宇治茶 : ウィキペディア(Wikipedia)

宇治茶(うじちゃ、1986年〈昭和61年〉9月2日 - )は、日本の映画監督・イラストレーター。吉本興業所属(文化人枠)。元・嵯峨美術大学芸術学部非常勤講師。

来歴

京都府宇治市出身。京都嵯峨芸術大学芸術学部観光デザイン科卒業。 大学4年の卒業制作時に映画作品を渉猟する中で『妖怪伝 猫目小僧』(1976年・テレビ東京放映)に出会い、「ゲキメーション」という映像表現に衝撃を受け卒業制作の題材に決定した。

その後、2009年(平成21年)3月の卒業制作展にて初のゲキメーション作品となる『RETNEPRAC2』を発表。続いて2010年(平成22年)8月には、「妖怪藝術団体 百妖箱」が主催した第4回作品展「妖怪藝術展 ~ばけてん~」でショートムービー『宇宙妖怪戦争』を発表した。この2作品がきっかけとなり、2011年(平成23年)から『燃える仏像人間』の制作に着手した。『燃える仏像人間』はその才能を高く評価していた京都嵯峨芸術大学芸術学部客員教授の安斎レオが原作・プロデューサーを務め、制作期間1年半を経た2013年(平成25年)に全国公開された。この年に開催された文化庁メディア芸術祭のエンターテインメント部門で優秀賞を受賞し頭角を現すと、2014年(平成26年)には吉本興業(文化人枠)の所属となり、更に2016年(平成28年)には母校・京都嵯峨芸術大学芸術学部の非常勤講師に就任。極めて数少ないゲキメーション作家として後進の指導に当たった。

2019年(令和元年)、世界初の全編ゲキメーション長編映画となる『バイオレンス・ボイジャー』が全国公開され、世界各国の映画祭に正式出品されると数多くの賞を受賞した。 自身も映画監督でありこの作品にナレーションとして特別出演した松本人志は、宇治茶について“「特別な能力が備わった少年」のような感じがする人”と評している。 このような一連の活躍により作品の認知度が高まる中、独自の作風に着目した映画監督・豊島圭介からのアプローチを承ける形で、2020年(令和2年)にテレビ朝日で放映された『妖怪シェアハウス』の昔話パートを担当した。 また同年中にはオープニングとエンディングの映像を担当したNHK Eテレのアニメ『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』が放映されるなど、その作品がテレビを通じて認知されるようになった。更に2022年(令和4年)には『妖怪シェアハウス』の第2シリーズである『妖怪シェアハウス -帰ってきたん怪-』が放映され、同年6月には映画『妖怪シェアハウス -白馬の王子様じゃないん怪-』が全国公開されるなど、ゲキメーション作家の第一人者として活躍している。

なお宇治茶は、ゲキメーションの魅力について次のように述べている。

略歴

  • 1986年(昭和61年)- 9月2日、京都府京都市に生まれる。
  • 1989年(平成元年)- 京都府宇治市に引っ越す。
  • 2009年(平成21年)- 京都嵯峨芸術大学 卒業。卒業制作展にて初のゲキメーション作品となる『RETNEPRAC2』を発表。
  • 2010年(平成22年)- ショートムービー『宇宙妖怪戦争』を発表。大将軍商店街「一条妖怪ストリート」で開催された「妖怪藝術展 ~ばけてん~」にて公開される。
  • 2013年(平成25年)- 映画『燃える仏像人間』が全国公開。文化庁メディア芸術祭のエンターテインメント部門で優秀賞を受賞。
  • 2014年(平成26年)- 吉本興業(文化人枠)に所属。
  • 2016年(平成28年)- 嵯峨美術大学芸術学部の非常勤講師に就任。(~2018年)
  • 2019年(令和元年)- 映画『バイオレンス・ボイジャー』が全国公開。多数の国際映画祭に正式出品し数々の賞を受賞。
  • 2020年(令和2年)- テレビ朝日『妖怪シェアハウス』・NHK Eテレ『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』が放映。
  • 2022年(令和4年)- テレビ朝日『妖怪シェアハウス -帰ってきたん怪-』が放映、映画『妖怪シェアハウス -白馬の王子様じゃないん怪-』が全国公開。
  • 2023年(令和5年)- 個展「けだらけ。」を開催。(名古屋市 Theater Cafe)

作品

映画

※監督作のみ太字

公開年月日作品名制作(配給)担当
2009年3月RETNEPRAC2自主制作(京都嵯峨芸術大学 卒業制作)監督・脚本・キャラクターデザイン・作画・撮影・編集
2010年8月宇宙妖怪戦争自主制作(京都嵯峨芸術大学 妖怪藝術団体 百妖箱監督・脚本・キャラクターデザイン・作画・撮影・編集
2013年5月18日燃える仏像人間ムービーファクトリー(インターフィルム)監督・脚本・キャラクターデザイン・作画・撮影・編集
2014年3月1日オムニバス作品「フールジャパン ABC・オブ・鉄ドン」TEMPURA自主制作(ゆうばり国際ファンタスティック映画祭)監督・脚本・キャラクターデザイン・作画・撮影・編集
2019年5月24日バイオレンス・ボイジャー吉本興業(KATSU-do)監督・脚本・キャラクターデザイン・作画・撮影・編集
2022年6月17日妖怪シェアハウス -白馬の王子様じゃないん怪-角川大映スタジオ(東映)作画・撮影・編集(昔話パート)
2022年8月26日激怒インターフィルム(インターフィルム)作画・撮影・編集(特別映像)
2023年11月24日Pasiriイクチオステガ(神戸インディペンデント映画祭)撮影・編集

テレビ

期間番組名制作(放送局)担当
2020年8月1日2020年9月19日妖怪シェアハウス|角川大映スタジオ(テレビ朝日)|作画・撮影・編集(昔話パート)
2020年9月8日ふしぎ駄菓子屋 銭天堂|東映アニメーション → カナバングラフィックス → ぎゃろっぷ(NHK Eテレ)|作画・撮影・編集(オープニング&エンディング映像)
2022年4月9日2022年6月4日妖怪シェアハウス -帰ってきたん怪-|角川大映スタジオ(テレビ朝日)|作画・撮影・編集(昔話パート)
2024年5月4日霊験お初 ~震える岩~|東映(テレビ朝日)|作画・撮影・編集(オープニング&ゲキメーションパート)

イラスト

  • 「ニッポン仏教夜話」2010 ~それでも輪廻は廻っている~ ポスター(2010年)
  • ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018 キービジュアル(2018年)

デザインワーク

  • 嵯峨野戦隊アラシヤマン(2006年・京都府京都市右京区)
  • 新京極公園 喫煙所パーティション ウォールアート(2022年・京都府京都市中京区)

著作

出品歴

作品映画祭受賞
2013年『燃える仏像人間』JPN 文化庁メディア芸術祭 エンターテインメント部門優秀賞
JPN ゆうばり国際ファンタスティック映画祭
KOR チョンジュ国際映画祭
DEU ニッポン・コネクション
HUN アニローグ国際アニメーション映画祭
2014年JPN 大阪アジアン映画祭 インディ・フォーラム部門
JPN 沖縄国際映画祭
『TEMPURA』JPN ゆうばり国際ファンタスティック映画祭
2018年『バイオレンス・ボイジャー』DEU ニッポン・コネクション
PER リマ国際インディペンデント映画祭
CAN ファンタジア映画祭 アニメ部門銅賞・観客賞
USA ジャパン・カッツ
PRT リスボン国際ホラー映画祭
FRA エトランジェ映画祭
USA オースティンファンタスティック映画祭
JPN 京都国際映画祭
USA イサカ国際ファンタスティック映画祭
FRA ウトピアル 宇治茶監督特集上映
MEX モルビド映画祭
USA デンバー映画祭
GRE テッサロニキ国際映画祭
GBR リーズ国際映画祭
USA バリードアライブ映画祭WTF⁈⁈ アワード
POL ファイブフレーバーズアジアン映画祭
ESP マラガファンタスティック映画祭
DNK ヴォイド国際アニメーション映画祭
ARG ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭審査員特別賞
2019年JPN 京まちなか映画祭

上映会・作品展

開催年月日開催名会場
2010年8月第4回作品展「妖怪藝術展 ~ばけてん~」(『宇宙妖怪戦争』)大将軍商店街「一条妖怪ストリート」
2013年5月23日『燃える仏像人間』試写会京都嵯峨芸術大学AVホール
2014年9月13日-21日「宇治茶監督作品映画『燃える仏像人間』展」京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
2016年2月27日「夜の昆虫映画ひみつ上映会」(『TEMPURA』)京都みなみ会館
2019年4月26日-5月19日「バイオレンス・ボイジャー 宇治茶監督展」大阪 LAUGH & PEACE ART GALLERY OSAKA
2021年11月11日-23日宇治茶監督ドローイング展「スナック破獄」大阪 LAUGH & PEACE ART GALLERY OSAKA
2022年4月9日-17日「宇治茶の部屋」大阪 LAUGH & PEACE ART GALLERY OSAKA
2023年7月7日-10日個展「けだらけ。」名古屋 Theater Cafe

注釈

出典

参考資料

関連項目

  • ゲキメーション
  • 燃える仏像人間
  • バイオレンス・ボイジャー
  • ふしぎ駄菓子屋 銭天堂
  • 妖怪シェアハウス
  • 吉本興業
  • 京都嵯峨芸術大学(現・嵯峨美術大学)
  • 安斎レオ - 嵯峨美術大学芸術学部教授。『燃える仏像人間』の原作及びプロデューサーと『バイオレンス・ボイジャー』のプロデューサーを務めた。
  • 河野隼也 - 嵯峨美術大学芸術学部講師。学生時代から交流があり、氏が設立した「妖怪藝術団体 百妖箱」に所属していた。
  • 岡本健 - 近畿大学総合社会学部准教授、博士(観光学・北海道大学)。学生時代から交流があり、氏の著作『ゾンビ学』では宇治茶が取り上げられている。
  • 都築響一 - 写真家・ジャーナリスト。『燃える仏像人間』と『バイオレンス・ボイジャー』公開時に取材を受けた事から交流がある。
  • 豊島圭介 - 映画監督。『妖怪シェアハウス』シリーズのゲキメーションを担当してから交流がある。

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/09/19 14:18 UTC (変更履歴
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