サックス・ローマー : ウィキペディア(Wikipedia)
サックス・ローマー(Sax Rohmer、1883年2月15日 – 1959年6月1日)はイギリス、バーミンガム生まれの作家。第二次世界大戦以降はニューヨークに在住。本名、アーサー・ヘンリー・サースフィールド・ウォード(Arthur Henry Sarsfield Ward)。別名にマイクル・フーリー(Michael Furey)。
怪人フー・マンチュー博士の生みの親として名高い。デビュー作は、1903年に『Pearson's Weekly』に発表された短編小説「The Mysterious Mummy」。
「フー・マンチュー博士」シリーズ
匿名で執筆した「Pause!」が1910年に発表されたのを皮切りに、『ストーリー・テラー』誌に最初のフー・マンチュー博士シリーズ「The Mystery of Dr. Fu Manchu」を1912年から1913年に10回にわたり連載。翌年にはそれをまとめた「フー・マンチュー博士の謎(怪人フー・マンチュー)」がメシュエン社より刊行された。
元ロンドン警視庁のデニス・ネイランド・スミス卿と、彼の友人である化学者ペトリー博士が、東洋人による世界征服と帝国建設を目指して暗躍する怪人フー・マンチュー博士と対決するスピード感あふれる物語は、あっというまに大人気シリーズとなった。またこのシリーズはアメリカの『コリアーズ』誌でも連載され、爆発的な人気を集めた。この大ヒットによってローマーは1920年代から1930年代にかけてもっとも高収入を得た作家のひとりとなった。
オカルト探偵モーリス・クロウ
ローマーが創造した他のキャラクターには、オカルト探偵モーリス・クロウがいる。
彼の本業は骨董品店主で、山高帽に金縁眼鏡、黒い絹のマフラーにブーツという出で立ちの老紳士である。持参した赤い絹のクッションを枕にして犯罪現場で眠り、そこで見た夢で事件の真相を透視する。
日本語訳作品
- 『赤い線』(The Sins of Severac Bablon、吉浦周太郎訳、小西書店、探偵文芸叢書) 1923/文園社 1945
- 『賤民の王』(The Sins of Severac Bablon.の抄訳、吉田甲子太郎訳、春陽堂、『探偵小説全集23』に収載、同書にはフリーマンの「沙漠の船」が併載されている) 1930
- 『愛国侠盗伝』(寺田鼎訳、世界大衆文学全集76) 1931
- 「愛国侠盗伝」(The Sins of Severac Bablon.の抄訳、寺田氏の序によると「高島正君を煩わした」とある)
- 「悪魔博士」(The Devil Doctor, The Return of Dr. Fu-Manchu.1916の抄訳だが、映画にあわせた改変がある)
- 『魔人博士』(山中峯太郎訳、ポプラ社、世界名作探偵文庫9) 1955
- 上記改造社版の「悪魔博士」の児童向リライト
- 『変装アラビア王』(山中峯太郎訳、ポプラ社、世界名作探偵文庫28) 1955
- 上記改造社版の「愛国侠盗伝」の児童向けリライト
- 『悪魔博士』(山中峯太郎訳、ポプラ社、世界推理小説文庫4) 1962
- 上記「魔人博士」の改題・改装版、挿絵は異なる
- 『バブロンの嵐』(山中峯太郎訳、ポプラ社、世界推理小説文庫17) 1963
- 上記「変装アラビア王」の改題・改装版、挿絵は異なる
- 『怪人フー・マンチュー』(The Mystery of Dr. Fu Manchu、嵯峨静江訳、ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 2004
- 『骨董屋探偵の事件簿』(The Dream Detective、近藤麻里子訳、創元推理文庫) 2013
- 「ギリシャの間の悲劇」(The Case of the Tragedies in the Greek Room)
- 「アヌビスの陶片」(The Case of the Potsherd of Anubis)
- 「十字軍の斧」(The Case of the Crusader's Ax)
- 「象牙の彫像」(The Case of the Ivory Statue)
- 「ブルー・ラージャ」(The Case of the Blue Rajah)
- 「囁くポプラ」(The Case of the Whispering Poplars)
- 「ト短調の和音」(The Case of the Chord in G)
- 「頭のないミイラ」(The Case of the Headless Mummies)
- 「グレンジ館の呪い」(The Case of the Haunting of Grange)
- 「イシスのヴェール」(The Case of the Veil of Isis)
- 『魔女王の血脈』(Brood of the Witch-Queen、田村美佐子訳、ナイトランド叢書) 2017
- 『悪魔博士フー・マンチュー』(平山雄一訳、ヒラヤマ探偵文庫08 The Devil Doctor, The Return of Dr. Fu-Manchu.1916の訳)
短編
- 「ホロウ・グレンジの館」(Master of Hollow Grange、隅田たけ子訳、奇想天外 1974年5月号に収載)
- 「チェリアピン」(Tcheriapin、中村能三訳、東京創元社、世界恐怖小説全集7『こびとの呪い』に収載)
- 中村能三訳、平井呈一編、創元推理文庫、『怪奇小説傑作集2』に収載
- 「青いアネモネ」(Blue Anemones、川口正吉訳、ミステリマガジン1967年1月号に収載)
- 「ふくろうは二度鳴く」(The Owl Hoots Twice、青木秀夫訳、ミステリマガジン1968年1月号に収載)
- 「白い帽子」(The White Hat、山田辰夫訳、ミステリマガジン1977年3月号に収載)
- 「ザイヤットのキス」(The Zayat Kiss、乾信一郎訳、押川曠編、ハヤカワ・ミステリ文庫、『シャーロック・ホームズのライヴァルたち』に収載)
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