金子満 : ウィキペディア(Wikipedia)

金子 満(かねこ みつる、1939年(昭和14年)1月 - 2018年(平成30年)6月15日)は、日本のアニメーション・プロデューサー、ディレクター、シナリオライター。「日本のコンピュータグラフィックスの父」と称される別冊宝島2551『日本の女優 100人』p.63.。

東京生まれ。東京工業大学大学院後期博士課程修了。学位は博士(学術)。 慶應義塾大学、東京工科大学教授を務めた。

経歴

父は映画配給会社・東宝の重役を務めた。

慶應義塾大学法学部を卒業後、フジテレビジョンに入社。編成部で『日清オリンピックショウ 地上最大のクイズ』や『第7の男』『映像ミザンセーヌの黄金則 ヒットする映画の作り方』120頁『ゼロファイター』などを手掛ける。1964年に担当した『ゼロファイター』では制作方針の混乱から、当時のスポンサーが完成作品を敬遠して1969年まで「お蔵入り」を招く失敗を経験した『映像ミザンセーヌの黄金則 ヒットする映画の作り方』114 - 115頁。その失敗を経て、社内留学制度を利用し南カリフォルニア大学シネマスクールへ留学。さらに、メトロ・ゴールドウィン・メイヤーで研修を受ける。帰国後は『木枯し紋次郎』などのプロデューサーを務める。

MK COMPANY設立

1974年にフジテレビから独立して、映像企画会社のMK COMPANY(エムケイ)を設立した。エムケイでは『ウリクペン救助隊』『ラ・セーヌの星』や、中谷国夫の名で『大空魔竜ガイキング』の原作を手掛ける。その後も、エムケイのプロデューサー兼シナリオライターとして『アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険』『名犬ジョリィ』『太陽の子エステバン』を製作した。

1983年には東京工業大学の安居院・中嶋研究室と共同で2Dアニメーションの研究を行い、テレビシリーズのアニメ作品では世界初のコンピュータで描画・彩色した『子鹿物語』を製作した。以降も『SF新世紀レンズマン』などのアニメ作品に携わる。1987年にはジム・クリストフらと、ロサンゼルスにメトロライトスタジオを設立。メトロライトスタジオが手掛けた映画『トータル・リコール』では、当時の最新技術だったモーションキャプチャシステムがうまく作動しなかったので、アーノルド・シュワルツェネッガーのビデオショットをハーフミラーで一枚ずつコンピューターモニターに投射して、モニター上の骸骨モデルをビデオの動き通りの位置に張り付けるロトスコープを採用した。これによって、アカデミーの技術協会から「お金をかけなくても良い効果を生み出せる例」としてアカデミー特別業績賞を受賞する『映像ミザンセーヌの黄金則 ヒットする映画の作り方』113頁。

慶應義塾大学、東京工科大学教授

1996年に、東京工業大学大学院後期博士課程を修了(情報理工学)。慶應義塾大学環境情報学部及び同大大学院教授を経て、東京工科大学メディア学部教授、同大大学院教授となる。2010年に、東京工科大学大学院及び東京工科大学片柳研究所教授に就任し、同研究所のクリエイティブ・ラボで主宰を務める。また、東京国際アニメフェアで委員を担うなど、精力的に活動をしていた。

2018年6月15日に死去した。

JCGLの設立

1981年、日本で最初の商業CGスタジオ「JCGL(ジャパン・コンピュータ・グラフィックス・ラボ)」を渋谷区南平台に設立した。JCGLは、2階建てのブティック風のつくりながら、地下にスタジオやマシンルームを備えるという遊び心に富んだものであった。来日時のビル・ゲイツも見学に訪れたという。

1984年、製作講談社、配給東宝東和系で映画『SF新世紀レンズマン』を公開。宇宙船などを3DCGによって表現した。これはニューヨーク工科大学の技術が導入されたものであった。だが、機器の高機能化・低価格化にともなう所有機材の陳腐化や財務状況の悪化、特許に関する訴訟などによってJCGLは次第に疲弊し、ナムコ(現在の株式会社バンダイナムコエンターテインメント)に吸収される。当時のJCGLのスタッフは離散したが、1985年、スタッフ教育のためにJCGL内に発足した「CGカリキュラム研究会」は、その後CG-ARTS協会へと発展し、CGクリエイター検定などを実施している。

親族

1969年、女優・浜美枝と結婚「語る 人生の贈りもの 浜美枝 11 結婚・子育て…舞い込んだ司会業」『朝日新聞』2022年1月17日 35頁。2男2女をもうけた。

著書・監修

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/11/04 07:15 UTC (変更履歴
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