのだろう。

画像3 (C)Netflix. All Rights Reserved.

ちなみに現時点では、マーゴット・ロビーが主演する元フィギュアスケート選手トーニャ・ハーディングの伝記映画「I, Tonya(原題)」をはじめ、マーベルの「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー(原題)」「ブラック・パンサー(原題)」、大ヒットシリーズ第3弾「ピッチ・パーフェクト3(原題)」などの映画や、「24:レガシー」やリブート版「マクガイバー(原題)」などのテレビドラマの撮影が行われている。

ロケ地としてアトランタの最大の欠点は気温だ。南部にあるため、夏季は40度近くまで上昇するし、湿度も高い。「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」の空港を模したセットでのアクションシーンを見学したときは、「カット!」の声が響くたびに、携帯型の扇風機を持ったアシスタントが役者たちのもとに駆け寄っていた。Tシャツ姿のぼくですら汗だくだったので、全身を覆うコスチュームを着用した役者にとっては相当きつかっただろう。ただ、ロケーションとして晴らしい条件が揃っているのは間違いないし、役者も相応のギャラをもらっているので、不満の声は聞かれなかった。今後、アトランタ訪問がますます増えることになりそうだ。

[筆者紹介]

小西未来

小西未来(こにし・みらい)。1971年生まれ。ゴールデングローブ賞を選考するハリウッド外国人記者協会(HFPA)に所属する、米LA在住のフィルムメイカー/映画ジャーナリスト。「ガール・クレイジー」(ジェン・バンブリィ著)、「ウォールフラワー」(スティーブン・チョボウスキー著)、「ピクサー流マネジメント術 天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたのか」(エド・キャットマル著)などの翻訳を担当。2015年に日本酒ドキュメンタリー「カンパイ!世界が恋する日本酒」を監督、16年7月に日本公開を控える。

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