どうして私を生んだの?→娘の問いには単純な言葉でこたえられない 「石門」裏話、製作陣のサプライズ発表も
2025年3月3日 15:00

“中華圏のアカデミー賞”と称される台北金馬獎(第60回)で日本資本の映画として初めて最優秀作品賞を受賞し、最優秀編集賞との2冠に輝いた映画「石門」(読み:せきもん)の公開記念舞台挨拶が3月1日、シネスイッチ銀座で行われ、ホアン・ジー監督、大塚竜治監督が登壇した。
米レビューサイト「ロッテントマト」では、批評家が94%、一般観客は驚異の100%の高評価を獲得(12月14日時点)。監督は中国湖南省出身のホアン・ジーと東京出身の大塚竜治。中国と日本を拠点に活動する夫妻は、女性の性に関する問題をテーマに映画を共同製作してきた。新作「石門」は、望まぬ妊娠に直面した20歳のリン(ヤオ・ホングイ)を主人公に、女性の前にある様々な壁を静かに見つめる作品となっている。

冒頭の挨拶でホアン監督は、「こんにちは、皆さん(日本語で)。大塚さんと結婚して十数年は経っていますが、一緒に作った映画を日本で上映するのは初めてです。すごく感動して胸がいっぱいです」と満面の微笑み。大塚監督も「この日、この作品を選んでくださってありがとうございます」と挨拶した。
「石門」のテーマが固まったきっかけは、愛娘である千尋さんが5歳の頃に「ママはどうして私を生んだの?」と尋ねられたこと。ホアン監督は「実は私もいつも自分に問いかけています。なぜ私が生まれたのか、そしてなぜ娘を生んだのか。これは単純な言葉でこたえられる質問ではないと思いました。この質問に答えるためにこの作品を作りました」と語った。
また、劇中に登場する両親はホアン・ジー監督の“実際の両親”。ホアン監督は「母もここに来て一緒に登壇したがっていました。撮影時、母は本当に突然髪を坊主にしましたし、父は足を怪我していました」と実際に起きたハプニングを物語に取り込んだエピソードを披露すると、会場からは驚きの声。

さらにコロナ禍で父親がマスクを買いに行く場面について、大塚監督は「実際、あの時お父さんがマスクを買いに行くというので、何かあった場合に撮影できるよう、役者と一緒についていきました」と、少人数チームならではの機動力を活かした撮影のエピソードを明かした。
そしてビッグサプライズが発表された。現在準備中の最新作「A Woman Builds」が4月から撮影予定、3月中旬に香港の企画マーケットに参加することが決定したとアナウンスされた。次回作についてホアン監督は「4作目は1人の女性が母親・娘・妻という役割から自分を解放して、完全なる自分の空間を作りたいと願う物語です」。また、両監督のコラボレーションで結実した「卵と石」「フーリッシュ・バード」の初日が4月4日に決定し、アップリンク吉祥寺で公開されることもわかった。

鑑賞後の舞台挨拶となり“ネタばれ”トークも飛び出す中、観客へのメッセージを求められた大塚監督は、「明後日が雛祭りというこのタイミングで上映が始まりました。将来、娘さんや周りにいる女の子が成長したときに、雛祭り前にこういう映画を観た、とお話してくれたら劇中のリンの人生も報われるのではと思います」と思いの丈を述べる。
そして、ホアン監督も「性や出産に関する問題は母親や友達に相談しにくいという現実があります。ただ、それはとても大切なことだと思うのでこの3作品をきっかけに皆様が家族友人と言いにくい話題でも相談できるようになったら嬉しいです」と結んだ。
(C)YGP-FILM
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