【第78回カンヌ国際映画祭】「監督週間」に最年少参加、団塚唯我監督の初長編作「見はらし世代」フランス配給決定
2025年5月23日 14:00

カンヌ国際映画祭の併設部門である「監督週間」で、26歳の新鋭、団塚唯我監督の初長編作「見はらし世代」が披露された。昨年の山中瑶子監督(「ナミビアの砂漠」)より若い最年少での参加、さらに初監督作とあって業界関係者のなかでも大きな注目を集めていたが、温かい拍手が会場を満たす晴れやかなカンヌ・デビューとなった。
本作は再開発が進む渋谷の街を舞台に、母親の死によって生まれた父親と子供たちの確執が描かれる。時間の流れのなかで、街の変化が家族のドラマのなかに巧みに汲み取られるとともに、人間の心に大きな空洞をもたらす喪失や哀悼の念が、独創的な形で表現される。父親役に遠藤憲一、長女とその弟役に木竜麻生と、これが映画初主演作となる黒崎煌代が扮する。

上映後のQ&Aで題名の意味を尋ねられた団塚監督は、「この映画は家族の物語ですが、いまの若い人たちが上の世代の人々にどう向き合っていくか、という話でもあります。さらに街自体も時代とともに変わっていくことを描いています。それらをなにか造語で表現できたらと思い、この題名にしました。東京の街が変わっていくことを、いいこと悪いことという分け方ではなく描きたかった。家族は小さな単位で、街は公共的なものですが、変化していくことの違和感はどちらにもあって、自分にとっては関係性がある。それが重なったときに映画になると思いました」と語った。
自伝的な要素があるか、という質問には、「自分も父親とは真面目な会話をしたことがなかったので、この映画を通じて会話しているような感覚です。でも普遍的な面も意識したので、多くの観客に届いてくれると嬉しい」と答えた。

すでにインターナショナルのセールス・カンパニーがつき、フランスでは配給が決まるなど、将来の活躍が期待される一歩を踏み出した。(佐藤久理子)
関連ニュース

【第78回カンヌ国際映画祭】オフィシャル・セレクション発表、早川千絵監督作など日本映画3本 応募作は過去最高の2909本、現代社会の暴力、愛、寛容など描く作品目立つ
2025年4月10日 23:00


【第78回カンヌ国際映画祭】カズオ・イシグロ原作、戦争の記憶や女性の自立描く石川慶監督「遠い山なみの光」に熱い喝采 広瀬すず、吉田羊、松下洸平ら会見
2025年5月17日 22:00



映画.com注目特集をチェック

キャンドルスティック
【予告編だけでこんなに観たくなること…ある!?】阿部寛、10秒でAIを騙す――狂おしいほど面白そう
提供:ティ・ジョイ

映画「F1(R) エフワン」
【語れば語るほど、より“傑作”になっていく】上がりきったハードルを超えてきた…胸アツをこえて胸炎上
提供:ワーナー・ブラザース映画

たった“1秒”で爆発的に話題になった映画
【この夏、絶対に観るやつ】全世界が瞬時に“観るリスト”に入れた…魅力を徹底検証!
提供:ワーナー・ブラザース映画

でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男
【あり得ないほど素晴らしい一作】この映画は心を撃ち抜く。刺すような冷たさと、雷のような感動で。
提供:東映

すさまじい“魂震作”だった――
【あまりにも早すぎる超最速レビュー】全身で感じる、圧倒的熱量の体験。
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント