矢島晶子 : ウィキペディア(Wikipedia)
うえち あき(本名:矢島 晶子〈やじま あきこ〉、1967年〈昭和42年〉5月4日 - )は、日本の女性声優。新潟県柏崎市出身、神奈川県川崎市宮前区育ち。アクロスエンタテインメント所属。パナワークスと業務提携。(かつてはAIR AGENCYと業務提携していた)。日本芸術専門学校特別講師。2024年7月31日まで本名で活動していたが、同年8月1日をもって現在の芸名に変更した。
経歴
新潟県柏崎市で誕生し、2歳か3歳のころに家族で引っ越した神奈川県川崎市宮前区で育つ(インタビュー:2015年7月23日、『ホーム・アローン〈日本語吹替完全版〉コレクターズ・ブルーレイBOX』封入の「インタビュー集」からの抄録)。
演劇に興味を持った経緯は、小学校5 - 6年の時のクラブ活動で、演劇クラブで初めて演劇に触れ、「とても引っ込み思案で、小さい頃からからかわれたりもしていたものの、演技をしてる時は自分じゃないものになれることが楽しい」と感じたことがきっかけだった。小学生の頃から少年役を演じるのが好きであった。本人曰く「少年はいつもはきはきしており、活発で元気でくよくよしない、自分の言いたいことも言えるとそういうイメージがあったことから少年役に憧れていた」という。
以降、小学校から短大まで演劇部に所属していた。中学生の頃より、劇団の養成所に通ってアルバイトをしながら舞台俳優を目指そうと考えていたが、父親に反対されて短大まで進学した。
高校卒業後は、社会福祉に興味があったことから、淑徳大学短期大学部社会福祉学科へ進学。保育士の資格を取得する。在学当時は社会福祉の仕事に就くことを考えていたが、障害者施設や保育所での実習を通して、「ここに私が入っても役に立たない」と思い諦めた。
短大卒業後は和菓子屋「とらや」へ正社員として就職し、本店で店頭販売員をしていた。入社2年目半ほど経ってから、劇団青年座の夜間養成コースに通い始める。当初は「趣味でもいいから」と思っていたが、「やっぱりお芝居が好きかも知れない」と考えを改めた。青年座の研究生の試験に受かるつもりで、とらやを退職したが、その試験には落ちてしまった。
途方に暮れていたところ、青年座の夜間コースの講師だった演出家が、個人的に教室を開くということを聞き、とらや銀座店の喫茶室でアルバイトをしながら参加。当時は小劇団ブームで、友人が所属していた劇団に「1度でいいからお客さんの前で演技をしてみたい」と頼み込み、舞台出演することになった。そうして長島雄一(現:チョー)の娘役として舞台に立ち、長島を観に来ていたぷろだくしょんバオバブのマネージャー(当時)兼声優のたてかべ和也の目にかかりスカウトされた。
オーディションを経てテレビアニメ『アイドル伝説えり子』の主人公・田村えり子役で声優デビューすることになった。えり子役が決まったあと、たてかべの計らいでマイクワークに慣れるため、声優の学校へ連れられるなどの練習の場が与えられた。そして、機内版『ロジャー・ラビット』の収録スタジオへ連れられて、端役として初めてアフレコに参加した。そのため、声優としてのデビュー作は『ロジャー・ラビット』となる。
なお、声優デビューし『アイドル伝説えり子』に出演後も2年間から3年間はとらやでのアルバイトを続けていた。
2010年4月をもってぷろだくしょんバオバブを退所し、2015年9月1日より、しばらくの間AIR AGENCYと業務提携を行っていた。2024年8月1日よりアクロスエンタテインメントの所属になり、あわせて芸名を矢島晶子からうえちあきに改名したと発表した。
2017年1月9日、テレビ朝日にて放映された『人気声優200人が本気で選んだ!声優総選挙!3時間SP』で第16位に選ばれる声優200人が本気で選んだ「声優総選挙2017」結果発表 - アニメイトタイムズ。
近年は、沖縄県を拠点に活動するナレーター・声優のフリーランスチーム「パナワークス」に参加しており、沖縄県での活動も多いPana-Works (パナ・ワークス ) 公式サイト。
人物
声種はソプラノ。
『クレヨンしんちゃん』の野原しんのすけの声を1992年4月放送開始から26年3か月にわたって担当していたほか、『ホーム・アローン』シリーズ(ケビン)や『スター・ウォーズ エピソードI』(アナキン・スカイウォーカー)、『シックス・センス』(コール)など、子役の吹き替えを多く担当している。
また、原恵一監督作品の常連でもあり、原も藤原啓治共々「いつも僕の作品にご出演頂いています」とコメントしている。また、『百日紅 〜Miss HOKUSAI〜』での矢島の演技に関して「男の子の声は天才的にうまかった」と評価している。
趣味はインテリアコーディネート、一人旅、絵本読み聞かせ。特技はインドネシア語(ちょっと)、エセウチナーグチ。
資格は防災士、淑徳大学客員教授、普通自動車免許、保育所保母免許。
父親が自営業であり、最初に洋品店のようなのをし、上手くいかず潰れ、川崎市に引っ越してきてから、父親は反物をバイクで売り歩いて、母親が仕立てをしていた。その後、父親は保険会社の代理店を始めたという。兄と弟がいる。
エピソード
子供の頃から芝居が大好きで舞台女優を目指しており、中学時代に『ガラスの仮面』を読んで北島マヤの演劇への情熱に強く共感し、憧れた。2005年版のアニメでは北島マヤのライバルである姫川亜弓を演じることになる。
子供の頃に見たアニメは、『デビルマン』『タイムボカンシリーズ』、『はじめ人間ギャートルズ』など。
声優、ナレーターである矢島正明と同姓のため、声優業界では姓で呼ばれることは少ない。愛称も名前に由来する。
デビュー初期
声優としてのデビューのきっかけになった、『アイドル伝説えり子』の田村えり子役のオーディションに受かった理由は、「マイクの乗りがとてもよかった」とのことだが、一方で「業界一小さい声」とも言われたという。
『アイドル伝説えり子』の田村えり子役のオーディションに受かり、声優の勉強をしていたある日、たてかべ和也に「矢島行くぞ」と言われ、機内版『ロジャー・ラビット』の収録スタジオへ連れて行かれた。矢島は見学するものだと思っていたが、いきなり台本を渡されてペンギンなどの端役を振られ、初めてアフレコに参加することになった。しかし、多くの人がいるスタジオの中で、自分の役が回ってきてもマイクに上手く立てず、監督に怒られたり周りに迷惑をかけることになり、帰る頃には泣いてしまった。
『アイドル伝説えり子』での声の芝居には不慣れだったが、えり子の母親役であり、当時同じ事務所の先輩だった滝沢久美子からブレスや立ち位置などアドバイスを受け、一年間えり子の声を演じきった。
なお、えり子の歌を担当する田村英里子のレコード音源が使えず、矢島が歌唱しなければならないシーンがあったが、「自分の歌が下手(歌うと半音上がっていたり下がっていたりする)」という理由から嫌っていた。しかし、それでも収録しなければならず、居残りをしたこともあった。また、えり子のライバルである、朝霧麗の歌を担当した橋本舞子のライブへ、音響監督に連れられて見学したこともある。
とらやの正社員を辞めて、声優としてデビューしたことは、父親に内緒だった。ある時、親戚が父親に対し、矢島が声優をしていることを話してバレてしまった。父親から怒られたものの、矢島は父親の涙を見て謝った。その後、『クレヨンしんちゃん』での出演を通して、父親から認められるようになった。
クレヨンしんちゃん
『クレヨンしんちゃん』の野原しんのすけの演技と声は、1992年のアニメ開始当初は独特の抑揚が無く、発声自体もかなり高音であった。1993年頃を境に徐々に現在の声に変わっていった。現在のような演技に変化した理由は、原作の作風の変化を受けてアニメも徐々に演技が変化していったからである。矢島自身も演技の変化に途中で気付き、大熊昭音響監督に「1回目と今とでは全然違うんですけど大丈夫ですか?」と訊いたが、「大丈夫です!」と軽く言われたので、「そういうものなのか」と思うようにした。
なお、初期から存在する、しんのすけの特徴的な笑い方は、矢島の弟を真似している。
2018年6月1日、テレビ朝日は同年6月29日の放送を最後に矢島がしんのすけ役を降板すると発表した『クレヨンしんちゃん』しんのすけ役・矢島晶子が降板発表 「声を保ち続ける事が難しく」 オリコン 2018年6月1日。。矢島本人からの申し出があり、番組の制作スタッフと協議を重ねた結果、降板が決定した。矢島は次のようにコメントを寄せた。
矢島はしんのすけの声について、降板前年に「ここまで作ってくると、結構疲れてきますよ」と述べており、収録後は確実に声が荒れることから、女の子役など場合によっては別作品のオファーが来ても断らざるを得ないとも明かしていたアニメ「クレヨンしんちゃん」しんのすけ役・矢島晶子が降板 本人から申し出 スポーツニッポン 2018年6月1日。。
テレビ朝日は2018年6月14日、しんのすけ役の後任に小林由美子が決定したことを番組サイトにて発表した。小林は7月6日放送分から担当している。
小林とは小林の2024年4月22日付のブログで、矢島と対面しての挨拶が叶ったと明かされており、その際矢島から「しんのすけをたのんだゾ〜!」というメッセージも貰ったと明かしている。
出演
太字はメインキャラクター。
テレビアニメ
劇場アニメ
OVA
Webアニメ
ゲーム
ドラマCD
- 愛していると言ってくれ。(吉峰真由子)
- あかやあかしやあやかしの シリーズ(もみじ)
- あかやあかしやあやかしの アンソロジードラマCD1「かくれんぼ」
- あかやあかしやあやかしの アンソロジードラマCD2「かげふみあそび」
- あかやあかしやあやかしの ドラマCD
- アルジェントソーマ “if” 〜for the future Lovers〜(クローカ)
- Weiß kreuz Dramatic Collection I The Holy Children(水澤みな)
- ヴァンパイアハンター ドラマCD(アニタ)
- X CHARACTER FILE 6 YUTO&SEISHIRO(雪華)
- おと×まほ(白姫彼方)
- 巌窟王audio drama異形の貴公子(エデ)
- 銀の勇者 ドラマCD(水の精霊)
- 紅心王子(ロビン)
- 高機動幻想ガンパレード・マーチシリーズ(新井木勇美)
- ゴーストハント(吉見克巳)
- 最遊記2(芳茗)
- THE ビッグオー"WALKIMG TOGETHER ON THE YELLOW BRICK ROAD"(R・ドロシー・ウェインライト)
- 絢爛舞踏祭 ザ・マーズ・デイブレイク[希望号DISC](サーラ・シェーシャ)
- JOKER FILE 1 - 2(女ジョーカー)
- 少年陰陽師 天狐編(晶霞)
- 新機動戦記ガンダムW BLIND TARGET(リリーナ・ドーリアン)
- ストロベリー・デカダン(深草柚以子)
- それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ Action-2(アルバート)
- ASUKA2(鈴花麗)
- TARAKO ぱっぱらパラダイス(ダウ)
- テイルズ オブ リバース vol.1 - 4(アニー・バース)
- 天使禁猟区 星幽界編2(ティアイエル、ナレーション)
- 天然!絶滅ヒーロー!! 1 - 2(ベルベット)
- ドルアーガの塔 〜the spoon of URUK〜(カイ)
- ドルアーガの塔 〜the fork of URUK〜(カイ)
- 夏目友人帳(子狐)
- ハイパーあんな(沢霞)
- 覇王大系リューナイト シリーズ(パッフィー・パフリシア)
- 覇王大系リューナイト CDシネマ 1「ブラボー砦の決闘」(ジェーン)
- 覇王大系リューナイト CDシネマ 2 - 4「ティア・ダナーンの闘い」
- アースティア密着24時 世界まるごとリューナイト
- 続・アースティア密着24時 世界まるごとリューナイトテレビ
- 呪われたアデュー! リュー使い最大の危機!!
- 覇王大系リューナイト外伝 聖騎士の約束(パティ)
- 覇王大系リューナイト CDシネマ「カイオリスへの旅立ち」
- 爆走兄弟レッツ&ゴー!! シリーズ(三国チイコ、ジョー)
- 爆走兄弟レッツ&ゴー!!GIRL〈レディース・グランプリ開幕!!〉
- 爆走兄弟レッツ&ゴー!! 超青春ドラマCD 第2弾
- はやて×ブレード1 - 3(天地ひつぎ)
- 陽だまりのピニュ(丸尾修子)
- GファンタジーコミックCDコレクション ファイアーエムブレム暗黒竜と光の剣 vol.3 風の軌跡(カチュア)
- After2(チョビ)
- 封殺鬼(真弥)
- BLOOD ALONE 3(モトエ)
- ペルソナ2 罪と罰 〜果てしなき青春〜(天野舞耶)
- プリンセスナイン 如月女子高野球部 CDドラマ 燃える対決!裸のナインたち(堀田小春)
- 放課後のトム・ソーヤー(田代優子)
- ぽっぷるメイルパラダイス4・5(ダウ)
- 真夏の恋人(若葉葵)
- 魔法少年マジョーリアン(ジェーン太)
- まもって守護月天!(山野辺翔子〈初代〉)
- もう一度ONLY YOU(紀子)
- ヤンデレ彼女(吉本聖)
- 悠久幻想曲3 Perpetual Blue マキシシングルコレクション Vol.4(ビセット・マーシュ)
- 勇者特急マイトガイン 嵐を呼ぶハネムーン(吉永サリー)
- ルイの魔裁判1 - 2(ミケット)
- ルードヴィッヒ革命(ブランシュ)
オーディオドラマ
- 新機動戦記ガンダムW Frozen Teardrop 次なる戦い(2014年、リリーナ・ピースクラフト)
吹き替え
担当俳優
映画(吹き替え)
ドラマ
アニメ
パチンコ
- CRホットギミック(2002年、雀犬)
- CRフィーバースター・ウォーズ ダース・ベイダー降臨(2008年、アナキン・スカイウォーカー〈少年〉)
- ぱちんこ ガラスの仮面(2020年、姫川亜弓)
映画
- 猫目小僧(2006年、猫目小僧の声)
ラジオ
- ポリケロいろいろ(♯141ゲスト)
- ポリケロこんじゃく(♯47ゲスト)
- NHKラジオ第2放送・おはなしの旅
- 『マッチ売りの少女』
- 『風およめさん』
- 『母をたずねて三千里』
- 超!A&G+ライブラリー「ホンバン。」(第49回 2011年8月9日 ゲスト)
- Sweet&Bitter(2018年10月 - 2019年3月、2019年10月 - 2020年3月、ラジオ沖縄)
CMナレーション
のはらしんのすけ関連
- クレヨンしんちゃん関連CM
- NITTOHNE「クレヨンしんちゃんのクリーミーココア」(1992年 - 1993年)
- 三重県観光連盟『おもてなし王国、三重県』(2001年)
- ニッポンレンタカー(2004年 - 2010年)
- オロナイン液
- リクルート賃貸版
- バンプレストゲーム「クレヨンしんちゃん」
- バンダイ「おっ! チョコビ」・「チョコビ」
- ナック「クリクラ」
- 西宇和農業協同組合「にしうわみかん・オレンジ」
- すき家「やきそば牛丼」
- サークルKサンクス「おにぎり」
- ファブリーズ
- 花王「アタック」
- レオハウス
そのほかのCM
- 健栄製薬 『感染列島×手ピカジェル』(アライグマとの二役)
- バンプレスト『ぷよぷよ』関連
- 『す〜ぱ〜ぷよぷよ』
- 『ぷよぷよ(ゲームボーイ版)』
- 『す〜ぱ〜なぞぷよ ルルーのルー』
- バンプレスト『スーパーロボット大戦COMPACT for WonderSwanColor』(2001年)
その他コンテンツ
- 地球ドラマチック「インド・走り続ける少年」(2007年、ボイスオーバー)ブディア・シン少年
- 猫弁と透明人間(2013年4月22日、テレビドラマ)タイハクオウムの声
ディスコグラフィ
キャラクターソング
- 公文式による教材
- 勇者特急マイトガイン 歌のアルバム - 「サリーのトクトクバイト情報」「私のバイトウィークリー」他
- 機動戦艦ナデシコ 明日の艦長はキミだ - 「Delicious Island」
- 覇王大系リューナイト ヴォーカル・コレクション - 「Angel Flower」
- バトルアスリーテス大運動会 音楽篇 1 - 「NUDE」他
- 新機動戦記ガンダムW OPERATION 4 - 「愛はまだ泣かない」
- セラフィムコール ミニ・サウンドトラック「洋菓子の味」 - 「それから…」他
- フィギュア17 つばさ&ヒカル …いつかこの場所で… - 「ここにいるよ」他
- リトルラバーズ シーソーゲーム Little Love Letters SECOUND MAIL緑ヶ丘高校 神藤ゆりか - 「写真は色褪せていく、でも…」他
のはらしんのすけ名義
- オラはにんきもの※声優が歌うアニメキャラクター名義のシングルとしては、史上初のオリコンの10位以内を記録
- パリジョナ大作戦(マロン公しゃく&のはらしんのすけ)
- パカッポでGO!
- とべとべおねいさん(with アクション仮面〈玄田哲章〉)
- オラたちはにんきもの(さっちゃん&しんちゃん名義、with 小林幸子)
- ユルユルでDE-O!
注釈
出典
外部リンク
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/12/29 14:05 UTC (変更履歴)
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