本木雅弘、約10年ぶり民放ドラマで10キロ減量 平尾誠二と山中伸弥の友情物語を描く
2023年9月20日 05:00
俳優の本木雅弘が、11月11日午後9時からテレビ朝日で放送されるドラマスペシャル「友情 平尾誠二と山中伸弥『最後の一年』」に主演し、伝説のラガーマン・平尾誠二さんを演じることがわかった。本木が民放ドラマに出演するのは、約10年ぶり。平尾さんとノーベル生理学・医学賞を受賞した医師・山中伸弥氏役の知られざる友情物語を描く。山中氏を滝藤賢一が演じ、本木と初共演を果たす。
平尾誠二(本木)は、日本代表としても活躍した元ラグビー選手で、神戸製鋼コベルコスティーラーズ総監督兼ゼネラルマネージャー。日本代表監督なども歴任し、名実ともに“ミスター・ラグビー”と呼ばれた伝説のラガーマンだ。「2019年のワールドカップ日本大会を成功させたい」、そして「1試合でもいいから、東日本大震災の被災地・岩手県釜石市で試合を行いたい」と熱い思いを抱いていた矢先、彼を襲ったのは突然のがん宣告。普通なら狼狽するところ、持ち前の明るさとおおらかさで「なってしまったもんはしゃあない」と冷静に受け止め、病と闘う決意を固める。
そんな平尾を家族とともに支え続けたひとりの親友がいた。その人物は、2012年に「ヒトiPS細胞」の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した医師・山中伸弥(滝藤)だった。ラグビーと医学、まったく異なる分野で活躍する2人の出会いは、2010年に実現した雑誌の対談。意気投合したふたりは急速に親交を深め、やがて家族ぐるみの付き合いをする親友になっていく。
本作では、前向きに病と闘う平尾さんと、医師として治療法や病院探しに奔走し、最後まで親友に寄り添い続けた山中氏の友情、そして平尾さんの意志を尊重し、優しく見守り続けた家族の深い愛情を描く。
本木は「平尾さんを演じるというプレッシャーというか畏れ多さというか…正直、なかなか覚悟がつかないままクランクインを迎えました」と語った通り、撮影中も非常に悩み、迷って、苦しんだという。その姿を目の当たりにした滝藤も、「これだけの俳優さんでもこんなに苦しみながら、迷いながら、平尾誠二さんという人間を作っていくんだなという姿を間近で見せていただいて、すごく刺激を受けました」と明かす。
病に侵されていく様を体現するため、本木は撮影中に10キロ減量するなど、滝藤も感銘を受けた、壮絶ともいえる渾身の役作りで平尾さんに近づいていった。
また、山中教授を演じた滝藤も「世界的に有名な方なので、演じることは困難なチャレンジになるだろうと感じていました」と重圧を告白。しかし、「僕の言葉、リアクションはすべて本木さんによって生まれると信じて疑わなかったので、『僕は本木さんしか見ていません』というようなことも、本木さんにお伝えさせていただいたように思います」と、撮影を振り返っている。
脚本を手掛けるのは、「Dr.コトー診療所」(2003年)、「リエゾン こどものこころ診療所」(2023年)をはじめ、ヒューマンドラマの名手として名高い吉田紀子氏。大のラグビー好きとしても知られ、生前の平尾さんとも交流のあった吉田氏は、本木とタッグを組んだドラマ「君と出逢ってから」(1996年)で、本木の演じた主人公の名前を平尾さんから取って“誠二”にしたという逸話がある。主題歌は、松任谷由実の名曲「ノーサイド」に決定した。
ドラマスペシャル「友情 平尾誠二と山中伸弥『最後の一年』」は、テレビ朝日系で11月11日午後9時から放送。本木、滝藤のコメント全文は、以下の通り。
平尾さんを演じるプレッシャーというか畏れ多さというか…正直なかなか覚悟がつかないままにクランクインを迎えました。でも、初日の撮影で、平尾さんが1986 年の神戸製鋼入社以来、30 年間通い続けた灘浜グラウンドという聖地に立たせていただき、この作品に命が宿り始めた実感が湧きました。私自身はスポーツに疎いのですが、知れば知るほど、平尾さんの言う「人間の力というものの可能性」を夢見させてくれるのがラグビーなんですね。あのグラウンドにはそういった煌めきが散りばめられている感じがして、とても眩しく見えました。
「こんな男はもう出現しない。みんなで平尾誠二を分けるしかない」と評した方がいらっしゃるのですが、確かに自然体でありながら特異なオーラを放った姿はとても再現できるものではありません。私が演じたのも平尾さん晩年のほんの一場面に過ぎませんが、あのノーベル賞受賞者の山中さんとの交流の中で生まれた親愛ともいう友情を受けて、平尾さんは病を前にしても自然体を心がけ、最後まで魂を磨き続けて、その輝きを全うした方なんだなと感じます。現実を落ち着いて受け止め受け入れ、自分の中で静かにその局面を凌駕する…そういう内面のたくましさを滲ませられたらという思いで演じました。
今作で初めて知った平尾さんと山中教授の関係ですが、普段、冷静沈着に映る山中さんが、実はラグビー経験者で情に厚い方と知って新鮮な驚きがありました。 胸にたっぷりの情を抱えた方のイメージで、いつもジワっと瞳を潤ませ、心を寄せてくるお芝居が印象的な滝藤さんは適任だと思います。事実、山中さんが平尾さんに誠心誠意の伴走を繰り広げたのと同じく、自分にとっても滝藤さんの静かな包容力が響き伝わり、平尾さんを演じる中で大きな支えになりました。
そして、本当は秘めておくべき事かもしれませんが、実は今回、ご遺族さまのご厚意により、平尾さんが実際に愛用、着用されていた品々をいくつかお借りすることができました。大変恐縮しながらも袖を通させていただき、身に纏うと、これ以上にない大きな力が吹き込まれた思いがしました。物語の中で、家族、仲間に宛てたさりげなく深い愛情の込められたそれらの言葉は、正に平尾さんを通して発せられたものという気がします。淋しさも募りますが、このような形で平尾さんと共演できたことは、役者としてとても貴重かつ幸せな体験でした。
2023 年ラグビーワールドカップの盛り上がりを期待するのは勿論のこと、「友情」という作品を通して、山中さんと平尾さんの思いを皆さんで共有し、日本ラグビーが、より拡く深く愛されていくことを心より願っています。
中盤以降は辛く苦しいシーンが多かったのですが、本木さんはじめ笑顔あふれるキャストの皆様、藤田監督率いる優秀なスタッフの皆様のおかげで、最後まで心穏やかに作品と向き合うことができました。
そしてなんと、山中さんも撮影の見学に来てくださったんです。テレビで拝見していると、厳しい表情をしていらっしゃることが多い印象でしたので、ドキドキしましたが、目の前にいらした山中さんは、とても穏やかで謙虚な方で感動しました。
山中さんは世界的に有名な方なので、演じることは困難なチャレンジになるだろうと感じていましたが、本木さんにお会いしたら、その不安も吹っ飛びましたね。本木さんは憧れの俳優さんです。僕は学生時代から、そしてこの世界に入ってからも本木さんの作品を何本も拝見しております。本木さんとの撮影はとても幸せな時間でした。僕の言葉、リアクションはすべて本木さんによって生まれると信じて疑わなかったので「僕は本木さんしか見ていません」というようなことも、本木さんにお伝えさせていただいたように思います。
本木さんは現場ですごく悩みながら平尾誠二さんを構築されていたように思います。これだけの俳優さんでも、苦しみながら、迷いながら、平尾誠二という1人の人間を作っていく。その様を間近で見せていただき、感慨深く、とても刺激を受けました。そして食事制限をされ、とても短い期間で10キロ以上体重を落とされた姿を見た時は衝撃でした。絶句しましたよ。本木さんの平尾誠二さんにかける思いは壮絶でしたね。撮影のない日も食事制限は続くわけですから、四六時中平尾誠二さんでいるわけですよ。だから僕も“休みの日も山中さんでいなきゃいけない“という、使命感といいますか、プレッシャーといいますか、凄まじかったですよ(笑)。そういう意味でも、すごくいい影響を与えていただきました。
現在、「ラグビーワールドカップ2023」が盛り上がっているところですので、僕も全力で楽しみたいです。そして、多くの子どもたちがラグビーを好きになり、始めてくれたら最高ですね。この作品が、その後押しをできたらうれしいです。
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