「怪談新耳袋 暗黒」今回だけで終わらずに再びシリーズ化して、どんどん新作を作っていってほしい!【人間食べ食べカエルのホラー映画コラム】
2023年8月6日 22:00

Twitterのホラー界隈で知らぬ者はいない人間食べ食べカエル氏(@TABECHAUYO)によるホラー映画コラム「人間食べ食べカエル テラー小屋」では、“人喰いツイッタラー”が、オソレゾーンで配信中のオススメ作品を厳選し、その見どころを語り尽くす!
今回は、数々のジャパニーズ・ホラー作品に多大な影響を与えたシリーズの10年ぶりとなる新作「怪談新耳袋 暗黒」をご紹介します。
日本が誇るホラードラマ「怪談新耳袋」。これは、BS-TBS(旧BS-i)で放送された作品である。現代の怪談を集め、百物語形式で掲載した書籍「怪談百物語 新耳袋」を原作としている。その最大の特徴は、1話あたり5分という超短編形式だ。この短い時間に恐怖をギュッと詰め込んで、数話ずつ畳みかけるように放送する。観る側に恐怖耐性が付く前に、次から次へと新たな恐ろしい事象を打ち込まれる体験は、他の映像作品では中々味わえない。こんなに時間が短いと、内容がかなり制限されてしまうのではないかと思うが、実はその逆で、短編だからこそ自由に作ることが出来る。

清水崇監督や三宅隆太監督などといった様々な監督が参加し、それぞれが創意工夫を凝らして臨んだ結果、凄まじくバラエティ豊かなエピソードが揃うこととなった。この幅広さも、新耳袋の魅力の一つだ。ガチで怖い心霊譚から、少し不思議な話、コミカルな話、2~3話にまたがる拡大エピソード等々……。とにかく色んな作風の話が楽しめるので、連続で見続けても全く飽きないし、むしろ、早く次を! という気分になる。
2003年に第1シリーズが放送されて以降人気を博し、第2~第5シリーズ、複数のスペシャル回、そして劇場版なども作られた。好きなエピソードは沢山あるが、中でもお気に入りなのは、赤い人が玄関の上の窓から覗いてくる様に鳥肌必至の「訪問者」、修学旅行先の宿で高速お辞儀をする幽霊に襲われる「正座する人」、黒い影がトラウマになる「ふたりぼっち」だ。いずれも、短編だからこそ成立した名作である。
長きに渡って数々の素晴らしい恐怖映像を生み出した本シリーズは、2012年に公開された劇場版「怪談新耳袋 異形」で一旦幕を閉じた。それから10年以上の月日が経ち、なんと2023年に再び復活するというニュースが飛び込んできた! これには本当に驚かされた。メチャクチャ嬉しい! 今回は「怪談新耳袋 暗黒」と題して、1話あたりの尺も約10分に変化。装いを新たにして、合計8話の恐ろしい話が語られる。だいぶ前置きが長くなってしまったが、この度、一足先に第1話「病院に来た子供」を鑑賞させて頂いたので、その感想を書いていく。

記念すべき復活第1弾となるこのエピソードは、タイトルの通り、病院を舞台に物語が進む。入院中の女子高生・葉山涼花(菅田愛貴)が不思議な少女を目撃する。着物姿で毬を持って佇む少女。その異質な姿に不安を覚える。やがて葉山は、少女に指をさされた人が亡くなることに気付く……。
1話にしていきなり、入院中の怪異遭遇というホラーの中でもトップクラスで厭なシチュエーションを放つ。謎の存在に指を指されると死ぬ、これは病院怪談でも良く聞く展開だ。それを不気味さ重視で映像化し、じっとりと嫌な汗が出る内容に仕上げてきた。なんといっても、人間の死を予告する子供の無機質な表情が強烈に印象に残る。かなり怖い。この子役には、幽霊を演じる天性の才能がある。そして、宣告されてから死ぬまでの時間が24時間と、期限が異様に短いのも理不尽さを加速させる。

「怪談新耳袋」と言えば理不尽な恐怖というイメージがある。各話が短いがゆえにイチイチ説明する暇がないという事情もあるのだろうが、結果的に全く理屈が通じない怪異が数多く誕生した。これがホラー作品として大正解だった。変に説明するよりも、全く分からないことの方がよっぽど恐怖を感じる。この話も、尺が増えた分、前よりも人間ドラマ部分は丁寧になっているが、死を告げる子供という怪異が何者かは一切説明せず、ただただ人を消していくだけの存在として描かれている。この部分に一番、新耳袋らしさを感じた。あっけない結末にもゾッとする。これこれ! この不安だけを残す終わり方はまさに新耳袋! 最初から全力投球をしており、今後の話も非常に楽しみになる1話であった。鑑賞前は正直なところ、期待半分、不安半分だったが、今は期待しかない。

この話を皮切りに、全8話の恐怖が襲い掛かる。今はYouTubeなどの配信サイトで数多くの短編ホラーが公開されているため、過去作を放送していた時よりも現代の方が、この作品のスタイルは受け入れられやすいのではないだろうか。これを機に再び人気を獲得し、今回だけで終わらずに再びシリーズ化して、どんどん新作を作っていってほしいと思う。それには暗黒を多くの人に観てもらう必要がある。というわけで、是非皆さん観てください! 令和に怪談新耳袋を侵食させましょう!!
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