デビッド・ハーシュフェルダー : ウィキペディア(Wikipedia)

デヴィッド・ハーシュフェルダーデビッド・ハーシュフェルダー」「デイヴィッド・ハーシュフェルダー」「デイヴィッド・ヒルシュフェルダー」の表記もある。(David Hirschfelder、1960年11月18日 - )は、ビクトリア州バララット生まれのオーストラリアのミュージシャン、映画音楽作曲家、パフォーマー。ミュージシャンとしては、リトル・リヴァー・バンドやジョン・ファーナム・バンドのメンバーを務めた。『ダンシング・ヒーロー』『オーストラリア』『レイルウェイ 運命の旅路』『ディバイナー 戦禍に光を求めて』『復讐のドレスコード』など、数多くの映画の音楽を作曲している。『シャイン』と『エリザベス』の音楽でアカデミー賞にノミネートされた。

ミュージシャンとして

ハーシュフェルダーは、フュージョン・バンドのピラミッド、ロック・バンドのピーター・カップルズ・バンド(1980年)、ポップ・ロック・バンドのリトル・リヴァー・バンド(1983年~1986年)、ブローアウト、ドラゴン(1987年、1989年)、アダルト・コンテンポラリー・シンガーのジョン・ファーナムのバック・バンド(1986年~1992年)、そしてフュージョンのスーパーグループであるキャブなど、キーボード奏者として様々なグループに所属してきた。

1980年、ハーシュフェルダーはピーター・カップルズ・バンドに加入した。当時、カップルズはソウル・ポップ・グループ、スタイラスを脱退したばかりで、ハーシュフェルダーがキーボード、ヴァージル・ドナーティがドラム、ロス・イングリスがギター、ロバート・リトルがベースを担当し、ロック・バンドを結成した。1981年10月、ピーター・カップルズ・バンドはデビュー・アルバム『Fear of Thunder』をリリース。1982年、ハーシュフェルダーはリトル・リヴァー・バンドのアルバム『グレイテスト・ヒッツ』にピアノで参加した。次のアルバム『夏への扉』では、ハーシュフェルダーがキーボードと共同プロデューサーを務め、バンドのメンバーはファーナム(リード・ボーカル)、ビーブ・バートルズ(ギター、ボーカル)、グレアム・ゴーブル(ギター、ボーカル)、スティーヴン・ハウスデン(ギター、バック・ボーカル)、ウェイン・ネルソン(ベース、ボーカル)、デレク・ペリッチ(ドラム、パーカッション)となった。1983年9月、彼らのアメリカ・ツアーに加わった。1984年のアルバム『非情のゲーム』では、ハーシュフェルダーがギター、ピアノ、キーボード、シンセサイザー、プログラミング、ボーカルを担当。また、「When Cathedrals Were White」「Blind Eyes」「Playing to Win」の共作者も務めている。「Blind Eyes」「Playing to Win」はシングルとして発売され、「Playing to Win」が1985年3月にBillboard Hot 100にランクイン、オーストラリアのケント・ミュージック・レポート・シングル・チャートではトップ100入りを果たした。1986年半ば、グループはアルバム『ノー・レインズ』をリリース。このアルバムでは、ハーシュフェルダーがピアノとキーボードを担当し、「Paper Paradise」の共作者となった。

『ノー・レインズ』のレコーディング後、ハーシュフェルダーはリトル・リヴァー・バンドを離れ、オーストラリアに戻り、ファーナムのバック・バンドに加入した。1986年4月から6月にかけて、ファーナムはアルバム『ウィスパリング・ジャック』をレコーディングし、ハーシュフェルダーはキーボードとドラムを担当し、「Going, Going, Gone」の共作者となった。アルバムのプロモーション・ツアーとして、ファーナムとハーシュフェルダーは、ドラムのアンガス・バーチル(通称バーシャル)、リードギターのブレット・ガーセッド、ベースのグレッグ・マカインシュ(スカイフックス)と共に「Jack's Back Tour」に参加した。当時、「Jack's Back Tour」はオーストラリアのアーティストによるツアーとしては最高の興行収入を記録した。ハーシュフェルダーは、スタジオ・アルバム『エイジ・オヴ・リーズン』(1988年7月)と『チェイン・リアクション』(1990年9月)の制作時にもファーナム・バンドに在籍した。この2枚のアルバムの間に、1989年に自身のアルバム『Welcome to the Nightclub of My Mind』をリリースした。1992年、ハーシュフェルダーはファーナムのバック・バンドを離れ、テレビや長編映画の音楽制作に専念するようになった。1999年には、ジョーゼフ・キャンベルとパウロ・コエーリョの著作に基づいた連作歌曲『Inside This Room』をデヴィッド・ホブソンと共同制作した。

映画音楽作曲家として

ハーシュフェルダーによる最初のスコアの仕事は、テレビ・シリーズ『Skirts』と『Shadows of the Heart』(ともに1990年)で、続いて1991年に『Ratbag Hero』を手掛けた。

映画音楽としては、『ダンシング・ヒーロー』(1992年)、『シャイン』(1996年)、『スライディング・ドア』(1998年)、『エリザベス』(1998年)、『電話で抱きしめて』(2000年)、『Peaches』(2004年)、『オーストラリア』(2008年)、『ガフールの伝説』(2010年)などがある。

イアン・ギルモア、クレイグ・モナハン、アン・ターナー、ロジャー・スポティスウッドバズ・ラーマンといった監督たちと数多くの作品を手掛けている。

1999年、90人編成のオーケストラと40人編成の合唱団のために作曲された『エリザベス』の音楽はアカデミー賞にノミネートされ、英国アカデミー賞(BAFTA)とAPRAアワード(APRA)の最優秀オリジナル楽曲賞を受賞した。また、1993年には『ダンシング・ヒーロー』で英国アカデミー賞最優秀作曲賞を受賞した。

2000年シドニーオリンピックの開会式の音楽も作曲した。

主なフィルモグラフィ

タイトル 監督 付記
1990 Skirts ブレンダン・マーハー、リチャード・サレル、イアン・ギルモア テレビ・シリーズ
1992 ダンシング・ヒーローStrictly Ballroom バズ・ラーマン
1994 Dallas Doll アン・ターナー
1996 シャインShine スコット・ヒックス アカデミー作曲賞ノミネート
1996 月に願いをDating the Enemy ミーガン・シンプソン・ヒューバーマン
1998 スライディング・ドアSliding Doors ピーター・ハウイット オーケストレーターも担当
1998 The Interview クレイグ・モナハン
1998 エリザベスElizabeth シェーカル・カプール 指揮とオーケストレーターも担当。アカデミー作曲賞ノミネート
1999 What Becomes of the Broken Hearted? イアン・ミューン
2000 電話で抱きしめてHanging Up ダイアン・キートン
2000 Better Than Sex ジョナサン・テプリツキー
2000 悪魔の呼ぶ海へThe Weight of Water キャスリン・ビグロー 指揮も担当
2002 チョコレート・アンダーグラウンドBootleg イアン・ギルモア テレビ・ミニ・シリーズ
2003 The Wannabes ニック・ジャンノプーロス
2004 Standing Room Only デボラ=リー・ファーネス 短編映画
2004 Peaches クレイグ・モナハン
2004 BlackJack ピーター・アンドリキディス、イアン・ワトソン、ケイト・ウッズ テレビ・シリーズ、パイロット版を除く全エピソード
2004 The Five People You Meet In Heaven ロイド・クレイマー テレビ映画。指揮も担当
2006 愛しのアクアマリンAquamarine エリザベス・アレン 指揮も担当
2006 Irresistible アン・ターナー
2007 Shake Hands with the Devil ロジャー・スポティスウッド 第28回ジニー賞で最優秀オリジナル・ソング賞のカナダ・スクリーン・アワードを受賞
2008 チルドレン・オブ・ホァンシー 遥かなる希望の道The Children of Huang Shi ロジャー・スポティスウッド
2008 Salute マット・ノーマン ドキュメンタリー
2008 オーストラリアAustralia バズ・ラーマン ハーモニカ演奏も担当
2009 The Blue Mansion グレン・ゴーイ
2010 I Love You Too デイナ・リード
2010 ガフールの伝説Legend of the Guardians: The Owls of Ga'Hoole ザック・スナイダー アニメ映画
2011 サンクタムSanctum アリスター・グリアソン
2012 Beyond Right and Wrong: Stories of Justice and Forgiveness レカ・シン、ロジャー・スポティスウッド ドキュメンタリー
2013 レイルウェイ 運命の旅路The Railway Man ジョナサン・テプリツキー(エリック・ローマクスの実話に基づく) 歴史ドラマ
2014 Healing クレイグ・モナハン ドラマ
2014 ディバイナー 戦禍に光を求めてThe Water Diviner ラッセル・クロウ 歴史ドラマ
2015 復讐のドレスコードThe Dressmaker ジョスリン・ムーアハウス ドラマ
2016 ボブという名の猫 幸せのハイタッチA Street Cat Named Bob ロジャー・スポティスウッド ドラマ
2017 A Few Less Men マーク・ランプレル コメディ
2017 Dance Academy: The Movie ジェフリー・ウォーカー ドラマ
2018 レジェンド・ハンター ハリウッドの秘宝In Like Flynn ラッセル・マルケイ ドラマ
2019 ライド・ライク・ア・ガールRide Like a Girl レイチェル・グリフィス ドラマ
2024 Sleeping Dogs アダム・クーパー 犯罪、ミステリー、スリラー

ディスコグラフィ

リーダー・アルバム

  • Welcome To The Nightclub Of My Mind (1989年、RCA Victor)
  • Inside This Room (1999年、Mushroom) ※with デヴィッド・ホブソン、全豪70位

受賞とノミネート

アカデミー賞

  • 第69回アカデミー賞(1997年) 『シャイン』のスコアで、アカデミー作曲賞ノミネート
  • 第71回アカデミー賞(1999年) 『エリザベス』のスコアで、アカデミー作曲賞ノミネート

ARIAミュージック・アワード

ARIAミュージック・アワードは、オーストラリアのあらゆるジャンルの音楽における卓越性、革新性、そして功績を称える毎年恒例の授賞式である。1987年に開始された。

! |- | 1993 | ダンシング・ヒーローStrictly Ballroom |rowspan="5" | ARIA・アワード 最優秀オリジナルサウンドトラック、キャスト、ショー・アルバム賞 | |rowspan="5" | ARIA Award previous winners. |- |rowspan="2" | 1999 | エリザベスElizabeth | |- | The Interview | |- | 2000 | What Becomes of the Broken Hearted? | |- | 2001 | Better Than Sex | |-

APRAアワード

APRAアワードは、オーストラリアとニュージーランドでオーストラレーシア演奏権協会によって開催され、毎年会員の作詞作曲技術、売上、エアプレイ実績を表彰している。

! |- | 1998 | シャインShine | 最優秀映画スコア | | |- | 1999 | エリザベスElizabeth | 最優秀映画スコア | | |- | 2008 | チルドレン・オブ・ホァンシー 遥かなる希望の道Children of the Silk Road | 最優秀映画スコア | | |-

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2025/04/17 03:54 UTC (変更履歴
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike and/or GNU Free Documentation License.

「デビッド・ハーシュフェルダー」の人物情報へ