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石井岳龍監督、27年越しの企画「箱男」ベルリンでお披露目に万感 永瀬正敏×佐藤浩市×浅野忠信にも感謝

2024年2月19日 10:44

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ワールドプレミアの模様
ワールドプレミアの模様
(C)Olivier VIGERIE

ドイツで開催中の第74回ベルリン国際映画祭で2月17日(現地時間)、石井岳龍監督が安倍公房の原作を映画化した「箱男」が、ベルリナーレ・スペシャル枠でワールドプレミアを迎えた。現地には石井監督を囲んで、永瀬正敏浅野忠信佐藤浩市が顔を揃え、ほぼ満席の会場から大きな拍手で迎えられた。

本作は、石井監督が27年前から映画化を熱望していた作品。当時、日独合作という形で実現しかけながら、撮影開始1日前に資金繰りの関係で中止になった因縁の企画だ。それだけに、ベルリン国際映画祭で披露することは、石井監督にとって特別な思いをもたらすものだったであろう。

画像2(C)Olivier VIGERIE

安倍公房から生前、唯一直接映画化を許可されたという石井は、原作に映像的な醍醐味をもたらしながら2時間に膨らませた。箱を被って暮らし、そこから世の中を観察している男(永瀬正敏)を主人公に、怪しい病院に勤める院長(佐藤浩市)と偽医者(浅野忠信)、看護婦(白本彩奈)を絡めて描く。この監督らしいダイナミズムに、原作のシュールなテイストが混ざった独創的な作品である。

安倍公房は、海外ではむしろ勅使河原宏により映画化された作品「砂の女」の方が知られているが、客席は老若男女が混ざった印象。エンドクレジットとともに温かい拍手があがった。

終映後には監督とキャスト陣を迎えてQ&Aが開催された。石井監督は開口一番、本作の27年間の旅路に触れ、「当時の脚本と本作の脚本はかなり異なります。原作は1973年が舞台ですが、むしろ今日、機が熟した、時代が本作に追いついたという気がします。安倍公房さんの素晴らしいところは、情報化社会が人間にもたらすアイデンティティの喪失を予言していたことです」と語った。さらに「原作は読者の数だけ解釈が異なる作品であり、読んだ人が箱男になる。自分も映画を観た人が箱男になるような作品にしようと思いました。また原作にある2つの謎、箱男とは誰か、そして原作のなかで唯一名前があるものの詳しくは書かれていない、葉子という女性についての謎を解明しようと思いました」とコメントした。

画像3(C)Olivier VIGERIE

一方、27年前の企画にすでに出演が決まっていたという永瀬と佐藤はそれぞれ、「27年経ったいま、この作品がこうして完成するのはとても稀なこと。それもドイツでワールドプレミアができるとは、なんとも言えない話で、石井監督の強い思いを感じます」(永瀬)、「わたしは今日、60歳半ばを迎えまして、当時のことはあまりよく覚えていません(笑)。ただひとつ明確に言えることは、原作で名前が出てくるのは看護婦の葉子だけで、他の者は記号にすぎない、そして(彼らがこだわる)メモ帳がアイデンティティのすべてになっている、この2つが強調されているのが今回の作品だと思います」(佐藤)と語った。

画像4(C)Kuriko SATO
画像5(C)Kuriko SATO

かたや本作で新しく加わった浅野は、「僕は27年前には入っていなかったので、偽医者という役がぴったりだと思っています」と語り、場内の笑いを誘った。

画像6(C)Olivier VIGERIE

石井監督は、「彼らは俳優というだけではなく、みなさんクリエイターです」と、彼らとのコラボレーションの創造性を強調。そして、「まだまだ話し足りないです」と、感無量の面持ちでワールドプレミアの興奮を噛みしめていた。(佐藤久理子)

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