タイロン・パワー : ウィキペディア(Wikipedia)
タイロン・パワー(Tyrone Power, 1914年5月5日 - 1958年11月15日)は、アメリカ合衆国オハイオ州シンシナティ出身の俳優。
経歴
イギリス生まれの俳優で同名のタイロン・パワー(タイロン・パワー二世)を父に持つ(曽祖父も同名で、アイルランド生まれの俳優・コメディアンの)。病弱だった彼の健康のため家族でカリフォルニアに移るも、父親は主にニューヨークを基盤に活動しており不在が多く、結局1920年に両親は離婚。子役として母親と共に舞台に立つようになる。数年後にシンシナティに戻り、その地で高校を卒業。
1931年、映画界入りする父に同行しハリウッドに向かう。間もなく父は急死するが、彼はしばらくハリウッドに留まり、数本の映画に脇役として出演する。その後ブロードウェイの舞台に出演していた時に20世紀フォックスにスカウトされ、『勝鬨』への出演で若手スターとして売り出した。
『スエズ』や『世紀の楽団』などのヒットによりマネー・メイキング・スターのトップ10に名を連ね、1939年には映画雑誌の人気投票で“ハリウッド・キング”に選ばれるなど、フォックスの看板スターの地位を確立した。しかし本人はステレオタイプ的な二枚目役を嫌っており、新境地を開くために舞台に戻ろうとした事もあったという。また、『スエズ』で共演したフランスの人気女優アナベラと結婚するが、後に離婚している。
戦時中はアメリカ軍に志願した。戦後、進駐軍の兵士として訪日し、銀座の交差点で交通整理をしたという報道日本ニュース 第258号 1945年10月7日公開。があったが、大森洋平は『考証要集』(文春文庫、2013)で史実をあげて「これは事実ではなかろう」と断定している。1950年代に入ると、二枚目スターの地位はグレゴリー・ペックなどに取って代わられたが、『長い灰色の線』『陽はまた昇る』で中年の渋みも加わった一面を見せ、『愛情物語』では実在のピアニストのエディ・デューチンを演じた。
ビリー・ワイルダー監督の『情婦』で演技派としても再評価された矢先、『ソロモンとシバの女王』のマドリードロケ中に心臓麻痺を起こし、44歳で急死した。彼の役はユル・ブリンナーに交代し撮り直された。
主な出演作品
公開年 | 邦題原題 | 役名 | 備考 |
---|---|---|---|
1932 | 鉄血士官校Tom Brown of Culver | ジョン | |
1934 | お姫様大行進Flirtation Walk | カデット | クレジットなし |
1936 | 四つの恋愛Ladies in Love | カール | |
勝鬨Lloyd's of London | ジョナサン・ブレイク | ||
1937 | シカゴIn Old Chicago | ディオン | |
狙われたお嬢さん初公開時の邦題。戦後の再上映による現邦題は『恋は特ダネ』Love Is News | スティーヴ・レイトン | ||
氷上乱舞Thin Ice | ルドルフ王子 | ||
1938 | 世紀の楽団Alexander's Ragtime Band | ロジャー・グラント(アレキサンダー) | |
マリー・アントアネットの生涯Marie Antoinette | ハンス・アクセル・フォン・フェルセン | ||
スエズSuez | フェルディナン・ド・レセップス | ||
1939 | 地獄への道Jesse James | ジェシー・ジェームズ | |
ワシントン広場の薔薇Rose of Washington Square | バート・クリントン | ||
雨ぞ降るThe Rains Come | ラマ・サフティ | ||
1940 | 快傑ゾロThe Mark of Zorro | ドン・ディエゴ・ヴェガ/ゾロ | |
1941 | 血と砂Blood and Sand | フアン | |
英空軍のアメリカ人A Yank in The R.A.F. | ティム・ベイカー | ||
1942 | 激闘/ベンジャミンの復讐Son of Fury: The Story of Benjamin Blake | ベンジャミン・ブレイク | |
純愛の誓いThis Above All | クライヴ・ブリッグス | ||
海の征服者Black Swan | ジェイミー・ワーリング | ||
1943 | 潜航決戦隊Crash Dive | ウォード・スチュワート | |
1946 | 剃刀の刃Razor's Edge | ラリー・ダレル | |
1947 | 悪魔の往く町Nightmare Alley | スタン | |
征服への道Captain from Castle | ペドロ・デ・ヴァルガス | ||
1948 | 幸福の森/アイルランドの妖精The Luck of the Irish | スティーブン・フィッツジェラルド | |
1949 | 狐の王子Prince of Foxes | アンドレア | |
1950 | 黒ばらThe Black Rose | ウォルター | |
アメリカン・ゲリラ・イン・フィリピンAmerican Guerrilla in the Philippines | Ensign Chuck Palmer | ||
1951 | 狙われた駅馬車Rawhide | トム・オーウェンズ | |
1952 | 国務省の密使Dipromatic Courier | マイク・ケルズ | |
荒野の襲撃Pony Soldier | ダンカン・マクドナルド | ||
1953 | ミシシッピーの賭博師The Mississippi Gambler | マーク・ファロン | |
壮烈カイバー銃隊King of The Khyber Rifles | アラン・キング | ||
1955 | 長い灰色の線The Long Gray Line | マーティ | |
野性の女Untamed | ポール | ||
1956 | 愛情物語The Eddy Duchin Story | エディ・デューチン | |
1957 | 二十七人の漂流者Seven Waves Away | アレック・ホームズ | |
陽はまた昇るThe Sun Also Rises | ジェイク・バーンズ | ||
月の出の脱出The Rising of the Moon | - | ナレーター | |
情婦Witness for the Prosecution | レオナルド |
注
外部リンク
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/08/24 05:22 UTC (変更履歴)
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