浦野光 : ウィキペディア(Wikipedia)
浦野 光(うらの ひかる、1931年9月22日 - 2018年5月2日 日俳連ニュースNo.167)は、日本の声優、俳優、ナレーター。神奈川県出身。
来歴
神奈川県小田原市で育ち、父親の仕事の都合で東京府(現:東京都)、三重県四日市市と移り住む。
早稲田大学商学部を経て、設立されたばかりの中部日本放送放送劇団に応募した。一度は落選するが、1953年(昭和28年)春、二期生の募集に再度応募し合格した。養成期間を経て、ナレーションでデビュー後、3年でラジオ東京放送劇団に移籍した。吹き替えの仕事を開始した後、フリーとなり、タレントエージェント、シナリオ文芸協会、グループだいこん、セブンセンター、クリエイティブオフィスZなどに所属した。
テレビ草創期からラジオドラマ等に出演し、洋画の吹き替えではジェームズ・スチュアート、ロバート・ミッチャムを担当した。このキャスティングはNETテレビのプロデューサーだった植木明によるもので、特にスチュアートの作品はそのほとんどで声を担当している。『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』に代表されるナレーション担当作品では淡々とした語り口が特徴である一方で、吹き替えを担当した『ポパイ』や『世界の料理ショー』などでは全く対照的なハイテンションで弾けた演技を聴くことが出来、幅広い役柄に持ち味を出している。
1960年代から90年代にかけて、花王提供のワイドショー番組(『モーニングショー(テレビ朝日)』、『アフタヌーンショー(同)』、『3時にあいましょう(TBS)』)で同社の契約タレントとして生コマーシャルを担当していた。
2018年5月2日に86歳で死去した。その訃報は9月に発売された特撮映画のムック本『別冊映画秘宝 特撮秘宝』Vol.8(洋泉社)で、河崎実(映画監督)が浦野を追悼する一文を寄せたことにより明らかにされた。
人物
- 浦野の演技論として「非常に不自然で、元の俳優に失礼に値する」とのことから声を変えるということはなく、ごく自然なままの演技を心掛けてきている。また、声優の専門学校出身で吹替をしている近年の若手に対しては「(声を変えることから入っているが故に)ひとりずつの表現ができていない」「(演技が)表面的になってしまっている」といった苦言を呈している。
- 現役の頃は過去の出演作で名前を覚えられることにかなり抵抗があると話しており、「私達のような仕事をしている人は、あまり昔の仕事を思い出したくないんですよ。昔のままのイメージで思われている事は僕にとって悲しい事ですね。それ以後、何もないという事ですから。」と語り、また持ち役のポパイの再演のオファーも断り続けてきたとしているも『スクリーン』1978年7月号、実際は一線を退く1990年代後半頃まで様々な媒体でポパイを再演し続けている。
- ポパイで共演した熊倉一雄によると新人時代にアテレコの直前に下痢を理由にブースを退出した共演者と自身の役を生放送で演じ分けるという荒業を披露するも兼任した役の方に力が入ってしまい自身の役の演技がおざなりになってしまったためディレクターから叱責されたことがあるという朝日新聞 1969年6月15日 『アテレコいまむかし』より。
- 晩年は活動を積極的に行っていなかったが、インタビューに応えたり、イベントや吹替の新録などで以前の持ち役の再演をすることはあった。また 2008年4月6日放送の『大胆MAP 顔を見てみたいアニメキャラクター30人全部見せちゃうよ! 春の撮れたて新作SP』(テレビ朝日)にポパイの声優として顔出し出演した。番組内でオリーブ役の京田尚子に直接電話をかけ、約50年ぶりの声の共演を実現させた。8月31日放送の『人気アニメキャラクターの声をやっている人の顔あいうえお順に全部見せちゃうよSP』でもこの時のダイジェストが放送された。
- 趣味は釣り、園芸(洋蘭)。
出演作品
太字はメインキャラクター。
吹き替え
担当俳優
映画
ドラマ
テレビ番組
- 世界の料理ショー(1974年、初代グラハム・カー)※東京12ch版
アニメ
- ポパイ(1959年 − 1965年、ポパイ)
- 空飛ぶロッキー君(1964年 − 1965年、へら鹿ブルウィンクル)
- 怪獣王ターガン(1969年、ターガン〈マイク・ロード〉)※NET版
人形劇
- 海底大戦争 スティングレイ(1964年)※TBS版
- 第25話『X20の百面相作戦』(マーティ監督〈〉)
- 海底大戦争 スティングレイ(1965年)※TBS版
- 第21話 『地獄から来た男』(軍医〈デビッド・グラハム〉)
- キャプテン・スカーレット(1968年、オーカー大尉〈〉)
テレビアニメ
- 鉄腕アトム (アニメ第1作)(1963年)
- 鉄人28号 (テレビアニメ第1作)(1963年)
- シスコン王子(1963年) - ブラックスター
- アニメンタリー 決断(1971年) - ナレーター
特撮
ラジオ
- 赤胴鈴之助
- 浦野光のサン・サン・サタデー(文化放送、1978年4月1日 - 1981年4月4日)
- TOYOTA MUSIC IN LOVE(1981年4月11日 - )※途中から山本コウタローと交代
テレビドラマ
- 我が家の夢
- キリ子さん(1955年、KR)
- 若い人(1956年、KR)
- 愛情物語(1957年、KR)
- 第4話「星の降る夜」
- 第8話「新版舌切雀」
- 東芝日曜劇場 第103回「マンモスタワー」(1958年、KR) - 映画会社社員 役
- 事件記者 第54話「動機」(1960年、NHK) - 小杉 役
- 松本清張シリーズ・黒の組曲 第27話「黒い樹海」(1962年、NHK) - 吉井 役
- 文芸劇場 第50回「雁」(1962年、NHK)
- 近鉄金曜劇場「灰燼」(1963年、TBS)
- 夫婦百景 第292回「素敵な半人前」(1963年、NTV)
- 近鉄金曜劇場「奴凧」(1964年、TBS)
- 顔で笑って(1973年 - 1974年、TBS) - ナレーター
- 風の中のあいつ(1973年 - 1974年、TBS) - ナレーター
- 事件狩り(1974年、TBS) - ナレーター
- ザ・シェフ(1995年、NTV) - ナレーター
映画
- 大吉ぼんのう鏡(1962年)
- 影狩り(1972年) - ナレーター
CM
- 花王(モーニングショー、アフタヌーンショー、3時にあいましょう)※生放送CM
舞台
- にしん場(1954年) - 稚内
- ウルトラマンフェスティバル2016 ライブステージ(2016年) - ゾフィーの声 ※特別出演
その他コンテンツ
- 野生の王国(1963年 - 1968年) - ナレーター
- ウルトラセブン ソノシート(1967年 - 1968年) - ナレーター
- ドキュメンタリーDVD「ウルトラヒロイン伝説 アンヌからセブンへ」(2002年) - ナレーター
- ウルトラ情報局(2004年3月号) - ゲスト出演
書籍
- 僕らを育てた声 浦野光編(アンド・ナウの会)
外部リンク
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/11/30 13:16 UTC (変更履歴)
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