映画.comでできることを探す
作品を探す
映画館・スケジュールを探す
最新のニュースを見る
ランキングを見る
映画の知識を深める
映画レビューを見る
プレゼントに応募する
最新のアニメ情報をチェック
その他情報をチェック

フォローして最新情報を受け取ろう

検索

トミー・リー・ジョーンズが重視した“人間味”と東京国際映画祭への提言

2017年11月7日 12:00

リンクをコピーしました。
第30回東京国際映画祭コンペ部門で審査 委員長を務めたトミー・リー・ジョーンズ
第30回東京国際映画祭コンペ部門で審査 委員長を務めたトミー・リー・ジョーンズ

[映画.com ニュース] 記念すべき30回目の東京国際映画祭は、トルコの巨匠セミフ・カプランオール監督の近未来SF「グレイン」が最高賞の東京グランプリに輝き、閉幕を迎えた。コンペティション部門の審査委員長を務めた米俳優で映画監督のトミー・リー・ジョーンズが10日間を振り返った。

東京グランプリ受賞作「グレイン」は、近未来を舞台に、移民の侵入を防ぐ磁気壁に囲まれた都市に住む種子遺伝学者が、人類の危機を救うため、遺伝子改良に関する重要な論文を執筆中に姿を消した同僚研究者を探す旅をモノクロで描いた。ジョーンズは本作について「てのひらに置かれた穀物(グレイン)以上に人間味のあるものはないのではないだろうか」と評し、「古代の神話的な物語が現代に非常に密接な形で表現できている部分が魅力的だった」と感想を述べた。

コンペティション部門15作品の中でもっとも大きなテーマ性をもった作品と言えるが、「テーマの大小は検討しなかった。映画のテーマという尺度を図る定規はない」と断言。開幕時の審査員会見で表明した「政治的意図はない。人間の知的、感情的な人生の送り方など、そういったことに共通する“人間味の要素”を見ていく」との審査の方向性を貫いたと言える。

オスカー俳優のジョーンズの目にも、最優秀男優賞を受賞した中国のスター俳優ドアン・イーホン(「迫り来る嵐」)、最優秀女優賞に輝いた新星アデリーヌ・デルミ(「マリリンヌ」)は「とてもいい役者」と映った。「役者は物語の序盤、中盤、終盤としっかり物語を抱えて伝えていかなければならない。どの時点でも、登場人物が物語のなかに存在していること、キャラクターに課せられた役割を果たしていること、役者が登場人物を演じることで物語を運んでいることが大切だ」と評価のポイントを語る。

審査は「各作品の上映後、10~15分ほど時間を設け意見交換」を行い、日を重ねるにつれ作品ごとの比較も行ったという。「作品によって、とても気にいった人もいれば、好きになれなかった人も出てくる。そこで感想を話し合うことで、いろいろな思いをめぐらせ、新しい考えが出てきたりする」と、話し合いの過程で意見を集約したようだ。受賞作以外の評価については、「ある人がほかの人よりも推していた作品があったのは事実だが、話し合いの詳細を公表するのは差し控えておく」と言うにとどめた。

本年のコンペティション部門には、88の国と地域から1538作品が応募され、日本映画「勝手にふるえてろ」「最低。」の2作を含む全15作品が選出。ジョーンズは「それぞれが異なり、共通する概念などはなかった」と、部門全体としての傾向や一貫性を否定。「どの映画にもかならず欠点はある。完璧な人間がいないように、完璧な映画もない」と持論を展開した。

30回という節目を迎えた東京国際映画祭を「多様性という価値をもった立派な映画祭」と評するとともに、今後の成功と発展を祈念。しかし、他の映画祭にも共通する唯一の難点として、デジタル高画質/ブルーレイでの上映方式を挙げた。「監督の意図が忠実に表現できているのか、とくに色味や光の有無の部分で疑問に感じる。運営側はその点を考慮してほしい」と映画監督ならではの視点で指摘。「決して辛辣な批判ではない。ただ、フィルムメーカーが生み出そうとしている映画と、上映技師が壁に映し出そうとする映画の間には差異がありうるので、すべての映画祭でこの違いに敏感になってほしい」と提言した。なお、世界で唯一満足したのはカンヌ国際映画祭だそうだ。

マレーシア映画「アケラット ロヒンギャの祈り」に最優秀監督賞(エドモンド・ヨウ監督)、中国映画「迫り来る嵐」に最優秀男優賞(ドアン・イーホン)と最優秀芸術貢献賞(ドン・ユエ監督)を授与する結果となり、「アジアのパワーを感じたか?」という問いに、「特には。私にとって日本は外国ではないからね」と、親日ひいてはアジアへの親近感をアピールしたジョーンズ。次回は監督作を引っさげて東京国際映画祭へとの声に「イエス」と力強く答えた。

トミー・リー・ジョーンズ の関連作を観る


Amazonで関連商品を見る

関連ニュース

映画.com注目特集をチェック

関連コンテンツをチェック

シネマ映画.comで今すぐ見る

ファイヤー・ウィズ・ファイヤー 炎の誓い

ファイヤー・ウィズ・ファイヤー 炎の誓い NEW

「トランスフォーマー」シリーズで人気のジョシュ・デュアメルが主演するサスペンスアクション。消防士のジェレミーは、冷酷非情なギャングのボス、ヘイガンがかかわる殺人事件現場を目撃してしまい、命を狙われる。警察に保護されたジェレミーは、証人保護プログラムにより名前と住む場所を変えて身を隠すが、それでもヘイガンは執ようにジェレミーを追ってくる。やがて恋人や友人にまで危険が及んだことで、ジェレミーは逃げ隠れるのをやめ、大切な人たちを守るため一転して追う者へと変ぼうしていく。ジェレミーを守る刑事セラ役でブルース・ウィリスが共演。

猫と私と、もう1人のネコ

猫と私と、もう1人のネコ NEW

家事や家族の世話に追われて子どもらしい時間を奪われてしまう「ヤングケアラー」の問題をメインテーマに、主人公の女子高生が母親の介護や進学について悩みながらも、家族や学校以外の社会とかかわることで、次第に自分らしさを取り戻していく姿を描いたドラマ。 高校で美術部に所属する清瀬櫻は、東京の美大に進学することを希望していたが、娘が家から出ていくなんて思ってもいない母の環は取り合ってくれない。久しぶりに単身赴任から帰ってきた父の紘一は娘の意思に理解を示すが、そのことで環と言い争いになり、家を追い出されてしまう。ぎこちない母子だけの生活が始まった矢先、櫻のもとに環が職場で倒れたという連絡が入る。誰にも言えない気持ちを匿名でSNSに書き込み、偶然出会った野良猫に癒やしを求める櫻だったが、次第に追い詰められていく。 全編が福岡県内で撮影され、主人公の櫻役は東京と福岡で行われたオーディションで選ばれた吉名莉瑠が務めた。母の環役を歌手の一青窈が演じ、主題歌も担当。父・紘一役は津田寛治が務めた。NHK大河ドラマなどの助監督なども務めてきた祝大輔監督がメガホンをとり、監督自身が経験した保護猫活動の実態なども織り交ぜられている。

パンダザウルス

パンダザウルス NEW

動物園を経営するノーマンとマカリスターは、カリブ海にハネムーンで訪れた。ボートで海へ出たが沖へ流され、台風で船は沈没してしまい二人はある島へ打ち上げられた。そこでガチョウの卵のようなモノを見つけた。運よく救助された二人は卵を持ち帰るが、その卵から見たことのない“怪物”が生まれた。手に負えなくなった夫婦は経営する動物園に「パンダザウルス」として展示することに。しかし檻を破っていなくなってしまう。パンダザウルスの存在は次第に知れ渡り、大騒ぎに!精神科医は“怪物”の存在を否定しているが…果たして「パンダザウルス」とはいったい何なのか!?

愛のぬくもり

愛のぬくもり NEW

「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。

殺人鬼の存在証明

殺人鬼の存在証明 NEW

旧ソビエト連邦史上最悪の連続殺人鬼を追う刑事の戦いを、実在の連続殺人犯たちをモデルに描いたサイコスリラー。 1991年、何者かに襲われて怪我を負った女性が森の近くで保護された。女性の証言によると、彼女に怪我を負わせた犯人の手口は3年前に捕まったはずの連続殺人犯のものと酷似しており、3年前の犯人は誤認逮捕だったことが判明。本当の連続殺人犯は10年以上にわたって残忍な犯行を繰り返し、36人を殺害していた。捜査責任者イッサは新たな容疑者アンドレイ・ワリタを追い詰め、尋問をする中で彼こそが真犯人だと確信していく。やがて、ワリタの口から驚くべき真実が明かされる。 本作が長編デビューとなるラド・クバタニアが監督・脚本を手がけ、1978年から90年にかけて50人以上を殺害した容疑で逮捕されたアンドレイ・チカチーロをはじめとする数々の連続殺人犯をモデルに、刑事や精神科医、犯罪学者にインタビューをしながら犯人の人物像を組み立てた。刑事イッサ役に「葡萄畑に帰ろう」のニカ・タバゼ。

母とわたしの3日間

母とわたしの3日間 NEW

休暇をもらって天国から降りてきた亡き母と、母が残したレシピで定食屋を営む娘が過ごす3日間を描いたファンタジーストーリー。 亡くなって3年目になる日、ポクチャは天国から3日間の休暇を与えられ、ルール案内を担当する新人ガイドととも幽霊として地上に降りてくる。娘のチンジュはアメリカの大学で教授を務めており、そのことを母として誇らしく思っていたポクチャだったが、チンジュは教授を辞めて故郷の家に戻り、定食屋を営んでいた。それを知った母の戸惑いには気づかず、チンジュは親友のミジンとともに、ポクチャの残したレシピを再現していく。その懐かしい味とともに、チンジュの中で次第に母との思い出がよみがえっていく。 母ポクチャ役は韓国で「国民の母」とも呼ばれ親しまれるベテラン俳優のキム・ヘスク、娘チンジュ役はドラマ「海街チャチャチャ」「オーマイビーナス」などで人気のシン・ミナ。「7番房の奇跡」「ハナ 奇跡の46日間」などで知られるユ・ヨンアによる脚本で、「僕の特別な兄弟」のユク・サンヒョ監督がメガホンをとった。劇中に登場する家庭料理の数々も見どころ。

おすすめ情報

映画ニュースアクセスランキング

映画ニュースアクセスランキングをもっと見る

シネマ映画.comで今すぐ見る

他配信中作品を見る