中国で上映不可能なタブーに軽やかに挑んだ恋愛映画「ベ・ラ・ミ」ビジュアル&王谷晶、柴田元幸、サムソン高橋らのコメント公開
2025年11月7日 14:00

第61回金馬賞4冠(主演男優賞、撮影賞、編集賞、観客賞)に輝いたゲン・ジュン監督作品「ベ・ラ・ミ 気になるあなた」のアザービジュアル、著名人コメントが公開された。
本作は、モーパッサンの古典的名作小説「ベラミ」(※「美しき友」の意)を下敷きに、ジム・ジャームッシュを敬愛し、そのオフビートな作風が世界の映画祭で注目されている、黒竜江省のジャームッシュとも言うべき、ゲン・ジュン監督の日本初公開作品だ。凍てついた田舎町のダイニングレストランやサウナ、カフェを装ったハッテン場を舞台に、孤独な中年男たちの偶然の出会いから、胸に秘めた高まる気持ち、そして真実の愛に近づいていく姿をブラックなユーモアとシュールさで描き出す。

監督が1990年代に地元で出会ったゲイ男性の悲劇的な経験をもとに、オフビートなユーモアを交えたラブ・ストーリーに昇華させた。シュー・ガン(徐剛)やジャン・ジーヨン(張志勇)、シュエ・バオホー(薛寶鶴)ら、黒竜江省を中心に活躍する監督と旧知の俳優陣が実名で登場し、中年の男たちのほろ苦くも温かい人間模様を描き出す。奇しくも、同性との恋愛や体外受精、偽装結婚などを社会的テーマを盛り込んだ本作は、中国当局を経ず台湾金馬賞に出品され、主演男優賞、撮影賞、編集賞、観客賞の4冠に輝いた。

アザービジュアル2種は、海外版ビジュアルを基に、本作のワンシーンからイメージしたもの。原題の「漂亮朋友」と英題の「Bel Ami」が独特なキッチュなロゴで表現され、ふたりの主人公が体を寄せ合うシーンと、ふたりがサウナで出会うシーンをコラージュしたものとなっており、このビジュアルはユーロスペースでの公開中にB2サイズのポスターとして販売予定だ。
11月15日より渋谷・ユーロスペースほか全国順次公開。
誰もが自分勝手でしょうもなく、孤独で侘しくパッとせず、時に楽しく生きている。恋をした人間の陥るみっともなさや気持ち悪さまであたたかい視線で包むモノクロの質感に、「同志」として見透かされて恥ずかしいような、切ないような気持ちになった。
ゲイ、レズビアンの問題を大胆に描いたことだけでこの映画を讃えたいとは思わない。ジム・ジャームッシュばりのセンスのよさで片付けたくもない。讃えるべきことは他にあるはずなんだけど、それが何だかわからない。でもやっぱり讃えたいのです。
私たちはどんな考えから逸脱すれば真の自由になるのだろう。
ぶった斬られたり
クスッと笑ったり
もんのすごいシュールな映画ですが
リアルで愛しい!!!
「ベ・ラ・ミ」(美しき友)というタイトルに反して美男美女は出てきません。黒竜江省の寒そうな田舎町を舞台に、そこらへんにいそうなカッコよくない人々が恋をし、それにまつわる問題に向き合うのですが、そこにこそ人間らしい魅力がある…という映画です。
寒いモノクロの世界の中に閉じ込められているような気がして、思わず息を殺しながら観てしまった。ぎこちない人と人との関わりがとても美しくて。
終わったあとの爽やかな寂しさは何故だろう。
極寒の中国北東部、同性との関係を求める中年の既婚男性たちと、精子提供で子どもを作ろうとするレズビアンのカップル。何重にも周縁化された人々が、監視したりぎこちなく求め合ったり試行錯誤する姿を通して、抑圧的な社会とその害をユーモラスに描き出している。
密やかに花開こうとしていた中国のゲイシーンは、コロナ禍以降、再び地下に潜ることになってしまったという。ジャームッシュを気取った美しい画面の下で、この映画は現在の中国の田舎で生きる隠れゲイの実態を如実に描いている。そしてこの風変わりな作品が一番に訴えるのは、人が人を愛するという単純で普遍の行為なのだ。
別離におびえながらも、
裸形の愛の星たちが自由を求め、
身をぶつけあって輝いている ─
ベ・ラ・ミ! 中国東北部の街を魅惑の場所に変えるゲン・ジュンの魔法。
同性愛者が心を許せる友と出会うことが容易でなかった時代。日本ではゲイ雑誌文化が花開き「薔薇族」や「さぶ」など様々なタイプが咲き乱れました。この「ベ・ラ・ミ 気になるあなた」はゲイ雑誌に例えるならば「サムソン」系。登場人物たちのままならない生き方と姿態を愛して欲しい。
凍てつく中国最北部を舞台にしたこの作品にモーパッサンの同名小説のような「美貌の友人」は登場しない。不器用で不細工な男たちの、煙草を燻らすことでしか場を保てないような機能不全の求め合い。それでも「絶望するな」の終盤に現れる謎の円盤と不思議な笑いのカタルシスを、私は今もしみじみ味わっている。
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