小林はくどう : ウィキペディア(Wikipedia)
小林 はくどう(こばやし はくどう 1944年〈昭和19年〉 - )は、日本の映像作家、造形作家。市民ビデオへの尽力でも知られる。成安造形大学名誉教授。
主な経歴
1944年、宮城県仙台市に生まれる。本名、小林博道(ひろみち)。
多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業後、造形作家として活動を始める。機械じかけで動く彫刻「はくどうマシン」を日本現代美術展(1969)、1970年大阪万博などで発表。万博でお祭り広場の演出を手がけたことから映像に興味を持つ。
1972年からビデオ制作を開始。山口勝弘、中谷芙二子、かわなかのぶひろ、松本俊夫、萩原朔美らと共に「」結成に参加、「鷲づかみの映像」などビデオプロジェクトを行う。
「ビデオひろば」が行った横浜野毛再開発リサーチ(1973)がきっかけで、ビデオを使った社会との関わりに興味を持ち、日本最初のビデオコミュニティを東京都国立市で制度化(1978)する。「ビデオひろば」活動は2016年森美術館で展示された。
1980年、筑波大学芸術学系専任講師として同大学共同研究「北北海道調査研究」に参加。
1992年から1994年まで成安女子短期大学造形学科教授、1994年から2010年まで成安造形大学造形学部教授として映像教育に携わる。
ニューヨーク近代美術館、ポールゲッティ芸術センター、登米アートトリエンナーレ、2018VIDEOGUD(ストックホルム)など国内外でのビデオアートの発表も多い。中国、韓国との作家交流展やJAALA(日本・アジア・ラテンアメリカ/・アフリカ)美術家会議のメンバーとしても活動。
市民ビデオへの関わり
東京ビデオフェスティバル(日本ビクター主催)の企画、運営、審査委員を担当(1978~2009)。その後、運営をNPO法人「市民がつくるTVF(東京ビデオフェスティバル)」として引き継ぎ、代表理事を務める(2009~)。
NHKテレビ番組『あなたも映像作家』講師(1996)。とよたビデオコンテスト(2010~)、全国ビデオ映像コンテスト(2015~)の審査委員長など、多くのコンテストの審査委員。多数自治体の映像講座講師。市民ビデオ研究会主催(2016~)。他に書籍等、様々な形で市民ビデオの発展に尽力している。2018年からは市民ビデオの専門誌『ビデオゲルニカ』発行人となる。
主な発表歴
1967・関根伸夫と2人展(椿近代画廊)
1968・「日本かまいたち展」(横浜市民ギャラリー)プロデュース
1968・動く彫刻「はくどうマシーン」で「ウオカー画廊コンペ第1席受賞 個展
1969・第9 回日本現代美術館コンクール賞受賞
1970・大阪万博の三井館、万博美術館に展示
・「現代美術の動向展」(京都近代美術館)
・「今日の作家展」(横浜市民ギャラリー)に出品
1971・E.A.T に参画。「ユートピア Q&A 1981」( ストックホルム近代美術館)
1972・「ビデオ・コミュニケーション/Do it Yourself kit」銀座・ソニー)
1974・「 トーキョー・ニューヨーク・ビデオ・エキスプレス」展(天井桟敷)
・「東京ビエンナーレ(日本国際美術展)」(東京都美術館)
・「国際コンピューターアート展」(ソニービル)
1975・寺山修司の誘いで『市街劇ノック』(阿佐ヶ谷)
1976・アルゼンチンのCYCC によるプロデュース『エンカウンターオンビデオ』に参加。ベネゼエラ、メキシコ、スペイン(ミロ美術館)等海外美術館 で巡回上映
1977・「 現代美術の鳥瞰図」展(京都国立近代美術館)
1978・『国際ビデオアート展』(草月会館)
1978~1992・国立市でコミュニティビデオを提唱、制作を担当
1979・『 Video from Tokyo to Kyoto,Fukui』(ニューヨーク近代美術館 )
1981・「ジャパンビデオフェスティバル」(パリ・フナック) ・「今日の日本美術展」 (宮城県美術館)
1982・シドニービエンナーレ(オーストライリア)
1988・ビデオナーレ(ドイツ・ボン)
1990・花と緑の博覧会 三菱未来館 サブホール映像(大阪)
・映像個展「はくどうのビデオジャングル」(キリンプラザ大阪)
1996~1997・「戦後日本の前衛美術展」(横浜市美術館、グッゲンハイム・ソフォー美術館)
2005・「アート&テクノロジーの過去と未来展」(東京ICC)
2007・「Radical Communication Japanese Video Art 1968-1988」(ポールゲッティ美術館ロサ
ンゼルス)
2010・幾何学アートの祭典「登米アートトリエンナーレ2010」(宮城県登米市)
2012・「アジアコスモポリタン交流展」(韓国水原市)
・「 釜山国際環境芸術祭」(韓国釜山市)
2014・「小林はくどう展」(調布画廊)
2015・「AQUA WORKS ヴィデオパフォーマンス 映像個展」(東京・喫茶茶会記)
2015・「芸術の絆TSA中日交流展」(上海・梧桐美術館)
2017・「小林はくどう展」東京・調布画廊
2017・「和吟東西展」に出品(東京・中国文化センター)
2018・2018VIDEOGUDに出品(スウェーデン・ストックホルム)
2023・ 「ケーススタディはアートだ」(ギャラリイK)
主なコレクション
- アーヘン市ラドウィッグ美術館(ドイツ)
- ニューヨーク近代美術館(アメリカ)
- 宮城県美術館
- 広島現代美術館
- 愛知県立芸術センター
- ポール・ゲッティ芸術センター(アメリカ)
- 横浜美術館
- 徳島県美術館
受賞歴
1968年9月 ウオカー画廊コンペ第一席受賞
1969年5月 第9回日本現代美術展コンクール賞受賞
1986年11月 東京ビデオフェスティバル功労者顕彰
1991年6月 SAVA企業映像祭「SAVA会長賞」受賞
1998年3月 東京ビデオフェスティバル功労者顕彰
2010年11月 情報文化学会片方善治賞受賞
主な著作
- 『ビデオ便利帳』4 共著1976 伸樹社刊
- 『ザ・スーパービデオ』監修 共著 1976 主婦の友社刊
- 『PLAY THE VIDEO』監修 共著 小林はくどう、新しいビデオライフを考える会 (株)日本ビクター刊
- 『ビデオ便利帖』7 共著 1980 (株)伸樹社 協同執筆者:ナムジュンパイク、松本俊夫、山口勝弘
- [シリーズ・『TV番組を作ろう』全集(全5巻)] 共著 1984 リブリオ出版刊 協同執筆者:川村尚敬
- 『はくどうのビデオジャングル』共著1990 伸樹社刊 共同執筆者:山口勝弘、羽仁進、大林宣彦、中谷芙二子、 斉藤義重、三沢憲司他。
- 『あなたも映像作家』共著 1996 NHK出版 監修:小林はくどう 協同執筆者:大林宣彦
- 『市民ビデオ宣言』監修 共著 1996 玄光社刊 協同執筆者:羽仁進、大林宣彦他。
- 『ビデオde楽々スタジオ』ソフトシナリオ、 別冊マニュアル 単著 2001 AIソフト刊
- 『霧の抵抗 中谷芙二子展』寄稿 2019 フィルムアート社 寄稿者 磯崎新、岡崎乾二郎、かわなかのぶひろ、萩原朔美、藤幡正樹他。
外部リンク
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/07/15 01:36 UTC (変更履歴)
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