2019年5月7日はなぜ、日本の金融市場が“最も隙だらけの日”だったのか? 「キャンドルスティック」ハッカーたちの作戦決行日の秘密に迫る
2025年5月6日 20:00

阿部寛が主演を務めるマネーサスペンス「キャンドルスティック」。本作は、刑務所上がりの元天才ホワイトハッカー・野原(阿部)が、“金融市場の番人”である難攻不落のAIを騙し、FX市場で大金を手に入れることを目論む物語だ。決行日は、日本の金融市場が“最も隙だらけの日”といわれた2019年5月7日。なぜこの日は、“最も隙だらけ”だといわれたのか――?

本作は、長編映画監督デビューを果たす新鋭・米倉強太監督が、川村徹彦氏による「損切り:FXシミュレーション・サクセス・ストーリー」を映画化するもの。野原は、自分と同じく数字に色がついて見える“共感覚”をもつ杏子(菜々緒)と出会い、恋に落ちる。ある日、台湾の野心的な企業家・リンネ(リン・ボーホン)は、FX市場を利用し一儲けするため、野原とかつての仲間たちに声をかける。その作戦は、金融取引の番人であるAIを騙すことだった。
一方、川崎工業地帯では難民・移民の子のための「夜光ハウス」が、立ち退き寸前の危機に陥っていた。施設を守るファラー(サヘル・ローズ)とイランのハッカー・アバン(マフティ・ホセイン・シルディ)は、返済のためのある計画を練る。ふたつの計画の日時は、奇しくも一致していた。10人の男女の思惑と運命が交錯する。


明日5月7日は、本作で描かれたミッション決行の日。6年前の19年5月7日、平成から令和への改元後初めて、金融市場の取引が行われた。実際に日本の金融市場にとって“最も隙だらけの日”ともいわれ、海外市場での取引で積み上がったポジション調整や膨大な決済の集中により、為替市場などでは大きな相場変動の可能性が予想されていた。
“最も隙だらけの日”といわれた原因は、10連休という異例の長期休暇だといわれている。政府は天皇の退位と新天皇の即位を祝うために、19年のゴールデンウィークを10連休(4月27日~5月6日)に設定した。これは日本の金融市場にとってかつてない長期間のブランクとなり、その間は日本での金融取引は実質的にクローズとなり、日本の金融市場参加者にとって、海外で起きた経済や政治の変動リスクに即応できない状態に。

特に為替市場では、連休中でも海外市場の円相場は動いており、もし極端な円高・円安の動きが起きていたら、連休明けに大きな相場変動が生じる可能性があった。海外のハッカーグループなどにとっては、金融機関や取引所のシステムが10日間フルで止まることは極めて稀で、連休明けの5月7日、サイバー攻撃やシステムリスクへの懸念が高まっていた。改元という祝賀ムードの裏で、日本の金融システムは、グローバルな動向からは孤立した状況になるため、「隙だらけ」と表現されたのだ。
「キャンドルスティック」は、7月4日に東京・新宿バルト9ほか全国公開。
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