イザベル・ユペール : ウィキペディア(Wikipedia)
イザベル・ユペール(Isabelle Huppert, 1953年3月16日 - ) は、フランスの女優。映画監督のは姉、女優のは娘。
来歴
パリの16区で生まれた。一男三女の末子として出生した。父親はユダヤ系で金庫製造業会社経営者、母親はカトリックで英語の先生をし、ピアノに夢中だった。イザベルはカトリックの母親の下で、厳格な芸術教育環境で育った。パリ西部近郊ヴィル=ダヴレーで育ち、サン=クルーのリセを経て、母親に励まされコンセルヴァトワールであるヴェルサイユの地域圏立音楽院 (fr) で演技を学んだ。並行してパリ9区にあったリセ課程の国立高等演劇学校 (ENSATT, l'École de la rue Blanche) に通った。後にパリのフランス国立高等演劇学校でジャン=ロラン・コシェ、アントワーヌ・ヴィテーズの元で学んだ。舞台やテレビを経て1972年に映画デビューした。
1976年にシュザンヌ・ビアンケッティ賞を受賞し、1978年の『Violette Nozière』と2001年の『ピアニスト』でカンヌ国際映画祭 女優賞を、1988年の『主婦マリーがしたこと』と1995年の『沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇』ではヴェネツィア国際映画祭 女優賞を受賞している。
これまでセザール賞主演女優賞に14回ノミネートされており、史上最多記録。1995年の『沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇』と2016年の『エル ELLE』で主演女優賞を獲得した。
日本のNHKの『ルーヴル美術館』に出演し、ジャン=クロード・ブリアリと一緒にナビゲーターを務めた。
2002年の『8人の女たち』ではコメディエンヌとしての新境地も開き、カトリーヌ・ドヌーブと犬猿の妹役を実に楽しそうに演じている。
2004年の『ジョルジュ・バタイユ ママン』では、10代の息子との近親相姦の関係がある魅力的な中年の母を演じた。
2009年のカンヌ国際映画祭では審査委員長を務めた。
2016年はフランス映画祭の団長を務めた。
2017年、『エル ELLE』で第89回アカデミー賞主演女優賞に初ノミネートされた。
出演作品
※太字表記は主演。
年 | 題名 | 役名 | 備考 |
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1972 | 夏の日のフォスティーヌ Faustine et le bel été | 学生2 | |
夕なぎ César et Rosalie | マリート | ||
1974 | バルスーズ Les Valseuses | ジャクリーヌ | |
快楽の漸進的横滑り Glissements progressifs du plaisir | アラン・ロブ=グリエ監督シネクラブ上映 | ||
1975 | まじめに愛してSérieux comme le plaisir | VHSスルー | |
アロイーズAloïse | アロイーズ(若い頃) | セザール賞助演女優賞ノミネートシネクラブ上映 | |
ローズバッドRosebud | ヘレン・ニコラウス | ||
1976 | 判事と殺人者Le juge et l'assassin | ローズ | シネクラブ上映 |
1977 | レースを編む女La Dentellière | ポム | セザール賞主演女優賞ノミネートシネクラブ上映 |
インディアンはまだ遠くにいるLes Indiens sont encore loin | ジェニー | ||
甘やかされて...甘やかされた子供たちDes enfants gâtés | 秘書 | シネクラブ上映映画祭字幕付上映 | |
1978 | ヴィオレット・ノジエールViolette Nozière | ヴィオレット・ノジエール | カンヌ国際映画祭 女優賞受賞セザール賞主演女優賞ノミネート特集上映のみ |
1979 | ブロンテ姉妹Les soeurs Brontë | アン・ブロンテ | |
Retour à la bien-aimée | ジャンヌ・ケルン | ジャック・デュトロン共演 | |
勝手に逃げろ/人生 Sauve qui peut (la vie) | イザベル・リヴィエール | ||
1980 | ルル Loulou | ネリー | セザール賞主演女優賞ノミネート特殊上映のみ |
天国の門 Heaven's Gate | エラ・ワトソン | ||
1981 | Eaux profondes | メラニエ | |
Coup de torchon | ローズ | セザール賞主演女優賞ノミネート | |
Les Ailes de la colombe | マリー | ブノワ・ジャコ監督原作「鳩の翼」 | |
La Dame aux Camélias | アルフォンシーヌ | 原作「椿姫」 | |
1982 | パッションPassion | イザベル | |
鱒La Truite | フレデリーク | シネクラブ上映WOWOW放映 | |
1983 | ピエラ 愛の遍歴Storia di Piera | ピエラ | |
女ともだち Coup de foudre | レナ | ||
1987 | 窓・ベッドルームの女The Bedroom Window | シルヴィア | |
1988 | 悪霊Les possédés | マリア | |
主婦マリーがしたこと Une affaire de femmes | マリー | ヴェネツィア国際映画祭 女優賞受賞セザール賞主演女優賞ノミネート | |
1990 | 女の復讐La vengeance d'une femme | セシル | |
1991 | マリーナMalina | 女 | |
ボヴァリー夫人Madame Bovary | エマ・ボヴァリー | ||
1992 | 愛のあとにAprès l'amour | ローラ | |
1994 | 愛・アマチュア Amateur | イザベル | |
L'Inondation | ソフィア | ||
La Séparation | アンヌ | セザール賞主演女優賞ノミネート | |
1995 | 沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇 La Cérémonie | ジャンヌ | ヴェネツィア国際映画祭 女優賞受賞セザール賞主演女優賞受賞リュミエール賞女優賞受賞 |
1996 | ある貴婦人の恋Le affinità elettive | カルロッタ | |
愛の破片Poussières d'amour - Abfallprodukte der Liebe | インタビュアー | ドキュメンタリー映画 | |
1997 | キュリー夫妻/その愛と情熱Les palmes de M. Schutz | マリー・キュリー | |
最後の賭け Rien ne va plus | エリザベス/ベティ | ||
1998 | 肉体の学校 L'Ecole de la chair | ドミニク | セザール賞主演女優賞ノミネート |
2000 | Saint-Cyr | マントノン夫人 | セザール賞主演女優賞ノミネート |
感傷的な運命Les destinées sentimentales | ナタリー | ||
甘い罠Merci pour le chocolat | マリ=クレール(ミカ)・ミュレール | リュミエール賞女優賞受賞 | |
2001 | ピアニストLa pianiste | エリカ・コユット | カンヌ国際映画祭 女優賞受賞(全会一致)ヨーロッパ映画賞 女優賞受賞セザール賞主演女優賞ノミネート |
2002 | 8人の女たち8 femmes | オーギュスティーヌ | ベルリン国際映画祭銀熊賞(芸術貢献賞)受賞(8人の女優に対して)ヨーロッパ映画賞 女優賞受賞(8人の女優に対して)セザール賞主演女優賞ノミネート |
いつか、きっとLa vie promise | シルヴィア | ||
2003 | タイム・オブ・ザ・ウルフ Le Temps du loup | アンヌ | |
2004 | ジョルジュ・バタイユ ママンMa mère | ヘレン、母親 | |
ハッカビーズ I ♥ Huckabees | カテリン | ||
2005 | ガブリエルGabrielle | ガブリエル・ハーヴェイ | セザール賞主演女優賞ノミネートリュミエール賞女優賞受賞 |
2006 | 権力への陶酔L'Ivresse du pouvoir | ジャンヌ | |
2010 | Law & Order: Special Victims Unit | ソフィー | テレビシリーズ、第11シーズン第24話「悲しき子守唄」 |
2011 | ヴィオレッタMy Little Princess | アンナ | |
2012 | 囚われ人 パラワン島観光客21人誘拐事件Captive | テレーズ・ブルゴワン | |
愛、アムールAmour | エヴァ | セザール賞助演女優賞ノミネート | |
3人のアンヌIn Another Country | アンヌ | ||
眠れる美女Bella Addormentata | ローザの母 | ||
皇帝と公爵Linhas de Wellington | コジマ・ピア | ||
2013 | デッドマン・ダウンDead Man Down | ヴァレンタイン | |
ラブストーリーズ コナーの涙The Disappearance of Eleanor Rigby: Him | メアリー・リグビー | ||
ラブストーリーズ エリナーの愛情The Disappearance of Eleanor Rigby: Her | |||
2014 | 間奏曲はパリでLa ritournelle | ブリジット | |
2015 | アスファルトAsphalte | ジャンヌ・メイヤー | |
母の残像Louder Than Bombs | イザベル | ||
愛と死の谷Valley of Love | セザール賞主演女優賞ノミネート | ||
2016 | 未来よ こんにちはL'Avenir | ナタリー | 全米映画批評家協会賞主演女優賞受賞 ニューヨーク映画批評家協会賞主演女優賞受賞ロサンゼルス映画批評家協会賞主演女優賞受賞 |
エル ELLEElle | ミシェル | ゴールデングローブ賞主演女優賞 (ドラマ部門)受賞全米映画批評家協会賞主演女優賞ニューヨーク映画批評家協会賞主演女優賞受賞ロサンゼルス映画批評家協会賞主演女優賞受賞 | |
2017 | クレアのカメラLa caméra de Claire | クレア | |
ハッピーエンドHappy End | アンヌ・ローラン | ||
2018 | エヴァEva | エヴァ | |
グレタ GRETAGreta | グレタ・ハイデッグ | ||
ロマノフ家の末裔 〜それぞれの人生〜The Romanoffs | ジャクリーン・ジェラード | アンソロジーシリーズ第3話 | |
2019 | 白雪姫〜あなたが知らないグリム童話〜Blanche comme neige | モード | |
ポルトガル、夏の終わりFrankie | フランソワ・クレモント | ||
2020 | ゴッドマザーLa Daronne | パシャンス | |
2022 | ミセス・ハリス、パリへ行くMrs. Harris Goes to Paris | クラウディーン・コルバート | |
2023 | 私がやりましたMon crime | オデット | |
2024 | 不思議の国のシドニSidonia au Japon | シドニ |
受賞歴
参考文献
外部リンク
- Les Archives du Spectacle 仏語圏舞台出演リスト
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/12/06 10:12 UTC (変更履歴)
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