森一弘 : ウィキペディア(Wikipedia)

森 一弘(もり かずひろ、1938年10月12日 - 2023年9月2日)は、カトリック教会の司教。洗礼名は「パウロ」。

経歴

1938年10月12日、神奈川県横浜市で生まれる。「当時の平均的日本の家庭のように、神棚と仏壇が共存してい」る、両親共クリスチャンではない家庭であった。栄光学園 p.58.高校在学中、カトリックの洗礼を受ける。受洗時には既に司祭への道を歩む覚悟を決めていた p.63.。1959年、男子カルメル修道会に入会。修道名は「神の母のパウロ」。1960年、上智大学文学部哲学科 p.257(巻末の著者略歴)。を卒業。1962年、ローマ・カルメル会国際神学院に留学。1967年3月、ローマで司祭に叙階された。1968年、同学院を修了、帰国 p.52.。帰国後は東京都世田谷区の、現在の町名で上野毛にある男子カルメル会修道院で生活し、カトリック上野毛教会の司牧を務めた森『心の闇を乗り越えて 』オリエンス宗教研究所、2004年7月。。その後カトリック東京大司教区の教区司祭に任ぜられ、1977年8月から1981年3月まで関口教会の助任司祭を、1981年4月から1985年1月まで同教会の主任司祭を務めた。1984年12月3日、同教区の補佐司教に任命され、1985年2月23日に司教に叙階された。東京大司教区補佐司教として司牧と福音宣教に努める傍ら、聖書研究に精励し数多くの著書を執筆。1993年から2000年までカトリック中央協議会事務局担当司教、1994年から1998年まで同協議会事務局長を兼任。2000年5月13日に補佐司教を引退した。1985年11月から2021年6月まで真生会館(東京・信濃町)理事長を務め、執筆・黙想指導などを行い続け「森一弘名誉補佐司教逝去」‐『カトリック新聞』2023年9月17日。第4687号。1面。、死の直前まで同会館の講座を担当していた。

2023年9月2日午前3時39分、上部消化管出血のため東京都千代田区の東京逓信病院にて死去(帰天)。享年84。同月5日、東京カテドラル聖マリア大聖堂で葬儀ミサ・告別式が執り行われた。森の生前の希望により、遺体は献体されることが既に決まっており、式後、柩は火葬場ではなく、献体の受け入れ機関へと運ばれた。納骨式は数年後となる見込み『東京教区ニュース』(カトリック東京大司教区広報部)第406号(2023年10月号)、第3面。ウェブ版。。

著書・著作

著書
  • 『愛とゆるしと祈りと 』中央出版社、1980年2月 ISBN 978-4805600078
  • 『続・愛とゆるしと祈りと 』中央出版社、1983年3月 ISBN 978-4805654064
  • 『 福音のこだま』女子パウロ会、1980年3月 ISBN 978-4789600491
    • 電子版:同会、2015年1月
  • 『家庭のこころ 』女子パウロ会、1981年5月 ISBN 978-4789600972
  • 『神に向かう心 』中央出版社、1982年5月 ISBN 978-4805614099
  • 『大きな力に信頼して 』女子パウロ会、1983年9月 ISBN 4-7896-0158-7 ISBNコードは2001年の改訂版と共通。
    • 改訂版『大きな力に信頼して 』女子パウロ会、2001年8月 ISBN 978-4789601580 / 電子版(同会、2013年10月)
  • 『人の思いをこえて 』一部の公立図書館では、副題の「B年」が「13年」と誤記登録されているもの有り(「国立国会図書館サーチ」2023年9月12日現在)。 女子パウロ会、1984年10月 ISBN 978-4789601856
    • 電子版『人の思いをこえて 』同会、2013年12月
  • 『神のやさしさの中で 』女子パウロ会、1985年10月 ISBN 978-4789602181
    • 電子版『神のやさしさの中で 』同会、2013年12月
  • 『神父が答える身上相談』(女子パウロ会、1984年12月 ISBN 978-4789601894)ー 月刊誌『あけぼの』(女子パウロ会、現在は休刊)月刊誌『あけぼの』は、1956年1月号から2015年5月号まで刊行された。創刊号から1956年9月号までの奥付表記は「編集兼発行人 聖パウロ修道会 ヴィンセンソ・テスティ /発行所 聖パウロ修道会 /取次所 聖パウロ女子修道会」。同年10月号-11月号で「編集者 聖パウロ女子修道会」(発行人・発行所・取次所は同上。この時まで発行人の住所は修道院の所在地とは別住所である)、同年12月号より「編集人 聖パウロ女子修道会」となる。発行人は「ヴィンセンソ・テスティ」(この時より住所が聖パウロ修道会のある新宿区若葉町となる。1956年12月号-1957年8月号)・「聖パウロ修道会 グィド・パガニーニ」(1957年9月号-1958年3月号)、発行所は「中央出版社」(1957年9月号-1958年3月号)と若干の変遷を経て、「編集人・発行人・発行所」の3者共すべて「聖パウロ女子修道会」と表記されるのは1958年4月号からである。1983年1月号-1986年12月号の連載「神父が答える身上相談」から前半2年分を収録。遠藤周作没後15年に当たる2011年、森は「今だから言える」と、企画の仕掛け人が遠藤であり、質問は一般読者からのものではなく遠藤が作成していたことを明らかにした(2023年9月現在セキュリティ保護なし)本書奥付の「著者」は森一弘だが、表紙には「質問の選択 遠藤周作 /答える神父 森一弘」と印刷されており、「まえがき」を遠藤が、「あとがき」を森が担当している。。
  • 『あらたな出会い ‐‐』女子パウロ会、1987年1月 ISBN 4789602540
    • 電子版:同会、2019年4月
  • 『イエズスとともにあゆむ心』中央出版社、1987年2月 ISBN 978-4805604199
  • 『開かれた教会づくりをめざして 』中央出版社、1987年6月 ISBN 978-4805673096
  • 『信徒の霊性 』女子パウロ会、1988年4月 ISBN 978-4789602907
  • 『大地からの信仰 』中央出版社、1991年4月 ISBN 978-4805656112
  • 『聖書のこころを読む』中央出版社1995年4月1日に「サンパウロ」と社名変更した。、1994年9月 ISBN 978-4805647981
  • 『愛は 死んでもいいということ』女子パウロ会、1995年1月 ISBN 978-4789604345
  • 『カトリック司教がみた日本社会の痛み -』女子パウロ会、2000年9月。森と辺見庸との対談も収録。ISBN 978-4789605236
  • 『みことばの調べ 』サンパウロ、2001年10月 ISBN 978-4805682203
  • 『みことばの調べ 』サンパウロ、2002年11月 ISBN 978-4805682210
  • 『みことばの調べ 』サンパウロ、2000年10月 ISBN 978-4805682197
  • 『しんげん 』女子パウロ会、2004年4月 ISBN 978-4789605809
  • 『心の闇を乗り越えて 』オリエンス宗教研究所、2004年7月 ISBN 978-4872320435
  • 『聖書のことば 』平凡社、2005年12月 ISBN 978-4582833089
  • 『キリストの言葉 』平凡社、2006年12月 ISBN 978-4582707144
  • 『キリスト教入門Q&A』教友社、2008年4月 ISBN 978-4902211306
  • 『どう、生きたらよいのか 』教友社、2010年5月 ISBN 978-4902211603
  • 『これからの教会のありようを考える』女子パウロ会、2011年4月 ISBN 978-4789607049
  • 『人はみな、けなげに生きている --』サンパウロ、2013年3月。苦しみや傷を抱えた信徒たち(すべて仮名)への森によるインタビュー集正・続『人はみな、けなげに生きている』では、森は「編著者」。。ISBN 978-4805673294
  • 『続・人はみな、けなげに生きている --』サンパウロ、2014年5月。正編に引き続き、重荷を負う信徒たち(仮名)に森が耳を傾けながら、その辛さに寄り添い、苦しみを神の光で照らそうとする。正編読者による座談会を巻末に収録。ISBN 978-4805654156
  • 『あなたにとって神とは? ‐』女子パウロ会、2014年6月 ISBN 978-4789607384
    • 電子版:同会、2017年9月
  • 『人はみな、オンリーワン 』女子パウロ会、2017年3月 ISBN 978-4789607810
    • 電子版:同会、2017年4月
  • 『教皇フランシスコ ‐‐』サンパウロ、2019年5月教皇フランシスコは、2019年11月23日~26日にかけて訪日した。教皇の来日としては38年9ヵ月ぶり。 ISBN 978-4805620991
  • 『教皇フランシスコの「いのちの言葉」』扶桑社、2019年11月 ISBN 978-4594083588
    • 電子版:同社、2019年11月
  • 『「今を生きる」そのために 』扶桑社、2020年11月 ISBN 978-4594086565
    • 電子版:同社、2020年11月
  • 『人生を支え、老いを照らす光』女子パウロ会、2022年1月 ISBN 978-4789608275
  • 『祈りへの招き ‐‐』サンパウロ、2022年5月 ISBN 978-4805604854
著書(共著)
  • 『日本の教会の宣教の光と影 』森の企画監修。著者は森ら8名。収録10論文のうち3本を森が執筆。サンパウロ、2003年9月。ISBN 978-4805665282
  • 『神の発見 』 森と五木寛之との対談(著者名筆頭は五木寛之)。平凡社、2005年8月 ISBN 978-4582832525
    • のち文庫『神の発見』
角川文庫(角川書店、2009年10月。ISBN 978-4041294413)
学研M文庫(学研パブリッシング、2013年9月。ISBN 978-4059008569)
徳間文庫カレッジ(徳間書店、2016年5月。ISBN 978-4199070518)
角川文庫電子版(KADOKAWA、2015年3月)
  • 『殉教と殉国と信仰と 』森、菱木政晴、高橋哲哉の共著(座談会含む)。発行・白澤社、発売・現代書館、2010年6月。ISBN 978-4768479346
著書(児童書)
  • 『かみさまはどこにいるの(上)』(挿絵・藍真理人)中央出版社、1984年11月 ISBN 978-4805614198
  • 『かみさまはどこにいるの(下)』(挿絵・藍真理人)中央出版社、1985年1月 ISBN 978-4805614204
  • 『わたしたちのイエスさま』(絵・藤本四郎 )(絵本)女子パウロ会、1986年9月 ISBN 978-4789602396
    • 改訂『わたしたちのイエスさま』同会、2018年10月 ISBN 978-4789607964
  • 『ほんとうのクリスマス』(絵・太田大八 )(絵本)女子パウロ会、2006年10月 ISBN 978-4789606158
書籍(編集)
  • 森一弘&『手づくりの教会』編集部・編、中央出版社発行
    • 『素顔の信仰生活〈教会編〉』1990年6月。司祭・修道者の寄稿中心。ISBN 978-4805646090
    • 『素顔の信仰生活〈生活編〉』1990年6月。一般読者(在家信徒)の寄稿中心(一部に司祭・修道者の寄稿あり)。ISBN 978-4805646083
    • 『神さまヘルプ!』1991年5月。月刊誌『手づくりの教会』に連載の「信仰診断」を単行本化。読者からの問題提起に読者たちが答えるというスタイル。ISBN 978-4805614365
日本語聖歌の作詞
  • 『きかせてください』(作曲・新垣壬敏(つぐとし))
絶筆
  • 月刊誌『家庭の友』(サンパウロ)2023年1月号~同年10月号の連載「どの人生にも、価値があり、意味がある」が、公刊された文章としては森の最後の作品となった。この連載は、当初は、同年12月号まで1年間の予定であった森「どの人生にも、価値があり、意味がある」(その1)(『家庭の友』2023年1月号、p.14-17)よりp.14。。
    • 『家庭の友』2023年11月号では、入るはずだった森の原稿の代わりに、「パウロ 森一弘司教様を偲んで」を載せた。p.15が『家庭の友』編集室によるもので、森の21世紀の同誌への寄稿一覧表つき。p.16-17は、森の後任の真生会館理事長であるアンドレア・レンボ司祭(ミラノ外国宣教会)による、9月5日の森の葬儀ミサでの説教からの引用である説教の全文は、『東京教区ニュース』(カトリック東京大司教区広報部)第406号(2023年10月号)第2面で読むことができる。ウェブ版は。。

注釈

出典

参考文献

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/03/07 10:07 UTC (変更履歴
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