アレクサンドル・アファナーシェフ : ウィキペディア(Wikipedia)
アレクサンドル・ニコライェヴィチ・アファナーシエフ(、1826年7月11日 - 1871年10月5日)はロシアの民俗学者。ロシア民話研究の第一人者で、「ロシアのグリム兄弟」とも称される。
600以上の民話・伝承を編纂しており、その数は世界で最も多いRiordan, James. “Russian Fairy Tales and Their Collectors.” A Companion to the Fairy Tale. Ed. Hilda Ellis Davidson and Anna Chaudhri. Cambridge: D.S. Brewer, 2003. Page 221.。
生涯
ヴォロネジのギムナジウムからモスクワ大学法学部へ進学しZipes, Jack. Afanasyev, Aleksander. "The Oxford Companion to Fairy Tales." Oxford: Oxford University Press, 2000.、コンスタンチン・カヴェーリンやティモフェイ・グラフノスキーから講義を受ける。彼は中世ロシア史の研究を行っていたが、セルゲイ・ウヴァーロフに反抗したため、大学での研究を続けられなくなった。
公文書館で働くが、活動家のアレクサンドル・ゲルツェンとの接触があったことから職を失う。貧しい暮らしの中で結核にかかり45歳でこの世を去る。
民話編纂
アファナーシエフは1850年頃からロシア民話への関心を強めた。ウラジーミル・ダーリやロシア地理学協会の資料などを基に編纂し、1855年から1863年にかけて『ロシア民話集』を刊行した。1865年から1869年にかけては、スラヴ人の自然観についてまとめた『スラヴ人の詩的自然観』を刊行した。『ロシア滑稽譚』は猥雑さや教会批判などから検閲を免れられないため、ジュネーヴで刊行されたZipes, Jack. Afanasyev, Aleksander. "The Oxford Companion to Fairy Tales." Oxford: Oxford University Press, 2000.Haney, Hack V. :Mr Afanasiev's Naughty Little Secrets: Russian Secret Tales." SEEFA Journal, Vol. III, No. 2, Fall 1998. 21 April 2007 .。
重要性
アファナーシエフ以前はロシア民俗研究はあまり成されなかった。10世紀に教会スラヴ語で記録されるようになったが、教会の慣習にかかわるものが主であり、19世紀頃まで民俗的物語は文字に残されなかった。アファーナシェフの編纂は民俗研究にとって価値の高いものであり、ニコライ・リムスキー=コルサコフやイーゴリ・ストラヴィンスキーの芸術作品にも大きな影響を与えているRiordan, James. “Russian Fairy Tales and Their Collectors.” A Companion to the Fairy Tale. Ed. Hilda Ellis Davidson and Anna Chaudhri. Cambridge: D.S. Brewer, 2003. Page 219.。
主な日本語訳
- 『ロシア民話集 アファナーシエフ民話集』全5巻、中村白葉・米川正夫訳、現代思潮新社(新版)
- 編『ロシア滑稽譚』中村喜和訳、筑摩書房、1979年
- 編『ロシアの怪奇民話』金本源之助訳、世界の怪奇民話 評論社 1982年
- 編『ロシア民話集』上下、中村喜和編訳、岩波文庫、1987年
- 編『ロシア好色昔話大全』中村喜和訳、平凡社、2006年
- 『ロシアの民話』全4巻、金本源之助訳、群像社、2009-2011年
作家論
- 宮川やすえ『ロシア民話選 ロシア民話とアファナーシェフの世界』明石書店、1996年
- 『昔話を語ろうか ロシアのグリム、アファナーシエフの物語』
- ポルドミンスキイ、尾家順子訳、「ロシア作家案内シリーズ」群像社、2009年
関連項目
- 笑わない王女 - ロシア民話集に収められている民話。
- 鷹フィニストの羽根 - 同上。
- 蛙の王女 - 同上。
- 鵞鳥白鳥 - 同上。
- おおきなかぶ - 同上。
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2025/06/03 13:14 UTC (変更履歴)
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