池田浩士 : ウィキペディア(Wikipedia)

池田 浩士(いけだ ひろし、1940年6月20日 - )は、日本のドイツ文学者、評論家、京都大学名誉教授。 専門分野はドイツ文学、現代文明論、ファシズム文化研究。

経歴

1940年、滋賀県大津市で生まれた。慶應義塾高校から、慶應義塾大学文学部独文科に進んだ。後に作家となる車谷長吉とは大学時代の友人であった車谷『世界一周恐怖航海記』文春文庫、p.73。1963年に卒業し、同大学大学院に進学。1968年、博士課程を満期退学した。

1968年、京都大学教養部講師に就いた。後に助教授昇格。教養部が改組後、京都大学総合人間学部教授となった。2004年に京都大学を定年退官し、名誉教授となった。その後は京都精華大学教授として教鞭をとった。2013年に京都精華大学を退職。

研究内容・業績

  • 専門はドイツ文学。特にルカーチ・ジェルジやナチズムに関する研究や翻訳を精力的に行っている。
  • ドイツ文学者としての枠を超えて大衆小説や死刑廃止問題、天皇制問題、憲法九条問題、寄せ場研究などについての幅広い著作や発言を行っている。

著作

著書

  • 『似而非物語 池田浩士評論集』序章社 1972
  • 『初期ルカーチ研究』合同出版 1972
  • 『ルカーチとこの時代』平凡社 1975
  • 『ファシズムと文学:ヒトラーを支えた作家たち』白水社 1978
  • 『教養小説の崩壊』現代書館 1979
  • 『抵抗者たち:反ナチス運動の記録』TBSブリタニカ 1980
    • 新版 軌跡社 1991
    • 改題増補版『抵抗者たち』共和国 2018
  • 『闇の文化史 モンタージュ年代』(駸々堂出版 1980
  • 『大衆小説の世界と反世界』現代書館 1983
  • 『ふぁっしょファッション 池田浩士表現論集』社会評論社 1983
  • 『隣接市町村音頭』青弓社 1984
  • 『仮設縁起絵巻』貝原浩戯画、現代書館 1985
  • 『文化の顔をした天皇制』社会評論社 1986
    • 新版 2004年
  • 『死刑の「昭和」史』インパクト出版会 1992
  • 『権力を笑う表現? 池田浩士虚構論集』社会評論社 1993
  • 『「海外進出文学」論・序説』インパクト出版会 1997
  • 火野葦平論:「海外進出文学」論・第1部』インパクト出版会 2000
  • 『歴史のなかの文学・芸術 参加の文化としてのファシズムを考える』河合ブックレット 2003
  • 『虚構のナチズム:「第三帝国」と表現文化』人文書院 2004
  • 『子どもたちと話す天皇ってなに?』現代企画室 2010
  • 『石炭の文学史 「海外進出文学」論・第2部』インパクト出版会 2012
  • 『ヴァイマル憲法とヒトラー:戦後民主主義からファシズムへ』岩波書店 2015
  • 『戦争に負けないための二〇章』共和国 2016
  • 『ドイツ革命:帝国の崩壊からヒトラーの登場まで』現代書館 2018
  • 『ボランティアとファシズム:自発性意図と社会貢献の近現代史 』人文書院 2019
  • 『福澤諭吉 幻の国・日本の創生』人文書院 2024
著作集
  • 『池田浩士コレクション』(全10巻) インパクト出版会、2004-2022年

共編著

  • 『ドイツ語の本』好村冨士彦・野村修共著、三一書房 1977
  • 『検証・「昭和の思想」』(全5巻) 天野恵一共編(社会評論社 1988-94
  • 『戦争責任と戦後責任』(コメンタール戦後50年 3) 編、社会評論社 1995
  • 『の登場 ヒーローと読者の20~30年代』「文学史を読みかえる」研究会編、インパクト出版会 1998
  • 『死刑文学を読む』川村湊共著、インパクト出版会 2005
  • 『逆徒「大逆事件」の文学』編、インパクト出版会 2010
  • 『〈いま〉を読みかえる 「この時代」の終わり』「文学史を読みかえる」研究会編、インパクト出版会 2007
  • 『大東亜共栄圏の文化建設』編 高村竜平、藤井祐介、藤原辰史、鷲谷花、渡辺洋介共著、人文書院 2007
  • 『蘇らぬ朝「大逆事件」以後の文学』編、インパクト出版会 2010
  • 『いま、「共和制日本」を考える 9条を1条に』堀内哲編 杉村昌昭・平井玄共著、第三書館 2011
  • 『深海魚 響野湾子短歌集』編、インパクト出版会 2021

編訳

  • 『時代精神と文学』エルンスト・フィッシャー著、合同出版 1967
  • 『ルカーチとの対話』訳(合同出版 1968
  • 『ルカーチ・ブロッホ・ゼーガース表現主義論争』編訳、盛田書店 1968
  • 『現代文学論』著、松本嘉久共訳、合同出版 1971
  • ジェルジ・ルカーチ『ソルジェニーツィン』(紀伊国屋書店 1971
  • 『ルカーチ初期著作集』(政治編 1) 訳編、合同出版 1971
  • ベルトルト・ブレヒトの仕事 ブレヒトの文学・芸術論』石黒英男責任編集、五十嵐敏夫・好村冨士彦・内藤猛・野村修共訳、河出書房新社 1972
  • 『回想と反省 文学とコミンテルンの間で』エルンスト・フィッシャー著、人文書院 1972
  • 『ルカーチ初期著作集』(全4巻)三一書房 1975-76
  • 『論争歴史と階級意識』編訳、河出書房新社 1977
  • 『この時代の遺産』エルンスト・ブロッホ著、三一書房 1982
    • 文庫化 ちくま学芸文庫、水声社
  • 『生きられた思想 対話による自伝』ジェルジ・ルカーチ著、編、白水社 1984
  • 『表現主義論争』れんが書房新社 1988
  • 『ドイツ・ナチズム文学集成 第1 ドイツの運命』編訳、柏書房 2001
  • 『ナチズム 地獄と神々の黄昏』ブロッホ著、藤原辰史・本庄史明共訳、水声社 2008

参考

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2025/01/31 22:38 UTC (変更履歴
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