ジェリー・ゴールドスミス : ウィキペディア(Wikipedia)

ジェリー・ゴールドスミス(、1929年2月10日 - 2004年7月21日)は、アメリカ合衆国の作曲家。ジェリーは愛称を筆名としたもので、本名はジェラルド()である。

『2つの頭脳を持つ男』『MOON44』などの映画音楽で知られる作曲家のジョエル・ゴールドスミスは息子。

来歴

アメリカ合衆国カリフォルニア州出身。父は建築家、母は教師。幼少の頃、母親がピアノを習わせたところ非凡な才能があると言われたため、ジェイコブ・ギンペルについてピアノを習い、さらにマリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコに理論を学ぶ。

最初はピアニストを志したが、後に作曲へと関心が向かい、ロサンゼルス・シティー・カレッジに進学したのち『白い恐怖』を観て映画音楽に興味を持ち、同映画の音楽担当ミクロス・ローザが南カリフォルニア大学にて講義を受け持っているのを知ると、1年間聴講し指導を受ける。

事務員としてCBSに入社し、当初タイピストをしていたが、すぐに音楽部門へ転属。ラジオドラマから料理番組まで放送用音楽を作り、アルフレッド・ニューマンの推薦などで、50年代半ばからTVや映画の音楽を書き始める。生涯において170作品を超える映画を手がけ、アカデミー賞に18回ノミネートされ、うち『オーメン』で受賞アカデミー作曲賞受賞者、ジェリー・ゴールドスミス、死去 - シネマトゥデイ。またエミー賞を5回受賞しているほか、ゴールデングローブ賞と英国アカデミー賞にそれぞれ4回ずつノミネートされた。

彼は映画音楽の作曲家としてとても有名だが、「管弦楽のための音楽」といった、現代音楽あるいはオラトリオやバレエの音楽も作っている。他にカリフォルニア・ディズニーランドのアトラクション「」の音楽や、カリフォルニア州からの依頼で管弦楽曲「」も手がけている。

2004年7月21日早朝(現地時間)にロサンゼルスの自宅にて肝臓癌のため75歳で死去した。

日本でのコンサート実績

指揮は本人、演奏は全て神奈川フィルハーモニー管弦楽団による。演奏曲目は自作がメイン。

日本の映画情報番組に出演していた本人が「日本でもコンサートを開きたい」と発言した事がきっかけとなり実現した1998年コンサート ジェリー・ゴールドスミス ハリウッド映画音楽の夕べ パンフレット。過去にも企画されたことはあったが、一般的な知名度の無さ、スポンサーが付かないという状況で不発となっていた。 初回は1998年8月の予定だったが、「スタートレック 叛乱」の録音と重なり開催が危ぶまれたものの、関係者の調整により12月に開催された。

  • 1998年12月11日:横浜みなとみらいホール
  • 1998年12月16日:五反田ゆうぽうと簡易保険ホール
  • 2000年10月27日:すみだトリフォニーホール2000年コンサート ジェリー・ゴールドスミス 20世紀ファイナル・ライブ パンフレット
  • 2000年10月28日:よこすか芸術劇場
  • 2000年11月01日:横浜みなとみらいホール

2003年に予定されていた3度目の訪日は医師に止められて中止し、代わりの指揮者としてチャールズ・フォックスが日本を訪れた。

作風

アクションやサスペンスの緊迫感ある場面に効果的な音楽をつけることにかけては、他の追従を許さない抜群の手腕をもつが、同時にメロディーメーカーでもあったことが巨匠たる所以である。『パピヨン』はその好例。

また、場面における音楽の要不要を最も的確に判断できる作曲家とも評され、凡百の映画音楽がドラマとは無関係に主題歌やテーマ曲を押しつけている風潮に対して敢然と立ち向かい、劇伴音楽に徹し続けて地味な作風となりながらも、確固たる個性を音楽に反映させてきた。技法の上では『猿の惑星』のステンレスの料理用ボウル、『スタートレック』のブラスタービーム(金属パイプで金属の弦を叩いたりこすったりするクレイグ・ハクスリー考案の楽器)、早い時期からのシンセサイザー利用など、ユニークな音を曲に採り入れる試みもある。

そうした前衛的な指向がある一方、「古典的スタイルに逆戻り」と念を押しながらも、同業で同じくテデスコに師事したジョン・ウィリアムズの手腕を評価し、『スーパーガール』や『ロマンシング・アドベンチャー/キング・ソロモンの秘宝』では、ウィリアムズのスタイルを意識した曲作りも出来ることを示した『スーパーマン』の音楽も『オーメン』のリチャード・ドナー監督からウィリアムズより前に誘いを受けたが、スケジュールの都合で辞退している。。

フランクリン・J・シャフナージョー・ダンテ作品の多くに曲を提供し、ポール・ヴァーホーヴェンピーター・ハイアムズJ・リー・トンプソンロバート・ワイズフレッド・スケピシらの作品も複数手がけているが、特にシャフナーとマイケル・クライトンの作品なら無条件で引き受けると談話している。『エイリアン』ではリドリー・スコット監督と組んだ際に遺恨が残った。監督との意思疎通がうまくいかず、作曲されたものの未使用となったり意図と異なる使い方や差し替えが何箇所もあり、ラストシーンでは結末の変更に伴いハワード・ハンソンの交響曲第2番に差し替えられた。メイキングでは、その上でも有名になったのはエイリアンだと語っている。同監督の『レジェンド / 光と闇の伝説』ではユニバーサルピクチャーズ側の要求により、タンジェリン・ドリームの音楽に差し替えられた。なお、これはアメリカ国内公開版だけであり、国外への配給は20世紀フォックス社が行い、音楽はゴールドスミスのものをそのまま使用している(配給会社の音楽に対するスタンスの違いが現れている)。二人はこれで決裂したが、スコットはゴールドスミスの死後翌年公開の『キングダム・オブ・ヘブン』では、彼が他の監督の作品『13ウォーリアーズ』のために書いた音楽を許諾を得て一部使用(全体の音楽監督は ハリー・グレッグソン・ウィリアムス)している。

そのため自作をコンサートで演奏する際に、映画本編で使われなかった楽曲をプログラムに入れることが多く、同じく苦労して書いた曲が使用されなかった、アレックス・ノースの『2001年宇宙の旅』のための音楽が、CD録音される際にも指揮を受け持つなど、未使用曲へのこだわりも見せた。

晩年に手がけた映画に『タイムライン』があるが、スコア録音後にも映画の再編集が繰り返され、監督リチャード・ドナーとの意見の相違から降板、最終的に若手のブライアン・タイラーに交替となった。『』が遺作となったが、体力と時間的な制約で最後まで作曲できず、ジョン・デブニーがクライマックスを担当した。

主な作品

日本での題名原題西暦年
野のユリ1963年
いつか見た青い空1965年
危険な道1965年
ブルー・マックス1966年
セコンド/アーサー・ハミルトンからトニー・ウィルソンへの転身1966年
砲艦サンパブロ1966年
電撃フリントGO!GO作戦1966年
電撃フリント・アタック作戦1967年
墓石と決闘1967年
猿の惑星1968年
刑事1968年
バンドレロ1968年
パットン大戦車軍団1970年
トラ・トラ・トラ!1970年
砂漠の流れ者/ケーブル・ホーグのバラード1970年
夕陽の挽歌1971年
ラスト・ラン/殺しの一匹狼1971年
パピヨン1973年
チャイナタウン1974年
風とライオン1975年
軍用列車1975年
2300年未来への旅1976年
カサンドラ・クロス1976年
オーメン1976年
世界が燃えつきる日1977年
ブラジルから来た少年1978年
カプリコン・11978年
エイリアン1979年
大列車強盗1979年
スター・トレック1979年
アウトランド1981年
ランボー1982年
ポルターガイスト1982年
トワイライトゾーン/超次元の体験1983年
サイコ21983年
アンダー・ファイア1983年
グレムリン1984年
スーパーガール1984年
未来警察1984年
スティーブ・マーティンのロンリー・ガイ1984年
恐竜伝説ベイビー1985年
レジェンド / 光と闇の伝説1985年
ロマンシング・アドベンチャー/キング・ソロモンの秘宝1985年
ランボー/怒りの脱出1985年
ポルターガイスト21986年
勝利への旅立ち1986年
|1987年
ダブルボーダー1987年
レンタ・コップ1987年
インナースペース1987年
ランボー3/怒りのアフガン1988年
リバイアサン1989年
スタートレックV 新たなる未知へ1989年
トータル・リコール1990年
グレムリン2 新・種・誕・生1990年
ロシア・ハウス1990年
星の流れる果て1991年
愛がこわれるとき1991年
ザ・スタンド1992年
フォーエヴァー・ヤング 時を越えた告白1992年
氷の微笑1992年
ミスター・ベースボール1992年
冷たい月を抱く女1993年
私に近い6人の他人1993年
ルディ/涙のウイニング・ラン1993年
激流1994年
トゥルーナイト1995年
パウダー1995年
コンゴ1995年
ゴースト&ダークネス1996年
訣別の街1996年
スタートレック ファーストコンタクト1996年
チェーン・リアクション1996年
エグゼクティブ・デシジョン1996年
L.A.コンフィデンシャル1997年
ザ・ワイルド1997年
エアフォース・ワン1997年
ムーラン1998年
スタートレック 叛乱1998年
スモール・ソルジャーズ1998年
ザ・グリード1998年
追跡者1998年
ハムナプトラ/失われた砂漠の都1999年
13ウォーリアーズ1999年
インビジブル2000年
ネメシス/S.T.X2002年
トータル・フィアーズ2002年
|2003年

注釈

出典

外部リンク

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