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鶴岡慧子監督、最新作「西海楽園」は自主映画「映画作りは、いろいろあっていい」【第38回東京国際映画祭】

2025年10月30日 13:30

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バカ塗りの娘」で知られる鶴岡慧子監督の最新作「西海楽園」が、第38回東京国際映画祭のNippon Cinema Nowに選出され、10月29日に日比谷シャンテでアジアンプレミアを開催。上映後のティーチインに主演の柳谷一成木下美咲、鶴岡監督が登壇した。

故郷の長崎県西海市を出て、東京で俳優をやっている一成は、仕事も上手くいかず、婚約も破棄に。挫折感を抱え、友人の上原を連れて帰省すると、豆腐屋を営む母や家族、友人から温かく迎えられる。ある日、友人の親戚である美樹と出会い、一成たちは、かつてこの地で栄えた遊園地「西海楽園」の跡地を訪れる。

鶴岡監督にとって本作は、監督だけではなく、脚本、撮影、編集もすべて自身で手掛けた自主映画となった。きっかけは一成役の柳谷からのオファーだったと言う。

「柳谷さんとは学生時代からずっと一緒に作品を作ってきました。それで、コロナ禍で連絡をいただき、自分の地元で映画を撮っていただきたいと言われたのがきっかけです」

本作で柳谷、木下以外は、柳谷の家族も含め、すべて演技未経験者であり、なおかつ本人役で出演しているという。当日のティーチインでは、本作に参加した柳谷の母親や友人たちも来場。柳谷は「半径1メートルじゃないけど、僕にとって本当に意味のあるものを作りたいなと思いました」と制作の意図を語る。

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また、完成した映画について「僕は初めて映画を観た時、母とか父とかが出てくるたびにぐっときちゃって。そもそも作ろうと思ったのが、個人的なホームムービーで、母や父、じいちゃんの姿を残しておきたかったからです。こうやって映画になって幸せです」と満足げに語った。

鶴岡監督は「柳谷さんと西海市に行って一緒に回り、実際に柳谷さんのご家族やご友人と会わせていただきましたが、それがすごく良かったので、この経験を映画にしようと思いました。でも、上原さんという東京からやってくる人もいるし、木下さん演じる美樹ちゃんという人物など、何人かは役を立てて、フィクションという設定にしました」と述懐した。

木下はオファーを受けて「脚本をいただいた時、私がアウェイな感じもあるし、長くお芝居から離れていたので、緊張もしつつ、ありがたい機会だなとも思いました。私も初めて西海市を訪れた時、そこに根づいている人々の営みが、そこにある“リアル”が映画のワンシーンみたいに映って、すごく不思議な感覚になり、それにすごく助けられた気がします」と語る。

約8年ぶりの映画出演となった木下だが「撮影期間、みんなで一緒に生活もしたりして、西海市の方々の温かさや、見える景色が、美樹という役をやる上での力になったなと思います」と感謝する。

また、どこに一番時間を費やしたかと質問されると、鶴岡監督は「撮影が去年の8月でしたが、1年前も西海市に行って、柳谷さんたちが地元で泳ぐビーチや、ご実家でのバーベキューにおじゃましました。そのときはプロットも何もなかったのですが『西海市は30年後になくなるかもしれない』とお父さんがおっしゃっていたりしたので、そういう言葉を入れつつ、シナリオは勝手に私が全部書きました。だからロケハン、シナハンに時間をかけました」と答えた。

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さらに「シナリオを仕上げるまでに、3、4回は西海市を訪れ、うろうろして発見していきました。その中で(劇中の)テーマパークの跡地もたまたま連れていってもらったんです。普段の映画作りは、シナリオが先にあって、それに基づいてロケハンをしていくけど、今回はもう少し贅沢なことをしたいというか、自分の足で歩いて、それをシナリオに入れ込みたいと思いました」と、熱い思いを明かした。

劇中の登場人物はとても自然体だが、柳谷自身も特に苦労はしなかったそうで「逆に楽しみすぎて(笑)。心から楽しんでいたら『楽しみすぎです』と、監督から注意が入りました」と苦笑い。柳谷は鶴岡監督について「ダメ出しは全然なくて。滝のところで友達は行くけど、段差は登らないとか、画としての演出はありましたが『こういうお芝居をしてください』とは、まったく言われなかったです」とのこと。

それは鶴岡監督の演出スタイルのようで「現場で何も言わないので『もうちょっとちゃんと言ってください』とスタッフさんから怒られることもあります。私の演出は、まずは見せていただいて、それを私が受け入れていく感じです」と語った。

木下は、そんな鶴岡監督の演出について「細かい指示がなく委ねてくれるので、そのときの気持ちや状況を大切にしてお芝居ができます。でも、たまに『私、大丈夫かな』と不安になりますが、いつだってどの現場も雰囲気が良いし、素敵な監督です」と感謝する。鶴岡監督も「ほっとしました。みなさん楽しんでいるかなと思っていたので」と安心した様子。

最後に鶴岡監督は「1年前に長崎の端っこのほうで自分たちだけで作った映画です。それが形になって、こういう大舞台で上映していただいて本当に幸せだなと。映画作りは、いろいろあっていいという私なりの試みだったので、それが実った形なのでうれしいです」と感激し、ティーチインを締めくくった。

第38回東京国際映画祭は、11月5日まで開催。

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