坂木司 : ウィキペディア(Wikipedia)

は、日本の作家。東京都出身。作品の基本スタイルは「主人公の成長」と「日常の謎」。日本推理作家協会会員、本格ミステリ作家クラブ会員。

略歴・人物

幼少時代から、活字本は児童書、漫画は『ドラえもん』、テレビアニメは『カルピス劇場』、アニメ版『リボンの騎士』等に親しむ。大学卒業後、気晴らしに池波正太郎の『剣客商売』を読みながらの電車通勤生活中、沢木耕太郎の『深夜特急』に感化されて辞職。その後、当時、東京創元社社長だった戸川安宣と対面し手元にある、後に『青空の卵』に収録された短編4本の書籍化を検討され、2002年、『青空の卵』で覆面作家としてデビューする。デビュー作を含む『ひきこもり探偵シリーズ』で注目された。

ペンネームの由来はデビュー作の登場人物から。デビュー前にペンネームが決まっていなかったが、何も思いつかずに登場人物の名前からとった。出生年・生い立ち・学歴は公開しているが他は性別すらも未公表。性別などのプロフィールを公開することによって読者に先入観を与えないためであるかつて数回だけサイン会が行われており、その際は参加者に対し情報を口外しないようにという趣旨のカードを配布している。。

作風

作品に関しては、隙間産業 と自身引き出しの事情、天邪鬼な性格 から、他人と「被らないこと」を大切にしていると述べている。

何が困るかって

『何が困るかって』収録作品「ぶつり」は「Webミステリーズ!」にてオンライン小説として公開され、後に『何が困るかって』に収録された。POP広告内のイラストは坂木自身が担当した。

作品リスト

ひきこもり探偵シリーズ

坂木の代表作。日常の謎を扱ったミステリであると同時に、人間関係のあり方を問う青春小説でもある。

  • 青空の卵(2002年5月 創元クライム・クラブ / 2006年2月 創元推理文庫)
    • 収録作品:夏の終わりの三重奏 / 秋の足音 / 冬の贈りもの / 春の子供 / 初夏のひよこ
  • 仔羊の巣(2003年5月 創元クライム・クラブ / 2006年6月 創元推理文庫)
    • 収録作品:野生のチェシャ・キャット / 銀河鉄道を待ちながら / カキの中のサンタクロース
  • 動物園の鳥(2004年3月 創元クライム・クラブ / 2006年10月 創元推理文庫)

ホリデーシリーズ

  • ワーキング・ホリデー(2007年6月 文藝春秋 / 2010年1月 文春文庫特別便『ホリデーとホテルと僕』を収録)
    • 収録作品:宛先人不明 / 火気厳禁 / こわれ物注意 / 代金引換 / 天地無用
  • ウィンター・ホリデー(2012年1月 文藝春秋 / 2014年11月 文春文庫)
    • 収録作品:配達予告 / サンタ便(トナカイなし) / 歳末特別配送 / 初荷の酒 / ハート配達人 / 届けたい
  • ホリデー・イン(2014年5月 文藝春秋 / 2017年4月 文春文庫文庫版初版には特別便『ホリデーが肉だと先生が困る』を収録)
    • 収録作品:ジャスミンの部屋 / 大東の彼女 / 雪夜の朝 / ナナの好きなくちびる / 前へ、進 / ジャスミンの残像

二葉と隼人の事件簿シリーズ

  • 先生と僕(2007年12月 双葉社 / 2011年12月 双葉文庫)
    • 収録作品:先生と僕 / 消えた歌声 / 逃げ水のいるプール / 額縁の裏 / 見えない盗品
  • 僕と先生(2014年2月 双葉社 / 2017年6月 双葉文庫)
    • 収録作品:レディバード / 優しい人 / 差別と区別 / ないだけじゃない / 秋の肖像 / 指先の理由

和菓子のアンシリーズ

  • 和菓子のアン(2010年4月 光文社 / 2012年10月 光文社文庫)
    • 収録作品:和菓子のアン / 一年に一度のデート / 萩と牡丹 / 甘露家 / 辻占の行方
  • 和菓子のアン - 大活字本
    • 上巻(2017年6月 埼玉福祉会)
      • 収録作品: 和菓子のアン / 一年に一度のデート / 萩と牡丹
    • 下巻(2017年6月 埼玉福祉会)
      • 収録作品:甘露家 / 辻占の行方
  • アンと青春(2016年3月 光文社 / 2018年10月 光文社文庫)
    • 収録作品: 空の春告鳥 / 女子の節句 / 男子のセック / 甘いお荷物 / 秋の道行き
  • アンと愛情(2020年10月 光文社 / 2023年8月 光文社文庫)
    • 収録作品: 甘い世界 / こころの行方 / あまいうまい / 透明不透明 / かたくなな / 冬を告げる/ 豆大福
  • アンと幸福(2023年10月 光文社)
    • 収録先品:江戸と長崎 / 秋ふかし/ 雲の上 / はしりとなごり / お菓子の神さま / 湯気と幸福

読切短編

  • ゴルフ帰り同盟(『ミステリーズ!』vol.23 JUNE 2007 2007年6月 東京創元社)- 『切れない糸』続編
  • チヨコレイコ(『ミステリーズ!』vol.45 FEBRUARY 2011 2011年2月 東京創元社)
  • 波の皺(『本の旅人』No.206 December 2012 2012年11月 角川書店) - 『大きな音が聞こえるか』刊行記念品

エッセイ

  • 3時のおやつ ふたたび(2016年2月 ポプラ文庫)「土台はいらねえ」
  • 甘い系乾きもの菓子頂上作戦(ダ・ヴィンチ 2017年3月号 2017年3月)
  • おしゃべりな銀座(2017年6月 扶桑社)「本と銀座とわたし」
  • おやつが好き(2019年4月 文藝春秋)

その他の作品

  • 切れない糸(2005年5月 創元クライム・クラブ / 2009年7月 創元推理文庫)
    • 収録作品:グッドバイからはじめよう / 東京、東京 / 秋祭りの夜 / 商店街の歳末
  • シンデレラ・ティース(2006年9月 光文社 / 2009年4月 光文社文庫)
    • 収録作品:シンデレラ・ティース / ファントムvs.ファントム / オランダ人のお買い物 / 遊園地のお姫様 / フレッチャーさんからの伝言
  • ホテルジューシー(2007年9月 角川書店/ 2010年9月 角川文庫)
    • 収録作品:ホテルジューシー / 越境者 / 等価交換 / 嵐の中の旅人たち / トモダチ・プライス / ≠(同じじゃない) / 微風
  • 夜の光(2008年10月 新潮社 / 2011年8月 新潮文庫)
    • 収録作品:季節外れの光 / スペシャル / 片道切符のハニー / 化石と爆弾 / それだけのこと
  • 短劇(2008年12月 光文社 / 2011年2月 光文社文庫)
    • 収録作品:カフェラテのない日 / 目撃者 / 雨やどり / 幸福な密室 / MM / 迷子 / ケーキ登場 / ほどけないにもほどかある / 最後 / しつこい油 / 最後の別れ / 恐いのは / 変わった趣味 / 穴を掘る / 最先端 / 肉を拾う / ゴミ掃除 / 物件案内 / 壁 / 試写会 / ビル業務 / 並列歩行 / カミサマ / 秘祭 / 眠り姫 / いて
  • 大きな音が聞こえるか(2012年12月 角川書店 / 2015年7月 角川文庫)
  • 肉小説集(2014年10月 KADOKAWA / 2017年9月 角川文庫)
    • 収録作品:武闘派の爪先 / アメリカ人の王様 / 君の好きなバラ / 肩の荷(+9)/ 魚のヒレ / ほんの一部
  • 何が困るかって(2014年12月 東京創元社 / 2017年12月 創元推理文庫)
    • 収録作品:いじわるゲーム / 怖い話 / キグルミ星人 / 勝負 / カフェの風景 / 入眠 / ぶつり / ライブ感 / ふうん / 都市伝説 / 洗面台 / ちょん / もうすぐ五時 / 鍵のかからない部屋 / 何が困るかって / リーフ / 仏さまの作り方 / 神様の作り方
  • 女子的生活(2016年8月 新潮社)
  • 鶏小説集(2017年10月 KADOKAWA)
    • 収録作品:トリとチキン / 地鶏のひよこ / 丸ごとコンビニエント / 羽のある肉 / とべ エンド
  • 楽園ジューシー(2022年2月 KADOKAWA)
    • 収録作品:約束 / 風の音 / 境界 / ローリングカラーストーン/ フェア/君ではない/眩しさ
  • ショートケーキ。(2022年4月 文芸春秋)
    • 収録作品:ホール / ショートケーキ。 / 追いイチゴ / ままならない / 騎士と狩人

アンソロジーその他

「」内が坂木司の作品

  • Sweet Blue Age(2006年2月 角川書店)「ホテルジューシー」後に『ホテルジューシー』収録
  • 名探偵の奇跡 最新ベストミステリー(2007年9月 光文社 / 2010年5月 光文社文庫)「先生と僕」 後に『先生と僕』収録
  • 旅立ち。卒業、十の話(2008年2月 メディアファクトリー) 「告白の日」
  • ピュアフルアンソロジー 片想い。(2008年3月 ジャイブ ピュアフル文庫)「長い片想い」
  • きみが見つける物語 十代のための新名作・友情編(2008年8月 角川書店)「秋の足音」『青空の卵』創元推理文庫版からの収録
  • 作家の読書道 3(2010年5月 本の雑誌社)※インタビュー収録、作家18人の読書ライフからどんな本を読んで育ち、どんな本に影響を受けたのかを探る。
  • 坂木司リクエスト!和菓子のアンソロジー(2013年1月 光文社 / 2014年6月 光文社文庫)「空の春告鳥」後に『アンと青春』収録
  • 大崎梢リクエスト!本屋さんのアンソロジー(2013年1月 光文社 / 2014年8月 光文社文庫)「国会図書館のボルト」初出は『小説宝石』2012年6月号(光文社)
  • エール!2(2013年4月 実業之日本社文庫)「ジャグジー・トーク」
  • 奇想博物館 最新ベスト・ミステリー(2013年12月 光文社)「国会図書館のボルト」
  • 私がデビューしたころ ミステリ作家51人の始まり(2014年6月 東京創元社)「時候の挨拶」
  • この部屋で君と(2014年8月 新潮文庫nex)「女子的生活」後に『女子的生活』収録
  • パレス・メイヂ (4) 同人誌付き特装版(2015年8月 著:久世番子 白泉社 花とゆめCOMICS)「或る休日」
  • みんなの少年探偵団2(2016年3月 ポプラ社)「うつろう宝石」
  • 自薦 THE どんでん返し(2)(2017年1月 双葉文庫)「勝負」坂木本人より『何が困るかって』からの「どんでん返し」作品自薦

雑誌連載中作品

  • おやつが好き(銀座百店会『銀座百点』2017年4月号 - )
  • 和菓子のアン(『ジャーロ』No.80 2022 JANUARY - )
  • きみのかたち(『紙魚の手帖』vol.04 APRIL 2022 - )
  • 山の学校(『文蔵』2011年6月号-2018年3月号)

メディア・ミックス

映画

  • ワーキング・ホリデー(2012年11月17日公開 企画・制作:讀賣テレビ放送/吉本興業 監督:岡本浩一 主演:AKIRA)

ドラマ

  • 青空の卵(2012年7月28日 - 9月29日、BS朝日、主演:阿久津愼太郎
  • 女子的生活(2018年1月5日 - 1月26日、NHK総合、主演:志尊淳

漫画

  • ワーキング・ホリデー(作画:こやまあやこ マッグガーデン BLADE COMICS)
    1. 2009年3月発売
    2. 2009年9月発売
  • 青空の卵(作画:藤たまき 新書館 ウイングスコミック)
    1. 2010年12月発売
    2. 2013年4月発売
  • 和菓子のアン(作画:猪狩そよ子 白泉社 花とゆめCOMIC)
    1. 2014年6月発売
    2. 2015年7月発売
    3. 2015年10月発売

朗読化

『青空の卵』(2002年5月 創元クライム・クラブ / 2006年2月 創元推理文庫)他「ひきこもり探偵」シリーズ全3作が朗読化されている。朗読者は西山宏太朗。株式会社アールアールジェイにて運営する、スマートフォンサイト『kikubon』にて配信中。

2016年12月15日『青空の卵』、2017年4月20日『仔羊の巣』がオーディオブック配信サイト「FeBe」より配信。朗読者は寺島愛

注釈

出典

関連項目

  • 日本の小説家一覧
  • 推理作家一覧

外部リンク

何が困るかって

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/08/10 01:18 UTC (変更履歴
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike and/or GNU Free Documentation License.

「坂木司」の人物情報へ