ジョージ・ハリスン追悼コンサートの裏側をピーター・バラカンが解説
2023年7月30日 15:00
2002年に開催されたジョージ・ハリスンのトリビュートライブを映像化した「コンサート・フォー・ジョージ」のトークイベントが7月29日、東京・TOHOシネマズシャンテで行われ、ブロードキャスターのピーター・バラカン氏が参加。本作の裏側を解説した。
本コンサートは、2001年に惜しまれながらもこの世を去ったハリスンの音楽と人生を称えるため、ハリスンの妻オリビアと盟友エリック・クラプトンが中心となり、ハリスンが他界した1年後にあたる02年11月29日にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開催された。
コンサートの映像はこれまでDVDなどでリリースされていたものの、日本の劇場で公開されるのは今回が初。昨年、コンサート開催20周年を記念して海外で上映された高音質リマスター版で上映される。バラカン氏自身も「今までDVDで何度か観ていたんですけど、やはりこれだけの大人数が出ているコンサートなので、小さい画面では全部はとらえきれなかった。だから大きな画面で見て、こんなところにこんな人が出ていたのかという気付きもあったりして。そういうディテールがうれしいですね」と話す。
本作にはクラプトン、ポール・マッカートニー、リンゴ・スターら、錚々たるミュージシャンが続々と登場するが、そのトリを飾るのはジョー・ブラウン。「もしかしたら日本では馴染みのない人かもしれませんね」と語るバラカン氏は、「ビートルズがレコードデビューする前に『ピクチャー・オブ・ユー』というヒット曲があって。僕ぐらいの年のイギリス人で知らない人はいないくらいの人なんです。僕もシングル盤を持っていました」と解説。ブレイク前夜のビートルズは、彼のライブに前座として出演していたという。
また「これは(ビートルズ研究家の)藤本国彦さんに教えてもらって初めて知ったんですが」と前置きしつつ、「デビュー前に出演したBBCのラジオで、ジョージがジョー・ブラウンの曲を歌っている映像があったんですよ。デビュー前のビートルズでジョージが歌うというのは意外な感じがしましたし、しかもそれがジョー・ブラウンの曲というのが面白いなと思った」とそのつながりに感心している様子だった。
本コンサートにはイギリスを代表するナンセンスコメディ集団のモンティ・パイソンも、俳優のトム・ハンクスと一緒に参加している。「今回、コンサートでやったのが『木こりの歌』という彼らの中でも有名なコント。マッチョな職業をしているのに、トランスジェンダーだという男の話なんですね。これは60年、70年代ではものすごくタブーな話だった。人を笑わせながら、社会的にも画期的なことをやっていた集団でした」と切り出すと、「彼らがいたからイギリスの笑いも変わったし、保守的なBBCも変わっていった。音楽の世界でビートルズがいろいろと変えていったのと、ある種同じような存在でもあるんですよ」と説いた。
ハリスン自身、モンティ・パイソンの大ファンであり、映画プロデューサーとしてモンティ・パイソンの映画に資金援助をしたこともあった。「本当は(キリスト教をテーマにした問題作)『ライフ・オブ・ブライアン』という映画をEMIが製作することになっていたんですけど、クランクイン直前に腰が引けたのか、出資してくれる会社がなくなっちゃった。そこでジョージがハンドメイドフィルムスという映画製作会社をつくって、自腹であの映画を製作したんです。結果的にうまくいったけど、彼にとってはイチかバチかの冒険だった」と語るバラカン氏は、「今回の映画にも出ていた(モンティ・パイソンの)エリック・アイドルは『史上最も高い映画のチケットをジョージが買ってくれた』と。パイソンらしいコメントです」と笑いながら付け加えた。
そしてその後も、盟友クラプトンをはじめ、本作に登場する実力派ミュージシャンたちの素顔など、バラカン氏ならではの豊富な知識をもとに解説。会場に集まった観客も熱心に耳を傾けていた。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。