美川陽一郎 : ウィキペディア(Wikipedia)
美川 陽一郎(みかわ よういちろう、1918年3月2日 - 1976年6月2日)は、日本の俳優である。本名は三川 義一(みかわ よしかず)、旧芸名は美川 洋一郎。東京市生まれ。
来歴・人物
世田谷中学(私立)を卒業後、義母との折り合いが悪く家出、17歳の時に榎本健一の付き人となったのが芸能界入りのきっかけである。1937年、19歳の時に新国劇に入団、当初から老け役を得意とし、『白野弁十郎』、『大菩薩峠』などに出演した。
終戦後の1952年、映画『次郎長三国志』(東宝、マキノ雅弘監督)の次郎長役に抜擢され、新国劇を退団するが、東宝の創業者・小林一三の意向で、次郎長役は小堀明男に決定したため、美川は端役に回された。
失意の時期を経て日活に移籍、芸名も「美川洋一郎」から「美川陽一郎」に改め、老け役で数々の作品に助演した。1963年、TBSの刑事ドラマ『七人の刑事』のレギュラー、ベテランの小西刑事役に抜擢され、注目を浴びた。
以降、多くのテレビドラマに脇役で出演していたが、1976年6月2日に肺炎で急死した。。当時レギュラー出演していた『必殺仕業人』(16話まで出演)と『遠山の金さん』(40話まで出演)の2作品が遺作となった。
本人は老け役を好み、実年齢より老けて見られることこそ演技力を評価されるものと思っていた。TV中心となって活躍するようになってからは、特に善良な老人役を好んで演じており、その結果時代劇ではほとんど切られ役となる。また、『仮面ライダー』『ミラーマン』などで誘拐される博士役も多かった。一度だけ、時代劇で黒幕的な悪役を嬉々として演じている。また、『太陽にほえろ!』では石塚誠(竜雷太)が七曲署への転属する前の署の元同僚役を演じている。
晩年は、『遠山の金さん』で知り合った杉良太郎主催による明治座の舞台や、鳳啓助・京唄子が主催する唄啓劇団による京都南座の喜劇の舞台の常連となっていた。また前述のとおり、本人は老け役での評価を生きがいとしており、初老の警官ものを企画しており、病気を患わなければ実現したかもしれない。
プライベートでは、新国劇在籍中に宝塚歌劇団から移籍した對馬衣津美と結婚し、2男をもうけた(長男:寿一、二男:誠一)。
本籍が世田谷区三軒茶屋であったこともあり、何度か転居するも世田谷から離れることはなかった。車の運転は苦手であり、撮影現場へはいつも妻が送り迎えしていた。見栄張りの面があり、当時日本に数台しかなかったイギリスのバンデンプラス・プリンセスを愛車としていた。
出演作品
映画
- 次郎長三国志(1952年、東宝)
- 俺は犯人じゃない(1956年、日活)
- 死の十字路(1956年、日活)
- 肉体の反乱(1957年、日活)
- 黒い雪(1965年、第三プロ)
- 女は復讐する(1966年、松竹)
- 七人の刑事 終着駅の女(1968年、日活)小西刑事
- 玄海遊侠伝 破れかぶれ(1970年、大映) - 正一
- 高校生心中 純愛(1971年、大映)
- 狐のくれた赤ん坊(1971年、大映) - 鎌田大学
テレビ
- 鉄人28号(NTV・松崎プロダクション、1960年) - 敷島博士
- 七人の刑事(TBS・1961年 - 1969年) - 小西刑事
- 隠密剣士 第一部・第二部「忍法甲賀衆」(TBS・宣弘社、1962年 - 1963年) - 松平定信
- 風雪 第7回「開化新商法」(NHK、1964年) - 高林
- 特別機動捜査隊 第148話「老刑事の死」(NET・東映、1964年)
- 青春とはなんだ 第10話「風に立つ」(NTV・東宝、1965年)
- ライオン奥様劇場・続芸者っ子・下町育ち(CX・NMC、1965年)
- おはなはん(NHK、1966年 - 1967年)
- 東京警備指令 ザ・ガードマン 第54話「秘められた愛情」(TBS・大映テレビ室、1966年)
- 銭形平次 (CX・東映)
- 第23話「闇夜の目」(1966年) - 森右門
- 第78話「卍鍵」(1967年) - 島兵衛
- 第268話「指政の死」(1971年)
- 第278話「竜神の棲む海」(1971年)
- 第408話「ろくでなしの叫び」(1974年)
- 第429話「朱い吹矢」(1974年)
- 東京バイパス指令 第2話「おとし穴」(NTV・国際放映、1968年)
- 東芝日曜劇場「くるま宿」(TBS、1968年) - 越後屋
- 新・日本剣客伝 第3話「伊藤一刀斎」(NET・東映、1969年)
- あゝ忠臣蔵(KTV・東映、1969年) - 原惣右衛門
- 炎の青春(NTV・東宝、1969年)富永先生
- 部長刑事(ABC・関西ローカルの長寿刑事ドラマ、1969年) - 神部長刑事
- 右門捕物帖 第13話「人情親子橋」(NTV・東宝)
- 徳川おんな絵巻 第11話「女は度胸で勝負する」(KTV・東映、1970年) - 庄兵衛
- 旗本退屈男 第2話「いろは狂女」(CX・東宝、1970年) - 六所権現神主
- 日本怪談劇場 第12話「怪談 乳房の呪い」(1970年、12ch)- 正介
- 剣豪(NET・東映、1971年)
- ナショナルゴールデン劇場「葦の浮舟」(NET、1971年)
- 大忠臣蔵(NET・三船プロ、1971年) - 八助
- 仮面ライダー (MBS・東映)
- 第3話「怪人さそり男」(1971年) - 伊藤老人
- 第96話「本郷猛 サボテン怪人にされる!?」(1973年) - 安岡元一郎博士
- 軍兵衛目安箱 第6話「魔剣」(1971年、NET・東映) - 弥平
- 天皇の世紀(ABC・国際放映、1971年) - 鷹司政通
- 弥次喜多隠密道中 第1話「隠密大作戦」(NTV・歌舞伎座テレビ室、1971年)
- すいーとぽてと 第13話「泥々の銭」(1971年、MBS製作・NET)
- 水戸黄門 (TBS・C.A.L)
- 第2部 第22話「怒れ! 格さん -垂井-」(1971年2月22日) - 美濃屋太兵衛
- 第5部 第8話「一寸の虫にも五分の魂 -金沢-」(1974年5月20日) - 奥村三左衛門
- 第6部 第19話「仇討ち!阿波踊り ‐徳島‐」(1975年8月4日) - 卯吉
- 笹沢佐保 峠シリーズ 第4話「鬼首峠に捨てた鈴」(1972年、フジテレビ / C.A.L)- 貸元
- ミラーマン 第18話「生き返った恐竜アロザ」(CX・円谷プロ、1972年) - 源造
- 怪談 第6回「累ヶ渕」(1972年、MBS) - 三右衛門
- 大岡越前(TBS / C.A.L)
- 第3部
- 第10話「江戸のごみ」(1972年) - 藤左ヱ門
- 第25話「義賊かまいたち」(1972年) - 善助
- 第4部 第16話「父と娘」(1975年) - 伊兵衛
- 第3部
- 必殺シリーズ(ABC・松竹)
- 必殺仕掛人 第2話「暗闘仕掛人殺し」(1972年) - 老僧
- 必殺仕置人 第24話「疑う愛に迫る魔手」(1973年) - 喜助
- 助け人走る 第21話「心中大悲憤」(1974年) - 清造
- 必殺必中仕事屋稼業 第13話「度胸で勝負」(1975年) - 大原頼母
- 必殺仕置屋稼業 第26話「一筆啓上脅迫が見えた」(1975年) - 富蔵
- 必殺仕業人(1976年) - 同心・島忠助(同作が遺作となる)
- 変身忍者 嵐 第35話「消えた嵐? 妖怪集団が狙う!!」(MBS・東映、1972年) - 村人
- 非情のライセンス (1973年、NET・東映) - 警視庁捜査一課・佐久間刑事
- 第1シリーズ第3話「兇悪な夜の匂い」
- 第1シリーズ第9話「兇悪の道」
- つぶやき岩の秘密(NHK、1973年)
- 大江戸捜査網 第4話「裁くのは俺だ!」(1973年、日活・三船プロ) - 風の黒兵衛改め三五郎
- 太陽にほえろ! 第56話「その灯を消すな!」(NTV・東宝、1973年) - 斎藤
- 隠密剣士 突っ走れ! 第6話「まぼろしを斬る信太郎」(1974年、TBS)- 小山田玄斎
- ぶらり信兵衛 道場破り 第17話「やきいもや」(CX・東映、1974年)
- 右門捕物帖 第12話「復讐」(1974年、NET/東映) - 市兵衛
- 編笠十兵衛 (CX・東映、1974年) - 万屋彦四郎
- 大江戸捜査網 第202話「情無用の大盗賊」(1975年、12ch・三船プロ)
- 遠山の金さん(NET・東映、1975年) - 長命庵主人・甚兵衛(第40話まで、『必殺仕業人』と共に遺作となった)
吹き替え
- 逃亡者(1964年、TBS) 第17話(キンブルの父親ジョン・キンブル/ロバート・キース)
外部リンク
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/02/10 10:07 UTC (変更履歴)
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