如月小春 : ウィキペディア(Wikipedia)

如月 小春(きさらぎ こはる、本名:楫屋 正子〈かじや まさこ〉、出生名:伊藤 正子河北新報 1985年2月8日朝刊 24面「登場」コーナー、1956年2月19日 - 2000年12月19日)は、劇作家、演出家、エッセイストである。東京都杉並区出身如月小春 『都市の遊び方』(新潮文庫) 昭和61年4月発行。東京女子大学文理学部哲学科卒業。

1970年代後半から劇作家・演出家として活動し、野田秀樹・渡辺えり子らとともに小劇場第三世代の旗手として注目された。また、エッセイストとしての著作も多く、司会者・コメンテーターなどとしてもテレビにも出演していたほか、アジア女性演劇会議実行委員長・日本ユネスコ国内委員会委員・兵庫県立こども館演劇活動委員・立教大学講師なども歴任した。

経歴

小学校時代を中野区の哲学堂公園付近、中学・高校時代を武蔵野市の成蹊中学校・高等学校で過ごし、その間、同校と交換留学制度のあるオーストラリアのニューサウスウェールズ州カウラ高等学校に留学した。1974年、東京女子大学文理学部哲学科に入学。

大学在学中に東京大学とのインターカレッジ劇団、「劇団綺畸(きき)」で活動を始め、1976年(昭和51年)に処女戯曲 『流星陰画館』を発表する。その後『ロミオとフリージアのある食卓』(1979年初演)、『ANOTHER』(1981年)、『工場物語』(1982年)などの作品を次々と作・演出した。同じ劇団に竹内晶子、瀧川真澄、吉見俊哉がいた。劇団活動の傍ら、大学卒業後は一般企業に就職して1年間OL生活、その後学習塾の講師も務めた。

1982年(昭和57年)、「綺畸」を脱退、秋には楫屋一之とのパフォーマンス「光合成Party」を上演する。1983年(昭和58年)、自らの劇団「NOISE」を設立、『DOLL』(1983年)、『MORAL』(1984年 - 86年)などを上演した。これらでは音楽・映像など他分野とのコラボレーションによる、従来の演劇の枠にとらわれないパフォーマンスが行われた。劇団「NOISE」には約30名の劇団員が所属し、マスコミからは「都会派演劇集団」と評されることもあった。

1988年(昭和63年)、ニューヨーク州バッファローで開催された第1回国際女性劇作家会議に日本代表として参加する。1991年(平成3年)より兵庫県立こどもの館で演劇のワークショップを開始する。1992年(平成4年)、第1回アジア女性演劇会議(AWT)の実行委員長を務める。

2000年(平成12年)12月7日、立教大学の講師控え室で意識を失い日大板橋病院に搬送され、12月19日、クモ膜下出血のため死去。。

如月が予定されていた2001年2月の第3回アジア女性演劇会議の実行委員長は、岸田理生が代理を務めた。

舞台

  • 流星陰画館 ― 星影の残酷メルヘン
  • 新御伽草子'79 ― 雪の小石川編
  • ロミオとフリージアのある食卓 ― 悲恋中野区編
  • 光の時代
  • 家、世の果ての… ― 怪談・武蔵野編
  • ANOTHER
  • 工場物語
  • Art Collection 1 ― 光合成Party
  • DOLL
  • リア王の青い城
  • トロイメライ ― 子供の情景
  • MORAL
  • Art Collection 4 ― Dancing Voice
  • MORAL 2nd
  • ISLAND
  • SAMSA
  • 砂漠のように、やさしく
  • NIPPON CHA! CHA! CHA!
  • MOON
  • ESCAPE
  • 夏の夜のアリスたち
  • 夜の学校
  • A・R ― 芥川龍之介素描
  • 月夜のサンタマリア
  • 朝、冷たい水で
  • モホイの涙
  • テン、テン、天まで飛んでいけ!

上記の出典は「如月小春略歴」による。

テレビ

  • 日本語再発見
  • 週刊ブックレビュー
  • スタジオL 木曜日

ラジオ

  • 坂本龍一と如月小春のラジオパフォーマンス「LIFE」 1984年 NHK-FM

音楽

  • 「NEO PLANT」1986年(坂本龍一のプロデュース)
  • 「都会の生活」1986年

著著

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戯曲

  • 『如月小春戯曲集』新宿書房、1982年
    「家、世の果ての… - あるいは《少女と犬》型都市を記述する試み」「Another」を収録
  • 『工場物語』新宿書房、1983年
    「工場物語 - The factory romance」「光の時代 - Le temps de lumière」「一九八二・九・二二」を収録
  • 『如月小春のしばい』而立書房、1984年
    「ロミオとフリージアのある食卓」「リア王の青い城」を収録
  • 『DOLL』新宿書房、1985年 ISBN 4880081078
  • 『MORAL』新宿書房、1987年 ISBN 4880081019
    「MORAL」「ISLAND」「SAMSA」を収録。
  • 『NIPPON・CHA!CHA!CHA!』新宿書房、1988年 ISBN 4880081183
  • 『DOLL/トロイメライ』新宿書房、1993年 ISBN 4880081787
  • 『DOLL/トロイメライ』新宿書房、2001年新版 ISBN 4880082716
  • 『如月小春精選戯曲集』新宿書房、2001年 ISBN 4880082724
    「ロミオとフリージアのある食卓」「家、世の果ての…」「Moral」「Moon」「夜の学校」「A・R」の6篇収録
  • 『DOLL - 如月小春が遺した美しい7つの物語 如月小春精選戯曲集2』新宿書房、2017年 ISBN 4880084646
    「光の時代」「ANOTHER」「工場物語」「DOLL」「トロイメライ」「NIPPON・CHA! CHA! CHA!」「朝、冷たい水で」の7篇収録

エッセイ・評論・対談

  • 『如月小春のフィールドノート』而立書房、1984年 ISBN 4880590789
  • 『はな子さん、いってらっしゃい - 如月小春Tokiology live』晶文社、1984年
  • 『都市の遊び方』新潮文庫、1986年 ISBN 4101459010
  • 『私の耳は都市の耳』集英社、1986年 ISBN 4087725774
  • 『都市民族の芝居小屋』筑摩書房、1987年 ISBN 4480871020
  • 『鏡の中の人間 - 如月小春サイエンス・インタヴュー集』ビー・エヌ・エヌ、1988年 ISBN 4893690507
  • 『はな子さんの文学探検』集英社、1988年 ISBN 4087726762
  • 『東京ガール』PHP研究所、1989年 ISBN 4569224458
  • 『もう一人の、私』海竜社、1995年 ISBN 4759304479
  • 『八月のこどもたち - 劇団NOISE・91夏・ワークショップの記録』晩成書房、1996年 ISBN 4893801864
  • 『ピーヒャラドンの謎 - 演出家がハハになった』婦人生活社、1999年 ISBN 4574701285
  • 『俳優の領分 - 中村伸郎と昭和の劇作家たち』新宿書房、2006年 ISBN 4880083593

小説

  • 『子規からの手紙』岩波書店、1993年 ISBN 4000041622

共著・翻訳

  • 『演戯する都市』渡辺守章との共著、平凡社、1986年
  • 『劇作家8人によるロジック・ゲーム』白水社、1992年 ISBN 4560032505
  • 『犬は東に日は西に』中野孝次黒鉄ヒロシとの共著、清流出版、1999年 ISBN 4916028619
  • 『ドラの肖像 : エレーヌ・シクスー戯曲集』松本伊瑳子との共訳書、新水社、2001年 ISBN 4883850226

参考文献

関連項目

  • 第三世代 (舞台芸術)

外部リンク

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