中島央 : ウィキペディア(Wikipedia)
中島 央(なかじま ひろし、1975年 - )は、日本の映画監督・脚本家。東京都出身。
経歴
東京都で生まれる。東京都立高校を中退後、ニュージーランドの高校を卒業。
その後渡米し、サンフランシスコ州立大学映画学科を卒業した(2003年)。https://social-trend.jp/1581/
卒業後はアメリカ・ハリウッドを拠点に映画制作を行い、英語による長編映画2本と短編1本を監督した。すべての作品で脚本も自ら手がけている。
2011年、ハリウッド制作の英語作品 Lily (映画)で長編映画監督デビュー。同作および シークレット・チルドレン(2014年、FOX/NTTぷらら製作)はアメリカやヨーロッパの映画祭で上映され、日本国内でも劇場公開された。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000091.000003179.html
以降も映画・ドラマ・CMなど幅広く監督を務めている。これまでの監督作品は海外の国際映画祭で通算60件以上の受賞・ノミネート歴がある。
影響
中島 央は「映画はジャンルも時代も国も関係なく、すべて大好きだ」と語り、特にジャン=リュック・ゴダール、セルジオ・レオーネ、ミケランジェロ・アントニオーニ、ベルナルド・ベルトルッチ、アンジェイ・ワイダ、黒澤明の作品を挙げている。また、ウォン・カーウァイの『恋する惑星』に強い感銘を受け、映画館で三回鑑賞したことを明かしている。加えて、ポール・トーマス・アンダーソンやクエンティン・タランティーノなど、作家性の強いアメリカ映画からも大きな影響を受けているとしている。自身の作品については「自分が好きな映画をすべて詰め込み、これまでの映画体験を凝縮したものだ」と語り、映画とは「作り手の人間としての本質が、映画を通してそのまま映し出されるものだ」とも述べている。
中島 央は熱心な音楽愛好家としても知られており、U2、オアシス、デヴィッド・ボウイ、プリンス、ストーン・ローゼスなどのアーティストを「自分の人生を劇的に変えた音楽」として自身のSNSなどで挙げている。 さらに、The 1975やベックなどのロックアーティストに加えて、マイルス・デイヴィス、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン、グスタフ・マーラーら、ジャズやクラシック音楽の作曲家からも強い影響を受けていると述べている。また、最も影響を受け、尊敬している映画音楽家としてエンニオ・モリコーネの名を挙げている。
創作に対する探究心から日々読書に親しんでおり、これまでに読んだ多くの小説の中で特に印象に残っている作品として、ジョージ・オーウェル『一九八四年』、ダシール・ハメット『血の収穫』、アガサ・クリスティ『そして誰もいなくなった』、マーガレット・ミラー『まるで天使のような』、司馬遼太郎『燃えよ剣』などを挙げている。
嗜好
スポーツ観戦も趣味の一つで、野球やサッカーの熱心なファンとして知られる。日本のプロ野球や海外サッカーについては特定のチームを応援しているわけではなく、幅広く試合を追うスタイルであるとされ、競技全体に詳しいことでも知られる。一方で、メジャーリーグでは日本人選手が多く所属するロサンゼルス・ドジャースの「大ファン」であることを公言している。
ファッションに強い関心を持ち、コム・デ・ギャルソンやジョン・ローレンス・サリバンといった日本発のブランドを愛用している。これらのブランドの服を身にまとうことで、日本のファッション文化への敬意を示すとともに、日本の表現者として世界と向き合う意識を高めていると語っている。
近年の活動
2023年には初の日本語長編映画 TOKYO, I LOVE YOU を監督・脚本・製作。作品は現代の東京を舞台に、この大都市のさまざまな場所で生きる人々の姿を描いた群像劇である。https://locanavi.com/interview/director/hiroshi_nakajima_tokyoiloveyou/
中島 央監督は、映画『TOKYO, I LOVE YOU』の着想について、『パリ、ジュテーム』や『ニューヨーク、アイラブユー』といった都市をテーマにした映画に影響を受け、「東京版を自分の手で作りたい」と考えたことが出発点だったと語っている。監督自身は東京出身であり、「生まれ育った街・東京を、自分にしか見えない視点で描きたかった」と述べている。
作品のトーンについては、「ハイパーリアル(hyper-real)」という言葉を用い、 現実的でありながらどこか幻想的な東京の姿を目指したという。
ロケーション選定では、お台場や東京タワー、新宿など、象徴的な場所を取り上げているが、 単に観光地を映すのではなく、監督自身が心に描いてきた“自分の東京”を表現する意図があった。 特にお台場の「夢の大橋」やモノレールのシーンは、長年撮りたいと考えていたものだという。
本作を通じて若いクリエイターに伝えたいメッセージとして、「勝ち負けや成功・失敗といった二分的な価値観にとらわれず、自分らしくあること、好きなことを続ける勇気を持つことが大切」と語っている。
『TOKYO, I LOVE YOU』には、“自分自身を肯定しながら生きる”というテーマが込められているという。https://locanavi.com/interview/director/hiroshi_nakajima_tokyoiloveyou/
本作は各国の映画祭でグランプリをはじめ、作品賞・監督賞・脚本賞など複数の映画賞を受賞している。www.dreamnews.jp/press/0000333052/
受賞歴は実に40冠に及び、国際的な評価を確立している。https://www.dreamnews.jp/press/0000333052/
2025年からは、Amazon Prime Video、Lemino、U-NEXTなどでの配信が開始された。
また、2025年10月より、自身が監修するYouTubeチャンネル「スーパーフィルムメーカー・チャンネル」を立ち上げ、映画監督の視点から映画を分析し、映画文化そのものを祝福する番組『VIVA CINEMA!!!』の配信を開始した。
映画
- Lily (短編映画) (2007年、監督・脚本・製作)
- Lily (映画) (2010年、監督・脚本・製作、2011年日本公開)
- シークレット・チルドレン (2014年、監督・脚本・製作、2014年日本公開)
- SUMMER TOKYO (短編映画) (2014年、監督・脚本、ひかりTV VOD放送)https://eiga.com/news/20120409/5/
- TOKYO, I LOVE YOU (映画) (2023年、監督・脚本・製作)
受賞歴
『TOKYO, I LOVE YOU』主な受賞歴
- 2025年 シネマ・ワールドフェスト映画賞 (アメリカ)- グランプリ(年間最優秀作品賞) 受賞www.dreamnews.jp/press/0000321418
- 2025年 ニューヨーク国際映画賞 (アメリカ)- 最優秀監督賞 受賞
- 2025年 ロビンソン映画賞(イタリア)- 最優秀外国映画賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀撮影賞、最優秀男優賞、最優秀作曲賞 受賞robinsonfilmawards.altervista.org/august-2025/
- 2025年 バンコク映画賞(タイ)- 最優秀監督賞(批評家賞)受賞
- 2025年 インターナショナル・インディペンデント映画賞(アメリカ)- 最優秀脚本賞 受賞
- 2025年 ティエテ国際映画賞(ブラジル)- 最優秀女優賞(銀賞部門)、最優秀音響賞(銀賞部門)受賞www.dreamnews.jp/press/0000333052/
- 2025年 ニューヨーク・シティ国際映画祭(アメリカ) - 最優秀国際映画賞、最優秀作曲賞、最優秀プロデューサー賞 受賞www.dreamnews.jp/press/0000316773/
- 2024年 シネマ・ワールドフェスト映画賞 (アメリカ)- 最優秀映画賞、最優秀ドラマ作品賞、撮影賞、編集賞、作曲賞、美術賞、照明賞 受賞www.dreamnews.jp/press/0000321418
- 2024年 ハリウッド・インディペンデント映画作家賞(アメリカ) - 金賞(ドラマ作品部門)受賞www.hollywoodindependentfilmmakerawards.com/2024-winners?fbclid=IwZXh0bgNhZW0CMTAAAR3ICl7c07R7auq2Pe4Il-G36Y8moy8OJVik0b7FdJO3Z2zM18d_RRpLV4Q_aem_7vxgwJ2HqWj0LuBgadUN7Q
- 2024年 ロサンゼルス映画賞(アメリカ) - 最優秀ドラマ作品賞 受賞www.lafilmawards.net/single-post/september-2024
- 2024年 ロンドン・インディペンデント映画賞(イギリス) - 最優秀外国映画賞 受賞
- 2024年 スウェーデン映画賞 (スウェーデン)- 最優秀脚本賞 受賞https://swedenfilmawards.se/tokyo-i-love-you/
- 2024年 サンディエゴ映画賞 (アメリカ)- 最優秀外国映画賞 受賞https://sandiegomovieawards.com/quarterly-competition/fall-2024/award-of-excellence-fall-2024/
- 2024年 ワールド・クラス映画賞(メキシコ) - 最優秀アジア映画賞 受賞https://www.worldclassfilmawards.com/winners2024/
- 2024年 ローマ国際映画賞(イタリア) - 最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀プロデューサー賞 受賞
- 2024年 アコレード国際映画賞(アメリカ) - 優秀賞 特別賞(アジアテーマ部門)受賞https://accoladecompetition.org/awards-of-merit-september-2024/
- 2024年 アメリカン・フィルマティック芸術賞(アメリカ)- 特別賞 受賞
- 2024年 ワールド・プレミア映画賞(アメリカ) - 最優秀映画賞、最優秀ドラマ作品賞、撮影賞、編集賞、作曲賞、美術賞、照明賞 受賞https://www.facebook.com/p/World-Premiere-Film-Awards-100057576664735/
- 他、2024年から2025年にかけて複数の国際映画祭で受賞多数
2010年 映画「Lily」
- ロサンゼルス・ムービー・アワード 2010 / 長編映画部門HONARABLE MENTION受賞
- ザ・アコレード 2010 アワード・オブ・メリット受賞
- アクション・オン・フィルム国際映画祭 2010 -ノミネート- 最優秀作品賞ドラマ部門
2009年 映画「Lily」
- メキシコ国際映画祭2009 シルバー・パーム・アワード受賞
- アクション・オン・フィルム国際映画祭2009 -ノミネート- 最優秀作品賞ドラマ部門
- アクション・オン・フィルム国際映画祭2009 -ノミネート- 最優秀撮影賞
- アクション・オン・フィルム国際映画祭2009 -ノミネート- 最優秀音響賞
- アクション・オン・フィルム国際映画祭2009 -ノミネート-最優秀サウンドトラック賞
2007年 リリィ(短編映画)(原題:Lily)
- 全米アメリカン・ジェム・脚本コンテスト2006 TOP25脚本賞受賞
- 第40回ヒューストン国際映画祭 最優秀短編作品賞(プラチナム・アワード)オリジナル・コメディ部門受賞
- アクション・オン・フィルム国際映画祭2007 最優秀楽曲受賞
- エヴァーグレイズ国際映画祭(南アフリカ)金賞・最優秀短編作品賞受賞
- スワンシー国際映画祭2007(イギリス)-ノミネート- 最優秀短編作品賞
- アクション・オン・フィルム国際映画祭2007 -ノミネート-年間最優秀監督賞
- アクション・オン・フィルム国際映画祭2007 -ノミネート-主演女優賞
- アクション・オン・フィルム国際映画祭2007 -ノミネート-最優秀撮影賞
英語オリジナル脚本作品
2006年
- フィルムメーカー国際脚本コンペティション2006 -エイス・ファイナリスト <長編映画脚本“ホワイトルーム”>
- フィルムメーカー国際脚本コンペティション2006 -エイス・ファイナリスト<長編映画脚本“リピート・アフター・ミー”>
- 全米フェイド・イン・アワード脚本コンテスト2006 -クォーター・ファイナリスト <長編映画脚本 “ホワイトルーム”>
- アメリカン・ジェム国際短編脚本コンテスト2006 - TOP25賞<短編映画脚本 “リリィ”>
2005年
- 全米スクリーンプレイ脚本フェスティバル2005 -フィナリスト<長編映画脚本 “リピート・アフター・ミー”>
- スクリプトルーザ国際脚本コンペティション2005 -セミ・ファイナリスト <長編映画脚本“ホワイトルーム”>
2004年
- 全米スクリーンプレイ脚本フェスティバル2004 -準グランプリ-アクション・アドベンチャー作品部門<長編映画脚本“ホワイトルーム”>
外部リンク
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2025/11/13 10:43 UTC (変更履歴)
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