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「ハイパーボリア人」クリストバル・レオン&ホアキン・コシーニャが語る「オオカミの家」に続く最新作での企み、アナログ手法に見る未来

2025年2月9日 09:00

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(左から)クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ
(左から)クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ

オオカミの家」で世界的に注目を集めたチリの監督コンビ、クリストバル・レオンホアキン・コシーニャの長編第2作「ハイパーボリア人」が公開された。チリ現代史の暗部やナチスドイツをモチーフに、実写やコマ撮りアニメをはじめ、さまざまな映画的手法を駆使、また、俳優とパペット姿のレオン&コシーニャ監督が実名で登場し、現実と虚構、過去と現在の境界をあいまいに、混沌とした世界観が繰り広げられるアートフィルムだ。視覚と知覚を魅惑的かつ心地良い混乱に誘う今作は、どのような企みをもって作られたのか――このほど、レオン&コシーニャが映画.comのオンラインインタビューに応じた。

「ハイパーボリア人」
「ハイパーボリア人」
(C)Leon & Cocina Films, Globo Rojo Films
<あらすじ>
女優で臨床心理学者のアントーニア(アント)・ギーセンは、幻聴に悩まされているというゲーム好きの患者を診察する。アントからその話を聞かされた友人の映画監督レオン&コシーニャは、幻聴の内容が実在したチリの外交官・詩人でヒトラーの信奉者でもあったミゲル・セラーノの言葉だと気づき、これをもとにアントの主演映画を撮ろうと提案。アントはセラーノの人生を振り返る映画の撮影を始めるが、いつしか謎の階層に迷い込み、チリの政治家ハイメ・グスマンから、国を揺るがすほどの脅威が記録された映画フィルムを探すよう命じられる。
「オオカミの家」
「オオカミの家」
(C)Diluvio & Globo Rojo Films, 2018
――前作「オオカミの家」が日本で話題を集め、小規模劇場からの公開作品としては、異例のヒットを記録しました。日本での反応にどのようなご感想をお持ちですか?
ホアキン・コシーニャ(以下コシーニャ):「オオカミの家」は日本で上映されるまでにかなり時間がかかったので、最初は本当に公開されるのだろうか? と、不安もありました。ですから、ここまでヒットすることは想像もしなかったのです。日本でもこのような映画が好きな方もいるだろうな、くらいの気持ちでいましたから。多くの方に見ていただいて、とてもうれしく思います。
「ハイパーボリア人」メイキング
「ハイパーボリア人」メイキング
(C)Leon & Cocina Films, Globo Rojo Films
――アーティスト同士の協業や共同監督は難しいように感じますが、どういった部分がお互いに共鳴し、共に作品を作り上げていくことになったのでしょうか?
クリストバル・レオン(以下レオン):そもそも人間関係には難しいことはつきものです、ですから、共同監督という立場でなくとも、難しさはあると思うのです。しかし、私たちの場合はまったく逆です。アーティストとしてそれぞれが個人で仕事をすると、どうしても偏ってしまいがちになることが、我々2人は相乗効果というか、より良い方に向かうことの方が多いのです。実益の部分で言いますと、私は子どもが1人おり、ホアキンには2人の子どもがいるので、公私で一緒に過ごす時間も生まれ、それがとても楽しいのです。家庭でも仕事の場でも、お互いが役に立つことが多く、良い相乗効果を生んでいます。

また、私たちは2007年から17年間一緒に作業をしています。今のところ、私たちそのそれぞれのアイデンティティが、お互いを尊重し合い、結ばれ、それがまた新しいものを生み出すという良い効果が出ています。たくさん会話をしますし、その会話も創造的です。とても心地よい関係で、2人でなければできないことがたくさんあるので、共同監督や共同作業が難しいということは、今の段階ではまったくありません。

コシーニャ:はい、私もまったく同じ回答です。
「ハイパーボリア人」メイキング
「ハイパーボリア人」メイキング
(C)Leon & Cocina Films, Globo Rojo Films
――おふたりは同じ芸術大学で学ばれていたそうですが、専門や目指していたジャンルが映画、映像を用いてのビジュアルアートであったので、映画を作るようになったのでしょうか。また、おふたりの役割分担が決まっているようでしたら教えてください。
コシーニャ:お互い違う分野で芸術を学んでいました。クリストバルは、立体などの作品を作っており、私はどちらかというと、演劇や絵画、撮影の分野です。たまたま私がクリストバルの展示に行って、その作品がとても面白くて興味を持ち、2007年に一番最初の短編映画を作りました。ですから、2人とも最初から映画を志して制作を始めたわけではなく、ビジュアルアート作品を作るプロセスが短編映画になっていった、そんなイメージです。
レオン:役割分担に関しては、大体同じことを2人でやっています。例えば、脚本も2人で書きます。今回の作品も、前作「オオカミの家」でアレハンドラ・モファットというもう1人の共同脚本家がいます。その他の仕事も、これはホアキン、これは私…という明確な分担はなく、大体同じことを一緒にやって作り上げていきます。
「ハイパーボリア人」メイキング
「ハイパーボリア人」メイキング
(C)Leon & Cocina Films, Globo Rojo Films
――本作は物語も複雑ですが、メリエス風であったり、古き良き時代の特撮的なものなど、様々な手法を映像で体験できる作品です。技術の発展によりAIを使っても映画ができてしまう時代になりましたが、全編ストップモーションの前作「オオカミの家」同様、今回もかなり手作業のパートが多いと思います。あなた方の作品の持ち味で魅力ともいえる、アナログ手法が持つ可能性や未来をどのように考えていますか?
レオン:あなたの仰る通り、現代はコンピューターの発展があり、映画界だけではなく、世界の多くの人がコンピューターで仕事をし、コンピューターの前で過ごす時間が長いと思います。私の考えでは、自分の無意識のレベルで、子どもの頃には持っていたのに大人になったら忘れてしまうような創造性や無邪気さ、そういった元来人間が持っている性質――それはさまざまな素材を目の前にして、手を動かして仕事をすることが、その創造性を意識的に呼び起こすことができる唯一の方法だと思っています。

現代人はコンピューターを使う時間が長いので、逆に手作業的なものに価値が見出される未来があるのではないでしょうか。そして、手作業で作られたアート作品は、非常に個性が出るもので、唯一無二のものが出来上がります。もちろんコンピューターでも出来上がるんですけれども、やはり限界があり、どうしても規格化されてしまうものです。私は、人間の手で作られた個性的なものの価値はずっと消えないものだと思っています。

「ハイパーボリア人」
「ハイパーボリア人」
(C)Leon & Cocina Films, Globo Rojo Films
――詩人であり、作家であり、外交官としても働いた親ナチの政治家ミゲル・セラーノという多面的かつ神秘的な人物を今作で取り上げた理由を「ファンタジーや信じられないようなおとぎ話を語るための媒体として使った」と公式インタビューで話しています。このように、この映画からは我々多くの日本人が知らなかった世界を広げ、チリの歴史や政治も学ぶことができます。しかし、1度見ただけでは理解が難しく、何度も繰り返し見ることで味わい、楽しめる作品だと思いました。地理的にも文化的にも遠い日本の観客にどのような形でこの映画を楽しんでほしいか、アドバイスやメッセージをください。
コシーニャ:色々な情報がたくさん入っている、それが私たちの映画のスタイルです。前作「オオカミの家」は、映画のセットから作るプロセスやどんな素材で作っていくのかも見ながらストーリーを楽しむような作品だったのに対して、今回は、映画の中に込めた私たちのカオス、考え方のプロセスを楽しむような映画にしたつもりです。ですので、前作とはまた違う、私たちのエッセンスを見ていただけるでしょう。映画は終わりのない芸術だと思っています。ですから、その理解しきれない、終わりのない内容を楽しんでほしいですね。
レオン:私からのメッセージは、“頭でこの映画を理解しようとは思わないでください”です。例えば、ドライブをしていたら、不思議なトンネルがあったので、そこの中に入ってみました。そうしたら、奇妙な遊園地がありました……そんな感じで見ていただけるとよいかと思います。
「ハイパーボリア人」
「ハイパーボリア人」
(C)Leon & Cocina Films, Globo Rojo Films

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