西澤晋 : ウィキペディア(Wikipedia)

西澤 晋(にしざわ すすむ、1962年7月9日 - )は、日本の男性アニメーター、アニメ監督。

アニメーターを目指した経緯

西澤がアニメーターを目指すきっかけは、中学生時代に散髪屋で雑誌を読んだことによる。当時はすでにアニメが好きであり、アニメーターになることを漠然と考えていたが、具体的な方法や目標像を持てていなかった。その雑誌に掲載されていた記事では、漫画家志望者がまずはアニメーターとしてキャリアをスタートさせた事例が紹介されており、それを読んだ西澤は「このくらい描かないといけないのか」と具体的な目標を持ち始めた。

高校在学中、ブームとなっていた『宇宙戦艦ヤマト』の漫画化に取り組んだ。カセットテープに音声を録音し、それを聞きながらノートにマンガ形式で絵を描くという作業を継続した。西澤の通っていた高校は進学校であり、予習が必須であったが、それでもなお時間を捻出して絵を描き続けた。3年時には『ヤマト』漫画化計画完成のために描くペースを上げ、夏休みの大半を費やした。

人物

西澤は、アニメーターとして力をつけるためには「1つの絵を丁寧に描くよりも、数をこなすことが重要である」と考えている。サンライズにて演出志望の制作進行者向けに演出講座を開いた際には、「とにかく描け」と指導し、1週間に40ページのペースでリアル系漫画の模写を課した。西澤によれば、わずか2〜3か月程度の期間ではあったが、模写経験がほとんどなかった参加者たちも一定の描画能力を身に付けるに至ったという。

西澤は広角レンズの使用に対して否定的な見解を持っている。その理由として、広角レンズが視聴者の感情移入を妨げる要因になることを挙げている。西澤は、映画やドラマの面白さは「内容の面白さ」と「感情移入」の積で成り立つと考えている。どのようなに優れた内容であっても、視聴者が感情的に没入できなければそれは「他人事」となり、十分な効果を持たないという。西澤によれば、広角レンズによって撮影された画面は、脳内で「ありえない画角」として認識されるという。これは、人間が実際に行動中に目にする視野と、広角レンズによって歪曲された映像との間に不一致が生じるためである。この不自然さが、視聴者を現実感覚から遠ざけ、感情移入を阻害すると説明している。このような考えに基づき、西澤は「現実の引き出し」を持つことを非常に重要視している。視聴者が映画の中でリアル感覚を維持できるよう、日常的な視覚体験に近い映像表現が必要であると考えている。西澤は、現実の視覚感覚を養うために1970年代から1990年代前半までの映画作品、特に木村大作作品の視聴を推奨している。これらの旧来の映画作品では、多くが望遠レンズによって撮影されている。そのため、画面内に消失点が明確に現れるカットは全体の10カットに1つ程度しか含まれていない。西澤は、消失点を意識させない映像表現こそが映画的だと評価しており、そうした技法が自然な感情移入を促すと考えている。

参加作品

テレビアニメ

劇場アニメ

OVA

Webアニメ

著書

  • 『リアルなキャラクターを描くためのデッサン講座』(漫画の教科書シリーズ)誠文堂新光社、2009年、。
  • 『増補改訂 リアルなキャラクターを描くためのデッサン講座』(描きテク!)誠文堂新光社、2022年、。

注釈

出典

参考文献

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2025/05/31 18:54 UTC (変更履歴
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