トル・フースホフト : ウィキペディア(Wikipedia)
トル・フースホフト(Thor Hushovd、1978年1月18日 - )は、ノルウェー・グリムスタ出身の元自転車プロロードレース選手。2006年以前は「トル・ハスホフト」や「トル・ヒュースホーウッド(ノルウェー語での読み)Thor Hushovdの発音 - 発音ガイドForvo。」の表記が多く用いられた。
2000年のプロデビュー以来、2005年のツール・ド・フランスポイント賞を皮切りに数々の栄光を手中にしてきたスプリンター。 パワフルかつ切れ味鋭いスプリントを見せることから、名前に引っ掛けて「雷神」、あるいは「グリムスタの牡牛」の異名で呼ばれる。
経歴
1998年
- 世界選手権・U23タイムトライアルで優勝。
2000年
- クレディアグリコルでプロデビュー。
2001年
- ツール・ド・フランスのメンバーに選出され、第5ステージのチームタイムトライアルで勝利を飾る。
2002年
- ツール・ド・フランスの第18ステージで勝利。
2003年
- ツール・ド・フランスポイント賞争いで4位に入り、一流スプリンターの仲間入りを果たす。
2004年
- 選手権でタイムトライアルと個人ロードで二冠を達成。
- ツール・ド・フランスでは、第3ステージでノルウェー人として初めてマイヨ・ジョーヌを着用する栄誉に属し、第8ステージでも優勝。ポイント賞では惜しくも2位となったが、ロビー・マキュアンやエリック・ツァベルと白熱した争いを繰り広げた。
2005年
- 選手権のタイムトライアル部門で連覇を達成。
- ツール・ド・フランスで念願のポイント賞を獲得し、マイヨ・ヴェールに輝いた。
- ブエルタ・ア・エスパーニャ第5ステージ優勝。
- ミラノ〜サンレモ3位。
2006年
- ヘント〜ウェヴェルヘム優勝。
- ツール・ド・フランスではプロローグと最終ステージで勝利。
- ブエルタ・ア・エスパーニャでは第6ステージで勝利し、ポイント賞を獲得した。
2007年
- ジロ・デ・イタリア第7ステージ勝利。
- ツール・ド・フランスで、トム・ボーネンとロビー・マキュアンのポイント賞争いが注目される中、第4ステージで勝利し、底力を見せた。
- GP西フランス・プルエー2位。
2008年
- パリ〜ニースステージ勝利とポイント賞を獲得。
- カタルーニャ一周ステージ勝利とポイント賞を獲得。
- ツール・ド・フランス第2ステージ優勝。
2009年
- 2008年限りでクレディ・アグリコルが撤退したため、サーヴェロ・テストチームに移籍。
- ミラノ〜サンレモ3位。
- パリ〜ルーベ3位。
- オムロープ・ヘット・ニウスブラート優勝。
- ツール・ド・フランスではステージ優勝こそ第6ステージの1つにとどまったものの、平地ステージで安定してステージ上位に食い込み、山岳ステージとなった第8、17ステージでは逃げを決めて中間スプリントポイントを稼ぐなどして、ステージ6勝を挙げたマーク・カヴェンディッシュを10ポイント差で抑えて見事に2度目のマイヨ・ヴェールに輝いた。
2010年
- 選手権・個人ロードレースで優勝。
- ツール・ド・フランスではチームリーダーとして出場し、第3ステージで勝利。
- ブエルタ・ア・エスパーニャ第3ステージ勝利。
- パリ〜ルーベ2位。
- ミラノ〜サンレモ6位。
- 世界選手権・個人ロードレース優勝。
2011年
- ガーミン・サーヴェロに移籍。
- パリ〜ルーベ 8位
- ツール・ド・スイス 区間1勝(第4)
- ツール・ド・フランス
- 区間2勝(第13、16)
- 第2ST〜第8ST 総合首位(マイヨ・ジョーヌ)
- GP西フランス・プルエー 4位
2012年
2013年
- アークティック・レース・オブ・ノルウェー 総合優勝
2014年
ウイルスに苦しめられ引退。
レーススタイル
チームではスプリンターとして登録し、実際にスプリンターとして活躍しているが、過去2度のノルウェー選手権タイムトライアル優勝のほか、アマチュア時代の1998年にも世界選手権のU-23タイムトライアル優勝や、2006年のツール・ド・フランスのプロローグの個人タイムトライアル優勝、2008年のパリ~ニースとカタルーニャ一周でのプロローグ優勝などの実績を持ち、短距離ならばタイムトライアルスペシャリストに匹敵する独走力がある。このようなタイプはルーラーの素質も持つマリオ・チポリーニ以外には殆ど居ない。
ステージ序盤であれば1級山岳すら単独または一、二名のアシストで逃げ切れるという、珍しいタイプのスプリンターであるツール・ド・フランス2009の第17ステージ、最初から逃げ集団に乗り一つ目の1級山岳を通過、二つめの1級山岳山頂手前の50km地点から単独アタック、そのまま2級山岳を越え、1級山岳入り口となる130km地点までの80kmを単独で逃げ続けた。。このようなタイプはスプリントもできない事はないアレハンドロ・バルベルデやランス・アームストロング以外ではほとんどいないため、起伏に富んだコースでは他のスプリンターよりも有利になる。
スプリンターとしてはステージでの勝利を量産するタイプではないが、極端に大崩れすることなく堅実に上位に入る安定感や、山岳ステージの中間スプリントポイントをコンスタントに得ることが出来るので、2005年のツールドフランスではステージ0勝でポイント賞を獲得してしまうなど、ポイント賞争いにコンスタントに加わることの出来る原動力となっている(似たタイプとしてはエリック・ツァベル)。
前述の通り、上りもそれなりにこなし、ブエルタ・ア・エスパーニャやカタルーニャ一周、ドーフィネ・リベレなど厳しい山岳や、距離が長くアップダウンの多いクラシックレースでも遅れないなど、様々なコースに対応できるパンチャー的なスプリンターである。
エピソード
- 2006年のツール・ド・フランス第1ステージでゴールスプリント時に観客の持っていたボール紙製の応援グッズに接触して(本人はカメラと接触したと証言)上腕部がスッパリと切れ、着用していたマイヨ・ジョーヌが真っ赤に染まる惨事となったが血に染まったマイヨ・ジョーヌを見せるフースホフト 翌日も出走し、ステージ3位に入ってマイヨ・ジョーヌを奪還する闘志を見せた。接触した応援グッズは偶然にも、本人が獲得を目指していたマイヨ・ヴェールのスポンサーPMUが配布していた。この事故の影響か、2008年からマイヨ・ヴェールの色が変更されたのに合わせて、応援グッズの素材が柔らかいウレタン製に変更された。
- 実績十分なフースホストがあえてグランツールへの出場を保証されている訳でない、コンチネンタルプロチームであるサーヴェロへ移籍した事に対し驚きの声が上がったが、本人は「サーヴェロのバイクが乗りやすかったからサーヴェロにしたんだ」とコメントした。また2009年のツール・ド・フランスでは、快適さを重視した「RS」フレームを使用RSの紹介ページ し、チームが新型のデュラエース7900シリーズを採用する中、一人だけ前世代の7800シリーズを使用する第6ステージのゴールシーンを見ると、ブレーキレバーのトップから横にワイヤーが出ているので7800系と確認できる。 など、機材に対して独自の拘りがある。
- 1998年の世界選手権U23タイムトライアルで優勝を経験しており、その12年後、エリート部門のロードレースで再び優勝し、カテゴリーが異なるながらも両種目でマイヨ・アルカンシェルを獲得した選手となった。
主な成績
グランツール
- ジロ・デ・イタリア 通算1勝
- ツール・ド・フランス 通算10勝
- ブエルタ・ア・エスパーニャ 通算2勝
- ツール・ド・フランス ポイント賞(2005年、2009年)
- ブエルタ・ア・エスパーニャ ポイント賞(2006年)
- 2002年 ツール・ド・フランス 1勝
- 2004年 ツール・ド・フランス 1勝
- 2005年 ブエルタ・ア・エスパーニャ 1勝
- 2006年 ツール・ド・フランス 2勝 ブエルタ・ア・エスパーニャ 1勝
- 2007年 ジロ・デ・イタリア 1勝 ツール・ド・フランス 1勝
- 2008年 ツール・ド・フランス 1勝
- 2009年 ツール・ド・フランス 1勝
- 2010年 ツール・ド・フランス 1勝
- 2011年 ツール・ド・フランス 2勝
※これに加え2001年及び2011年のツールにおいてチームタイムトライアルで各一勝
ステージレース
- 2006年 カタルーニャ一周 ポイント賞
- 2008年 パリ〜ニース ポイント賞 カタルーニャ一周 ポイント賞
- 2003年 ドーフィネ・リベレ1勝
- 2004年 ドーフィネ・リベレ1勝
- 2005年 カタルーニャ一周1勝 ドーフィネ・リベレ1勝
- 2006年 ティレーノ〜アドリアティコ1勝 カタルーニャ一周1勝 ドーフィネ・リベレ1勝
- 2008年 パリ〜ニース1勝 カタルーニャ一周2勝
ワンデーレース
- 2010年 世界選手権 優勝(個人ロード)
- 2004年 NOR ノルウェー選手権 優勝(個人ロード・タイムトライアル)
- 2005年 NOR ノルウェー選手権 優勝(タイムトライアル)
- 2010年 NOR ノルウェー選手権 優勝(個人ロード)
- 2006年 ヘント〜ウェヴェヘルム 優勝
外部リンク
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2022/04/23 06:32 UTC (変更履歴)
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