リー・モーガン : ウィキペディア(Wikipedia)

リー・モーガン (, 1938年7月10日 - 1972年2月19日)は、ジャズのトランペット奏者。アメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれ。

来歴

ブルー・ノート・レーベルの代表的トランペッターである。1956年にディジー・ガレスピー楽団(1956年10月–1958年2月)に在籍し、その年には早くもブルー・ノートから『インディード!』でデビューし、その艶やかで伸びのある輝かしい演奏スタイルから天才トランペッター・クリフォード・ブラウンの再来とも呼ばれた。1957年3月24日に録音されたアルバム『』の中の「」の演奏で高い評価を得た。

1958年以降はアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズにも所属し、トランペット奏者として、また一部の曲の作曲を手がけた。この時代の演奏では「モーニン」「ソバ屋の出前が口ずさんだ」というのは、虚偽の噂話だったなどが知られている。

リー・モーガンのアルバムで特に有名なのは、1963年12月21日にレコーディングされてブルー・ノート・レーベルから発表された『ザ・サイドワインダー』で、ビルボードのLPチャートで25位まで上昇した。これは、当時のジャズ界では空前のヒット作であったヒットしすぎたために、弱小レーベルのブルーノートは、いったん倒産してしまった。シングルのジャズ・ロック曲「ザ・サイドワインダー」は、8ビートをジャズにいち早く取り入れた楽曲の1つで、人気曲でもある。

1972年2月18日、リー・モーガンはニューヨークにあったジャズ・クラブ「」でライブ演奏をしていたが、その2ステージ目と3ステージ目の合間の休憩時間に、年上の愛人(内縁の妻)ヘレン・モア () に拳銃で撃たれ、ただちに病院に移送されたが、ほぼ即死状態だった。33歳没。

2016年、この殺害事件の真相に迫ったドキュメンタリー映画『』が製作・公開され、同作は2017年に日本公開された。

ディスコグラフィ(リーダー作)

タイトル 録音年 レーベル
インディード!1956年ブルー・ノート
イントロデューシング・リー・モーガン1956年サヴォイ
(a.k.a. Lee Morgan Sextet)1956年ブルー・ノート
1957年スペシャルティ
1957年ブルー・ノート
シティ・ライツ1957年ブルー・ノート
ザ・クッカー1957年ブルー・ノート
キャンディ1958年ブルー・ノート
1958年ブルー・ノート
1960年ヴィージェイ
1960年ブルー・ノート
1960年ヴィージェイ
テイク・トゥエルヴ1962年ジャズランド
ザ・サイドワインダー1963年ブルー・ノート
サーチ・フォー・ザ・ニュー・ランド1964年ブルー・ノート
1964年 (発表 1980年)ブルー・ノート
ザ・ランプローラー1965年ブルー・ノート
ザ・ジゴロ1965年ブルー・ノート
1965年ブルー・ノート
1965年 (発表 1981年)ブルー・ノート
1966年ブルー・ノート
カリスマ1966年ブルー・ノート
1966年 (発表 1985年)ブルー・ノート
(Standards)1967年 (発表 1998年)ブルー・ノート
1967年 (発表 1979年)ブルー・ノート
1967年/1969年 (発表 1978年)ブルー・ノート
1967年ブルー・ノート
タル1968年 (発表 1980年)ブルー・ノート
1968年ブルー・ノート
1970年ブルー・ノート
リー・モーガン・ラスト・アルバム(The Last Session)1971年ブルー・ノート

参加アルバム

1956年録音

  • Hank Mobley With Donald Byrd And Lee Morgan
  • Jazz Message No.2 (ハンク・モブレー)

1957年録音

1958年録音

  • Peckin' Time (Hank Mobley-Lee Morgan)
  • Minor Move (ティナ・ブルックス
  • Monday Night At Birdland
  • Another Monday Night At Birdland
  • Moanin' (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • Drums Around The Corner (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • Benny Golson And The Philadelphians (ベニー・ゴルソン
  • Olympia Concert (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • Des Femmes Disparaissent (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • Au Club St. Germain (Art Blakey And The Jazz Messengers)

1959年録音

  • Just Coolin' (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • East Meets West (Ahmed Abdul-Malik)
  • At The Jazz Corner Of The World (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • Drums Around The World (フィリー・ジョー・ジョーンズ)
  • Brass Shout (アート・ファーマー
  • Les Liaisons Dangereuses (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • Kelly Great (ウィントン・ケリー)
  • The Curtis Fuller Jazztet With Benny Golson (Curtis Fuller With Benny Golson)
  • The Great Wide World Of Quincy Jones (クインシー・ジョーンズ
  • Introducing Wayne Shorter (ウェイン・ショーター
  • Africaine (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • Au Théâtre des Champs-Élysées (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • Paris Jam Session (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • Sliding Easy (カーティス・フラー)

1960年録音

  • The Big Beat (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • The Young Lions (The Young Lions)
  • Image Of Curtis Fuller (カーティス・フラー)
  • A Night In Tunisia (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • Like Someone In Love (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • Meet You At The Jazz Corner Of The World (Art Blakey And The Jazz Messengers)

1961年録音

  • A Day With Art Blakey 1961 (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • Tokyo 1961 (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • Pisces (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • The Freedom Rider (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • Roots & Herbs (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • The Witch Doctor (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • Art Blakey!!!!! Jazz Messengers!!!!! (Art Blakey And The Jazz Messengers)

1963年録音

  • No Room For Squares (ハンク・モブレー)

1964年録音

  • Evolution (グレイシャン・モンカー3世)
  • Indestructible (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • Art Blakey And The Jazz Messengers Play The Golden Boy (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • Night Dreamer (ウェイン・ショーター
  • Mr. Natural (スタンリー・タレンタイン)
  • 'S Make It (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • Jazz Of The 60's Vol.2〜Blues Bag (バディ・デフランコ)

1965年録音

  • The Night Of The Cookers (フレディ・ハバード)
  • Soul Finger (Art Blakey And The Jazz Messengers)
  • Hold On, I'm Coming (アート・ブレイキー)
  • Dippin' (ハンク・モブレー)
  • Jacknife (ジャッキー・マクリーン)
  • Consequence (ジャッキー・マクリーン)
  • A Caddy For Daddy (ハンク・モブレー)

1966年録音

  • Mode For Joe (ジョー・ヘンダーソン)
  • A Slice Of The Top (ハンク・モブレー)
  • Straight No Filter (ハンク・モブレー)

1967年録音

1968年録音

  • Think! (ドクター・ロニー・スミス)
  • Grass Roots (Andrew Hill)

1969年録音

1970年録音

  • Greasy Kid Stuff! (Harold Mabern)
  • Lift Every Voice (Andrew Hill)

1971年録音

  • Flute In (ボビー・ハンフリー)

1972年録音

  • Intensity (Charles Earland)
  • Charles Ⅲ (Charles Earland)
  • Funk Fantastique (Charles Earland)

共演者

  • グレイシャン・モンカー3世
  • カーティス・フラー
  • ハンク・モブレー
  • ボビー・ハンフリー
  • ペッパー・アダムス
  • ビリー・ハーパー
  • ジョージ・コールマン
  • ベニー・モウピン
  • ジョー・ヘンダーソン
  • ジジ・グライス
  • フィル・ウッズ
  • ハロルド・メイバーン
  • レイ・ブライアント
  • ウィントン・ケリー
  • バリー・ハリス
  • マッコイ・タイナー
  • ソニー・クラーク
  • ハービー・ハンコック
  • ダグ・ワトキンス
  • ポール・チェンバース
  • アート・テイラー
  • ビリー・ヒギンズ
  • フィリー・ジョー・ジョーンズ
  • グラント・グリーン
  • アート・ブレイキー

関連項目

  • クリフォード・ブラウン

外部リンク

参考文献

  • 『永久保存版ジャズ・ジャイアンツ大事典 Swing Journal 1997年6月臨時増刊』スイングジャーナル社、1997年、239頁。
  • 『季刊 ジャズ批評 No.87』ジャズ批評社、1996年、151-189頁。

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