フェイ・ロン : ウィキペディア(Wikipedia)
フェイロン(Fēi Lóng, 飛龍)は、カプコンの対戦型格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズに登場する架空の人物。
キャラクターの設定
『スーパーストリートファイターII』(以下『スパII』と表記)で追加された4人のキャラクターの内の1人で、香港出身のカンフー使い。一人称は「俺」。6歳の頃からカンフーの道を志し、その腕前を活かしてアクション映画俳優としてデビューした。順調にスターとして成長していくが、ある日世界格闘選手権の開催を知り、技と演技力を磨くために大会に出場する。
『ストリートファイターII』(以下『ストII』)シリーズのエンディングでは演技ではなく闘いに本分を見いだし、新作出演の依頼も断って映画界を離れた。そして20年後、フェイロンが創始した「飛天流カンフー」が世界中に300万人もの弟子を抱える一大流派に成長した様子が見られる。
時代設定が『ストII』シリーズより過去となる『ストリートファイターZERO3』(以下『ZERO3』)では、まだ駆け出しの俳優として登場している。自らを鍛え上げるために世界を駆けめぐり、その活躍を元にした映画が大ヒットしたことで一躍スターへの道を歩み始めることになる。『ZERO3↑↑』におけるユンのストーリーでは、フェイロンとディージェイが一緒に仕事をしたことがあり、親友同士であるとされた。
『ストリートファイターIV』(以下『ストIV』)の家庭用移植版では条件を満たすと使用可能になる追加キャラクターに選ばれており、『スーパーストリートファイターIV』(以下『スパIV』)では最初から使用可能。『ストIV』シリーズの時代設定は『ストII』シリーズから約3年後に当たり、『ストII』シリーズのエンディングでは映画界から離れたように描かれていたが、本作では再び映画俳優として活躍している。『ストIV』シリーズの黒幕であるS.I.N.社のセスはフェイロンの影響力を危険視している。
ゲームボーイアドバンス作品『スーパーストリートファイターIIX リバイバル』でのエンディングは「闘いに本分を見いだして映画界を離れた後は行方知れずになり、フェイロンは伝説の映画スターとなった」という展開に変更されている。
『ウルトラストリートファイターII』のエンディングは、インタビューの際に「ファンの人たちには申し訳ないのですが、今は映画俳優より武道家として人生を歩みたいので映画界を引退します」と発言して、一年後に道場を経営している展開になっている。
『スパII』企画当初は弁髪のモンゴル人で、キャラクターグラフィックやモンゴル風ステージも作られていたが結局変更になり、この没キャラクターがディージェイの原型になった。
人物
自他共に認める熱血漢で無鉄砲、思い込みが激しく直情的な性格。感動屋でもあり、涙脆い。ヌンチャクの使い手だが、ゲーム中は素手で闘う。要点のみをはっきり言うため、勝利後の台詞は他のキャラクターより短いものが多い。
『ZERO3』では所属する芸能事務所がシャドルーの麻薬取引の場になっており、本人も知らない間に「麻薬取引に絡んでいる」という噂を流されたことがある(実際にフェイロンは関与していない)。ユンはその噂を聞きつけてフェイロンを追うが、後に疑惑が晴れ、対シャドルー共同戦線を張った両者の間に友情が芽生えた。
『ストIV』シリーズでは自身が出演する映画「街頭覇王2」の撮影スタッフが何者かの襲撃に遭い、脚本にも変更が加えられるという圧力を受けたため、犯人を成敗すべく自ら調査に乗り出す。その際に自分のファンである青年アベルや武道家としても名のあるフェイロンを倒して名を上げようとする空手少女まことに戦いを挑まれている。
他のメディアでのフェイロン
アニメ映画『ストリートファイターII MOVIE』ではプロレスラーの船木誠勝が声優を務めた。劇中でリュウと対決し、序盤は優勢だったが防御を疎かにしている点を突かれ、四方投げで右腕を脱臼させられる。それでも闘志は衰えず、切り札の「熾炎脚」を繰り出しヒットさせるが決まり手とならず、落下中の隙に「竜巻旋風脚」を喰らい敗れた。試合後リュウにシャドルーのことを告げ、再会を願いつつ別れる。
テレビアニメ『ストリートファイターII V』では春麗の友人であり、銅昴(春麗の父)の弟子という設定で出番が多い。ゲーム版とは髪型が異なる。声優は矢尾一樹。
橋口隆志執筆の『ストII爆笑!!4コマギャグ外伝』(小学館発行)では、トイレのドアを「烈火拳」でノックしたり、勝利時などに見せる身震いが乗っているジェット旅客機を異常振動させるなど、熱血漢の面が強調されていた。当初は語尾が「〜ね!」などで統一されていたが、次第に「〜あるね!」に変わっていった。
伊藤真美執筆の『ストリートファイターIIコミックアンソロジー』(新声社発行)の短編漫画『ホリディ・マーチ』では、キャミィと春麗にボディーガードを頼んでいるが、実際は春麗(追加でキャミィも)を女優にスカウトするための仕掛けものであったために、2人からダブルキックをくらってしまう。同筆者の『SUPER STREET FIGHTHRII X 外伝』では『コミックゲーメスト』に主役がフェイロンの漫画があったが、諸事情で新声社からの発行は無かった。2011年徳間書店発行の『SUPER STREET FIGHTERIIX HARD SPIN OFF』で「FEI LONG」という題名で、上記の『ホリディ・マーチ』込みで復刻した。
中平正彦執筆の『スーパーストリートファイターII キャミィ外伝』(小学館発行)では、格闘大会の予選会場でキャミィに自分をアピールするが、相手にしてもらえなかった。
その他
実写映画『ストリートファイター』には登場しないが、同作をゲーム化したアーケードゲーム『ストリートファイター ザ・ムービー』では、「DUNGEON」ステージの背景で本来ならエドモンド本田とキャミィが捕まっている場面で、彼らのどちらかが戦っていると代わりに澤田謙也が演じるフェイロンが捕まっている(キャプテン・サワダとの兼役)。背景のみの登場であり、プレイヤーキャラクターとしては登場しない。
『スパII』と『スパIIX』でのフェイロンのホームステージの旗は返還前の香港のものだったが、『ハイパーストリートファイターII』では中国の五星紅旗になっている。
2017年10月に11ヶ国を対象として行われた『ストリートファイター』シリーズの「第1回 キャラクター人気投票」では19位を記録株式会社QBQ編『懐かしのメガドライブ 蘇れメガドライバー!!』マイウェイ出版発行、2018年。ISBN 9784865118704 p36-37第1回 キャラクター人気投票 CAPCOM:シャドルー格闘技研究所(2018年2月18日閲覧)。
登場作品
- スーパーストリートファイターII
- スーパーストリートファイターIIX
- ハイパーストリートファイターII
- ストリートファイターZERO3(家庭用のみ)
- ストリートファイターZERO3↑(アッパー)
- ストリートファイターZERO3↑↑(ダブルアッパー)
- SNK VS. CAPCOM 激突カードファイターズ全シリーズ(トレーディングカードゲーム版も含む)
- ストリートファイターIV(家庭用のみ)
- スーパーストリートファイターIV
- スーパーストリートファイターIV ARCADE EDITION
- ウルトラストリートファイターIV
配役
声優
- 船木誠勝 - 『ストリートファイターII MOVIE』
- 矢尾一樹 - 『ストリートファイターII V』
- 鳥海浩輔 - 『ストリートファイターZERO3』
- 中村悠一 - 『ストリートファイターIV』
- マシュー・マーサー - 『ストリートファイターIV』(英語ボイス)
俳優
- 澤田謙也 - 『ストリートファイター ザ・ムービー』(背景)
注釈
出典
参考文献
- スタジオベントスタッフ『ALL ABOUT カプコン対戦格闘ゲーム 1987-2000』電波新聞社、2000年9月15日、ISBN 4-88554-676-1。
- コミックゲーメスト『ストリートファイターIIコミックアンソロジー』新声社、2009年12月20日、ISBN 4-88199-141-8
関連項目
- タイガーバームガーデン (香港) - 実在する香港の庭園。『ストリートファイターII』シリーズのフェイロンのホームステージに使用されている。
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2025/09/28 07:00 UTC (変更履歴)
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