津村記久子 : ウィキペディア(Wikipedia)

津村 記久子(つむら きくこ、1978年1月23日 - )は、日本の小説家。大阪府大阪市出身、大阪府立今宮高等学校、大谷大学文学部国際文化学科卒業。

経歴

幼少時には児童書をまねて文章を書いていたが、中学生のころからは音楽に親しむようになる。大学3年のころから本格的に小説を書き始める作家の読書道 第155回:津村記久子さん

2000年、新卒で入社した会社で上司からパワーハラスメントを受け、10か月で退社当時の経験は「十二月の窓辺」(『ポトスライムの舟』収録)に描かれている。。その後、職業訓練校などを経て2001年に転職。

2005年に「マンイーター」(単行本化の際『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で第21回太宰治賞を受賞し、小説家デビュー。兼業作家として、会社から帰った後、睡眠を二回に分けてその合間に小説を執筆していた。

2012年、10年半勤めた会社を退職し、専業作家となる。

受賞歴

  • 2005年 - 「マンイーター」で第21回太宰治賞受賞
  • 2008年 - 「カソウスキの行方」で第138回芥川賞候補
  • 2008年 - 「婚礼、葬礼、その他」で第139回芥川賞候補
  • 2008年 - 『ミュージック・ブレス・ユー!!』で第30回野間文芸新人賞受賞
  • 2008年 - 咲くやこの花賞文芸その他部門受賞
  • 2009年 - 「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞受賞
  • 2011年 - 『ワーカーズ・ダイジェスト』で第28回織田作之助賞受賞
  • 2013年 - 「給水塔と亀」で第39回川端康成文学賞受賞
  • 2016年 - 『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞受賞
  • 2017年 - 『浮遊霊ブラジル』で第27回紫式部文学賞受賞
  • 2017年 - 『アレグリアとは仕事はできない』で第13回酒飲み書店員大賞受賞
  • 2018年 - 『とにかくうちに帰ります』で第10回エキナカ書店大賞候補
  • 2019年 - 『ディス・イズ・ザ・デイ』で第6回サッカー本大賞受賞
  • 2023年 - 『水車小屋のネネ』で第59回谷崎潤一郎賞受賞

選考委員歴

  • 川端康成青春文学賞(第1回/2018年 - 現職)

作風・人物

  • 自身の会社員生活の経験を元に、働く人々や女性を描いた作品が多い「津村 そうですね。一番は、身近なことが働くことなので、基本的には働くことを書くということだと思います。」日経Bizアカデミー インタビュー
  • 大阪在住であり、近畿地方を舞台にした作品、関西弁を話す登場人物も多く描かれる。
  • スポーツ観戦が趣味で、海外サッカーやロードレース、フィギュアスケートのファンである。

作品

小説

  • 『君は永遠にそいつらより若い』(筑摩書房、2005年11月 / ちくま文庫、2009年5月)
    • 第21回(2005年)太宰治賞受賞作受賞時タイトルは「マンイーター」、ペンネームは「津村記久生」。
  • 『カソウスキの行方』(講談社、2008年2月 / 講談社文庫、2012年1月)
    • カソウスキの行方(『群像』2007年9月号)
    • Everyday Write A Book.(『小説すばる』2006年7月号)
    • 花婿のハムラビ法典(『群像』2006年5月号)
  • 『ミュージック・ブレス・ユー!!』(角川書店、2008年6月 / 角川文庫、2011年6月)
    • 書き下ろし
  • 『婚礼、葬礼、その他』(文藝春秋、2008年7月 / 文春文庫、2013年2月)
    • 婚礼、葬礼、その他(『文學界』2008年3月号)
    • 冷たい十字路 (『文學界』2007年6月号)
  • 『アレグリアとは仕事はできない』(筑摩書房、2008年12月 / ちくま文庫、2013年6月)
    • アレグリアとは仕事はできない(『ちくま』2007年7月 - 2008年1月連載時タイトルは「コピー機が憎い!」。)
    • 地下鉄の叙事詩(書き下ろし)
  • 『八番筋カウンシル』(朝日新聞出版、2009年2月 / 朝日文庫、2014年4月)
    • 書き下ろし
  • 『ポトスライムの舟』(講談社、2009年2月 / 講談社文庫、2011年4月)
    • ポトスライムの舟(『群像』2008年11月)
    • 十二月の窓辺(『群像』2007年1月号)
  • 『ワーカーズ・ダイジェスト』(集英社、2011年3月 / 集英社文庫、2014年6月)
    • ワーカーズ・ダイジェスト(『小説すばる』2010年9月号 - 11月号)
    • オノウエさんの不在(『小説すばる』2008年4月号)
  • 『まともな家の子供はいない』(筑摩書房、2011年8月 / ちくま文庫、2016年3月)
    • まともな家の子供はいない(『ちくま』2009年11月号 - 2010年10月号)
    • サバイブ(『Webちくま』2006年3月 - 6月)
  • 『とにかくうちに帰ります』(新潮社、2012年2月 / 新潮文庫、2015年10月)
    • 職場の作法(日本経済新聞電子版 2010年10月4日 - 23日)
    • バリローチェのフアン・カルロス・モリーナ(『新潮』2011年1月号)
    • とにかくうちに帰ります(『新潮』2009年3月号)
  • 『ウエストウイング』(朝日新聞出版、2012年11月 / 朝日文庫、2017年8月)
    • 『小説トリッパー』2009年12月号 - 2010年12月号
  • 『これからお祈りにいきます』(角川書店、2013年6月 / 角川文庫、2017年1月)
    • サイガサマのウィッカーマン(『デジタル野性時代』2012年3月号 - 4月号)
    • バイアブランカの地層と少女(『野性時代』2008年1月号)
  • 『ポースケ』(中央公論新社、2013年12月 / 中公文庫、2018年1月)
    • 書き下ろし
  • 『エヴリシング・フロウズ』(文藝春秋、2014年8月 / 文春文庫、2017年5月)
    • 『別冊文藝春秋』2012年5月号 - 2013年1月号
  • 『この世にたやすい仕事はない』(日本経済新聞出版社、2015年10月 / 新潮文庫、2018年11月)
    • 日本経済新聞電子版 2014年5月1日 - 2015年3月19日
  • 『浮遊霊ブラジル』(文藝春秋、2016年10月 / 文春文庫、2020年1月)
    • 給水塔と亀(『文學界』2012年3月号)
    • うどん屋のジェンダー、またはコルネさん(『文學界』2010年2月号)
    • アイトール・ベラスコの新しい妻(『新潮』2013年1月号)
    • 地獄(『文學界』2014年2月号)
    • 運命(『新潮』2014年6月号)
    • 個性(『すばる』2014年9月号)
    • 浮遊霊ブラジル(『文學界』2016年6月号)
  • 『ディス・イズ・ザ・デイ』(朝日新聞出版、2018年6月 / 朝日文庫、2021年10月)
    • 朝日新聞連載
  • 『サキの忘れ物』(新潮社、2020年6月 / 新潮文庫、2023年9月)
    • 短編集。「サキの忘れ物」「王国」「ペチュニアフォールを知る二十の名所」「喫茶店の周波数」「Sさんの再訪」「行列」「河川敷のガゼル」「真夜中をさまようゲームブック」「隣のビル」
  • 『つまらない住宅地のすべての家』(双葉社、2021年3月)
    • 小説推理連載
  • 『現代生活独習ノート』(講談社、2021年11月)
    • レコーダー定置網漁(『群像』2020年5月号)
    • 台所の停戦(『群像』2012年12月号)
    • 現代生活手帖(『群像』2016年3月号)
    • 牢名主(『群像』2015年4月号)
    • 粗食インスタグラム(『群像』2015年9月号)
    • フェリシティの面接(『群像』2013年12月号)
    • メダカと猫と密室(『群像』2020年11月号)
    • イン・ザ・シティ(『群像』2021年5月号)

エッセイ等

  • 『やりたいことは二度寝だけ』(講談社、2012年6月 / 講談社文庫、2017年8月)
    • 日本経済新聞、朝日新聞他
  • 『ダメをみがく "女子"の呪いを解く方法』(紀伊國屋書店、2013年4月 / 集英社文庫、2017年1月)
    • 『日経ウーマンオンライン』2012年10月 - 2013年3月。深澤真紀との対談集。
  • 『二度寝とは、遠くにありて想うもの』(講談社、2015年4月 / 講談社文庫、2019年3月)
    • 朝日新聞、京都新聞、日経ビジネスオンライン他
  • 『くよくよマネジメント』(清流出版、2016年5月)
    • 『清流』2010年5月号 - 2013年7月号。イラストは森下えみこ。
  • 『枕元の本棚』(実業之日本社、2016年7月 / 実業之日本社文庫、2019年10月)
    • 『ジェイ・ノベル』2010年7月号 - 2015年11月号、『小説現代』2010年2月号
  • 『大阪的』(ミシマ社、2017年3月)
    • 江弘毅との対談。
  • 『まぬけなこよみ』(平凡社、2017年4月 / 朝日文庫、2023年1月)
  • 『やりなおし世界文学』(新潮社、2022年6月)
  • 『苦手から始める作文教室』(筑摩書房、2022年9月)

注釈

出典

外部リンク

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