「劇場版モノノ怪 唐傘」が完成! “薬売り”神谷浩史が手ごたえ十分「劇場で観るにふさわしい映像」
2024年7月7日 17:59
「劇場版モノノ怪 唐傘」の舞台挨拶付き完成披露試写会が7月7日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、声優の神谷浩史、黒沢ともよ、小山茉美、山本幸治プロデューサー、中村健治監督が涼やかな浴衣姿で登壇した。
本作は、2006年にフジテレビの「ノイタミナ」枠で放送されたオムニバスアニメ「怪 ayakashi」の一編「化猫」から派生し、07年にテレビアニメシリーズとして放送され話題を集めた「モノノ怪」の劇場版。謎の男・薬売りが、情念や怨念が取り憑いたモノノ怪が引き起こす怪異を鎮める物語で、劇場版では男子禁制、豪華絢爛な大奥を舞台に完全新作エピソードが描かれる。
テレビアニメシリーズの放送から17年の時を経て、クラウドファンディング支援者の力もあってついに完成した本作。中村監督は「支援の輪が広がったことによって、ビジネス、クリエイティブの面でもいろいろな方々が集まってくれた。作品が大きくなるきっかけをいただいた」と感謝しきりだった。
本シリーズは、CGと和紙テクスチャを組み合わせた斬新な手法で生み出された絵巻物のような唯一無二の世界観と、主人公・薬売りのミステリアスな魅力が、視聴者を惹きつけてきた。劇場版で薬売り役を演じた神谷は「1カ月くらい前に、監督が『これからまだ1300カットくらい直します』とおっしゃっている段階のものを観た」そうで、「本作は全部で、2600カットある。90分のアニメーションのカット数としては、ちょっとどうかしている」と製作陣の並々ならぬこだわりに、思わず苦笑い。
「取り憑かれたように3回、連続で観ました。1回目は映像に圧倒され、2回目は細かいところまで観ようと思ったのに、いつに間にか時間が過ぎていた」と濃密な内容に驚きを隠さない。「3回目は、台本を見返しながら鑑賞して。そこで、台本にありとあらゆる答えが詰まっていることに気づいた。本作に携わって、僕はまだまだ台本の読み込み方が甘かったと思い知りました」と声優としても刺激をもらったという。
「アフレコはスムーズだった」と振り返る中村監督は、神谷の薬売り役に「深く納得がいっています」とにっこり。「薬売りさんには変身する前と変身後の姿があって。変身した後の薬売りについて『特にイメージがないけれど、変えてほしい』と結構、適当なお願いをしてしまって」と笑いながら、「『まあ、本番でいいかな』と思っていたら、一発OKだった。ありがとうございました」とすばらしい演技を見せた神谷に謝意を示した。
またこの日は、主題歌「Love Sick」を担当したアイナ・ジ・エンドからビデオメッセージが到着。アイナは「色彩の展開の数の多さにびっくりしました。そしてなんと言っても、声優さんたちの命の声の吹き替えというのが、ものすごいなと思いました。画面で起こっていることなのに、目の前でささやかれているようなくらい、生々しい瞬間が多々あり、声優の方々のパワーを感じた」と惚れ込み、「『凛として時雨』のTKさんが楽曲を作ってくださいました。とてもキーが高くて大変なんですが、もしよかったら一緒に歌ってもらえたらうれしいなと思います」と願っていた。アイナのメッセージを受け取った中村監督は、「すごくいい曲が仕上がりました」とうれしそうに目尻を下げていた。
さらに七夕当日とあって、情念や怨念が取り憑いたモノノ怪が登場する作品の内容にちなんで、「情念を抱くほど切望する願いごと」をそれぞれが短冊に書いて発表する一幕もあった。神谷は「健康第一」と短冊につづり、「切実です。若干いま、鼻声です。お聞き苦しい美声を響かせています。“声優殺すにゃ、刃物はいらぬ。風邪のひとつも引かせりゃいい”という感じ。皆さんもお気をつけください」と実感を込めた。
シリーズの大ファンでもあるという黒沢は「モノノ怪Tシャツがほしい」と楽しそうに声を弾ませ、小山が「すべての邪気を祓い、この星を平和な星に」と壮大な願いを込める中、中村監督は「薬売りさんにたくさん会いたい!」と笑顔。「最大64本ある退魔の剣と同じだけの薬売りが存在する」と薬売りはひとりではないという設定があるそうで、「まだ全然、薬売りさんに会えていない。残りの人生をかけてなんとか…」とさらなる続編にも意欲をのぞかせていた。
七夕らしいイベントとなったが、最後に「劇場はとても好きな空間。作品を楽しむためだけの、贅沢な環境」と会場を見渡した神谷。「劇場で観るにふさわしい映像に仕上がっています。まず1回目は、圧倒的な映像に身を委ねて時間を過ごしていただければ」と呼びかけて、会場の拍手を浴びていた。
「劇場版モノノ怪 唐傘」は、7月26日全国公開。
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