マイケル・ジャイルズ : ウィキペディア(Wikipedia)

マイケル・ジャイルズMichael Rex Giles、 1942年3月1日 - )は、イギリス出身のミュージシャン。キング・クリムゾンの創立メンバーの一人であり、初代ドラマーである。

「ローリング・ストーン誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のドラマー」において49位。

経歴

活動開始期の足跡

10代の頃からドラマーとして活動を始め、1961年11月、ダウランド兄弟をフィーチャーしたダウランド・ブラザーズのバックバンドに、ベーシストである弟のピーター・ジャイルズと共に参加。ここで初のレコーディングを経験すると、1964年にはプロ活動に専念する為、兄弟揃ってトレンドセッターズ・リミテッドに加入し、数枚のシングルを発表。バンド自身の活動の他、来英するヒット歌手の興業でバック演奏を数多くこなし経験を積んだ。シーンの主流がビートバンドからアートロックに切り替わる1967年春に、ブレイン(トレンドセッターズの改名後の名称)を脱退。マイケルはピーターと歌えるオルガン奏者の募集広告を新聞に載せ、応募してきた地元ドーセットのギタリストロバート・フリップが加入し、同年9月新バンド・ジャイルズ・ジャイルズ&フリップ(以下GG&F)を結成する。

GG&Fからキング・クリムゾンへ

1968年9月13日、GG&Fのファースト・アルバム『チアフル・インサニティ・オブ・ジャイルズ・ジャイルズ&フリップ』が発売される。やがてイアン・マクドナルド、ジュディ・ダイブルら新メンバーの加入、ピーターからグレッグ・レイクへのベーシストの交代などを経て、バンドはキング・クリムゾンと改名。1969年に『クリムゾン・キングの宮殿』を発表してデビューを飾る。

脱退とその余波

『クリムゾン・キングの宮殿』発表後、キング・クリムゾンは1969年10月からアメリカ・ツアーを開始するが、このツアーの中でマイケルとイアン・マクドナルドはリーダーであるロバートとの溝を深めていく。過酷なツアーの中での心身の疲労に、プライベートな事情も加わり、同年12月には二人はキング・クリムゾンからの脱退を表明。これとは別に、グレッグ・レイクも元ナイスのキース・エマーソンとの新バンド(後のエマーソン・レイク&パーマー)の準備のために脱退し、オリジナル・メンバーのキング・クリムゾンはわずかアルバム一枚を残したのみで終焉を迎えることになった。

1970年5月にキング・クリムゾンはセカンド・アルバム『ポセイドンのめざめ』を発表。マイケルはここではゲスト扱いでプレイしている。次いでイアンとのプロジェクトである「マクドナルド・アンド・ジャイルズ」を結成。そのデビュー・アルバムは一部評論家からは高い評価を得た。

セッション・ドラマーとして

しかしマクドナルド・アンド・ジャイルズは、その音楽面における評価に反し、商業的成功を得ることはできなかった。マイケルはキング・クリムゾン時のアメリカ・ツアーにおいてアメリカ人の音楽に対する柔軟性に触れ、自らの創作活動に迷いを感じるようになっていた。またイアンの方は、レコーディングに多大な時間と費用をかけ過ぎたためラフミックスの状態で出さざるをえなかったと後に述べており、作品自体への不満からこのプロジェクトへのモチベーションを失いつつあった。さらに彼は、恋人シャーロット・ベイツ(同作品のジャケットで共に写っている女性)との関係終焉後セラピーのため渡米することになり『クリムゾン・キングの宮殿 ~風に語りて~』(ストレンジ・デイズ)より、結局マクドナルド・アンド・ジャイルズもアルバム一枚を残したのみで消滅することとなった。

以後のマイケルはセッション・ミュージシャンとしての性格を強めていく。ドラマー不在であったジャクソン・ハイツの一連の作品、ケヴィン・エアーズの『夢博士の告白』、元ファミリーのロジャー・チャップマンとチャーリー・ホイットニーによる『ストリートウォーカーズ』などの他、ロジャー・グローヴァー、アンソニー・フィリップス、グラハム・ボネット、レオ・セイヤー、ペンギン・カフェ・オーケストラ、ブライアン・フェリー、グレッグ・レイクらの作品に参加している。ジャズや映画音楽の分野でも活動し、1983年にはデヴィッド・カニンガム、ジェイミー・ミューアらとともに、ケン・マクマラン監督の映画のサウンドトラック・アルバム『Ghost Dance』を制作している(CDとしての発売は1995年)。

旧友との交流とソロ活動

1999年には旧友イアン・マクドナルドの初ソロ作『ドライヴァーズ・アイズ』にも参加。2002年には、マクドナルド・アンド・ジャイルズのリマスター作業を2人共同で仕上げた。その後、イアン、弟ピーター、メル・コリンズ、ジャッコ・ジャクスジク(元レベル42、ロング・ハロー。マイケルには女婿)といったメンバーからなる「21stセンチュリー・スキッツォイド・バンド」を結成し、かつてのキング・クリムゾン・サウンドを回顧するかのごとき演奏活動も行っている(その後マイケルは2003年に脱退し、ドラマーはイアン・ウォーレスに交代)。また唯一のソロ作品『プログレス』を2002年にリリースしているが、これは1978年において録音済みであったものが25年ぶりに日の目を見たものである。2008年には新たに「マイケル・ジャイルズ・マッド・バンド」を結成。こちらは過去のクリムゾンサウンドとは一線を画するアヴァンギャルドな作風であり、2011年までにスタジオ作品とライブ作品の各一枚ずつをリリースしている。

主なディスコグラフィ

ジャイルズ・ジャイルズ&フリップ

  • 『チアフル・インサニティ・オブ・ジャイルズ・ジャイルズ&フリップ』 - The Cheerful Insanity of Giles, Giles and Fripp (1968年)
  • "One in a Million / Newly Weds" (1968年) ※シングル
  • "Thursday Morning / Elephant Song" (1968年) ※シングル
  • Metaphormosis (2001年)
  • 『ザ・ブロンデスベリー・テープス』 - The Brondesbury Tapes (2001年)

キング・クリムゾン

  • 『クリムゾン・キングの宮殿』 - In the Court of the Crimson King (1969年)
  • 『ポセイドンのめざめ』 - In the Wake of Poseidon (1970年)

マクドナルド・アンド・ジャイルズ

  • 『マクドナルド・アンド・ジャイルズ』 - McDonald and Giles (1971年)

ルーサー・グローヴナー

  • Under open skies (1971年)

マレー・ヘッド

  • Nigel Lived (1972年)

ジャクソン・ハイツ

  • 『フィフス・アヴェニュー・バス』 - The Fifth Avenue Bus (1972年)
  • 『ラガマフィンズ・フール』 - Ragamuffins Fool (1972年)
  • 『バンプ・ン・グラインド』 - Bump n' Grind (1973年)

レオ・セイヤー

  • 『シルバー・バード』 - Silverbird (1973年)
  • 『ジャスト・ア・ボーイ』 - Just a Boy (1974年)
  • 『アナザー・イヤー』 - Another year (1975年)

ケヴィン・エアーズ

  • 『夢博士の告白』 - The Confessions of Dr. Dream and Other Stories (1974年)

ジョン・G. ペリー

  • 『サンセット・ウェイディング』 - Sunset Wading (1976年)
  • Seabird (1995年)

アンソニー・フィリップス

  • 『ワイズ・アフター・ジ・イヴェント』 - Wise After the Event (1978年)
  • 『サイズ』 - Sides (1979年)

イアン・マクドナルド

  • 『ドライヴァーズ・アイズ』 - Drivers Eyes (1999年)

21stセンチュリー・スキッツォイド・バンド

  • 『オフィシャル・ブートレグ Vol.1』 - Official Bootleg V.1 (2002年)
  • 『ライヴ・イン・ジャパン 2002』 - Live in Japan (2003年) ※CD+DVD

ソロ

  • 『プログレス』 - Progress (2002年) ※1978年録音

サウンドトラック

  • Ghost Dance (1996年) ※1983年録音。ジェイミー・ミューア、デヴィッド・カニンガムと連名

マイケル・ジャイルズ・マッド・バンド

  • The Adventures Of The Michael Giles MAD BAND (2009年)
  • In The Moment (2011年) ※ゲスト、キース・ティペット

参考文献

  • 『キング・クリムゾン』北村昌士著 シンコー・ミュージック
  • 『レコード・コレクターズ』1989年3月号、ミュージック・マガジン社
  • 『MARQEE 別冊 キング・クリムゾン』(マーキームーン社、1995年)
  • 『レコード・コレクターズ』2000年1月号、ミュージック・マガジン社
  • 『レコード・コレクターズ』2002年3月号、ミュージック・マガジン社
  • 『クリムゾン・キングの宮殿 〜風に語りて〜』シド・スミス著 ストレンジ・デイズ
  • [[:en:Michael Giles]](UTC: 19:14, 20 February 2012)

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