映画.comでできることを探す
作品を探す
映画館・スケジュールを探す
最新のニュースを見る
ランキングを見る
映画の知識を深める
映画レビューを見る
プレゼントに応募する
最新のアニメ情報をチェック

フォローして最新情報を受け取ろう

検索

オリンピック史上最悪の人質テロを22時間生中継――「セプテンバー5」当時を知る“生き証人”のインタビュー公開

2025年2月13日 16:00

リンクをコピーしました。
画像1(C)2024 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

1972年ミュンヘン五輪で起きた人質テロ――五輪史上最悪の事件として、今もなお語り継がれている歴史的な1日を基に描かれる「セプテンバー5」(2月14日から全国公開)。このほど人質テロを22時間生中継した“生き証人”のインタビューが披露された。

本作は、1972年のミュンヘンオリンピックで発生したパレスチナ武装組織「黒い九月」に襲撃されたイスラエル選手団11人が犠牲になったテロ事件を題材に、ABCテレビのオリンピック中継クルーの視点から描いた衝撃の社会派映画。緻密な脚本と重厚な映像で圧倒的な緊迫感を描き出し、本年のアカデミー賞・脚本賞にノミネートされている。

インタビューに応えたのは、当時ABC中継のコーディネーション・プロデューサーだったジェフリー・メイソン。32歳にして、スポーツ報道の枠を超えた歴史的な報道の最前線に立たされたメイソンは、どのように事件と向き合い、何を感じたのか。「セプテンバー5」の主人公のモデルとなったメイソン本人が、当時の緊迫した状況と、本作への思いを語った。

「ミュンヘンに入る前、私たちは入念な準備をしていました。しかし、まさかオリンピック中継がテロ事件の生中継へと変わるとは、夢にも思っていませんでした。あの日、事件が起きた瞬間に感じたのは、『これは人生で最も重く、大変な仕事になる』という覚悟でした」

テロ事件は突如として発生し、ABCスポーツ局のクルーは急遽、22時間に及ぶ生中継を実行することになった。その中でメイソンが痛感したのは、想像したことないほどの報道の責任の重さだった。

「私たちの生中継の映像を見ていたのは、一般の視聴者だけではありませんでした。人質になった選手の家族も、自宅の居間で事件の推移を見守っていたのです。そのことを知ったとき、私は自分たちが担うべき責任の重みをまざまざと実感しました」
画像2(C)2024 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

さらに、報道が事件の進展に与える影響の大きさにも直面することになる。報道の自由と安全確保のバランスを取る難しさを思い知らされたのだ。

「警察から、生中継しているカメラを切るよう指示された瞬間、ハッとしました。私たちの中継は、世界中、誰でも見ることができる。テロリストたちにも見られているかもしれない。これは本当に慎重にならなければと」

生中継開始から数時間後、ABCニュースが報道を引き継ぐべきかという議論が持ち上がった。しかし、スポーツ部門のトップであるルーン・アーレッジは、断固としてそれを拒否した。

「『私たち以上の報道を、ニュース部門ができるはずがない』とルーンは言いました。私たちは事件現場から100ヤード(約91メートル)も離れていないところにいました。スポーツ中継に特化した数十人ものチームでした。その状況を考えれば、ニューヨークにいるニュース部門よりも、私たちが続けるべきだと判断したのです」

結果として、ABCスポーツ部門は22時間にわたり事件を生中継し、歴史に残る報道を成し遂げた。

メイソンは、「セプテンバー5」の脚本を初めて読んだときの衝撃を振り返る。

「当初は、事実を並べただけの単なるテロ事件の記録映画のようなものかと思っていました。しかし、脚本を読んで驚いたのは、非常に深くリサーチされていることと、そこに描かれていたのが『人間の物語』だったことです。事件の背景や経過だけでなく、私たちが目の前の出来事にどう向き合い、何を感じたのか。私たちの心情が深く描かれていることに感心しました」

さらに、本作の意義についてこう語る。

「私は自分の目で見たことを語れる数少ない一人です。あの日、中継スタジオにいた人のほとんどは亡くなってしまって、もういません。だからこそ、あの日あの場にいた仲間たちの目と心を通して伝えることができるこの機会は、私にとって特別なものです。『セプテンバー5』は、9月5日に何が起きたのかを忠実に描く物語です。事件が次第に大きな悲劇へと発展していく中で、私たちは手元の技術を駆使し、正確な報道を目指して奮闘しました」
画像3(C)2024 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

メイソンは現在のメディアの在り方についても語っている。

「今は業界全体が、情報を発信する責任をより理解するようになったと思います。テレビにおけるスポーツ中継は、基本的に生放送です。ということは、何が起こってもおかしくない。だからこそ準備が肝要であり、今はその教訓が活きています。私たちは正直に真実を追求し、徹底した報道を行う責任がこれまで以上にあります。『セプテンバー5』は、事件の真相を伝えるだけでなく、それが描けていると確信しています」
「正直であれ。正確であれ。そして正しいことをする」とメイソン自身が語り、1972年9月5日が彼の仕事に対する姿勢に多大な影響を与えたように、「セプテンバー5」は、あの日の出来事の影響が今日までマスコミ全体に続いていることを明確に示している。情報を発信する側の責任とは何かを問いかけるとともに、膨大な情報が飛び交う中で生きる現代の私たちが「何を信じ、どう選択していくべきか」、メディアや情報に対する向き合い方を深く問いかける作品でもあるのだ。

なお、メイソンの証言にもあった、生中継を中止させるために警察が乗り込んでくる本編映像「警察突入編」も公開されている。


Amazonで関連商品を見る

関連ニュース

映画.com注目特集をチェック

関連コンテンツをチェック

おすすめ情報

映画ニュースアクセスランキング

映画ニュースアクセスランキングをもっと見る