「東リベ2」は映画業界の重要な指標になる? 必見の1作「血のハロウィン編 決戦」興収の行方【コラム/細野真宏の試写室日記】
2023年7月1日 07:00
映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)(文/細野真宏)
今週末6月30日(金)から「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 決戦」が公開されました。
一言でいえば「必見」と言えるほど面白い。良く出来た作品だと思います。
そして、集中力が持続できそうな場合は、前編に相当する「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 運命」(公開:4月21日)と“一気に鑑賞する”ような日程を組めると、なお良いと考えています。
それは、以下のような実体験が大きく関係しています。
私は、「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編」の試写を、「運命」と「決戦」を最速で一気に鑑賞できるタイミングで臨みました。
ただ、その時に両作品を通して見た感想は「う~ん、面白いのかどうかイマイチ判別できない」といったものでした。
というのも、他の仕事の関連で睡眠不足が続いていて、思考力が落ちていたりと、あまり映画に集中できていなかったことが関係しています。
そのため、「これはリベンジしないといけない」と考え、もう一度“連続で見直す”ことを決心しました。
その後、「決戦」の試写鑑賞を再調整。その試写の前日、丸の内ピカデリーに駆け込み、「運命」を見返すことにしました。
映画館では、試写とは異なり、上映後にキャストのトークコーナーの映像があったりと、「決戦」への導線が上手くできていました。
そして、満を持して「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 決戦」を再鑑賞したのですが、文句なしに面白い作品だったのです!
最初に試写で「運命」と「決戦」を連続で見た時には、「上映時間が前編90分、後編96分であれば、3時間映画にすることも可能か?」と考えたりもしていました。
ただ、改めて2作品を見直してみると、これは「運命」と「決戦」の2部作に分けることが正解だったと確信しました。
というのも、タイムリープに加えて、カギを握る新キャラクターも増えるため、前編の「運命」で“情報を整理すること”が必要不可欠だったからです。
そのうえで、後編の「決戦」でキャラクターたちがぶつかり合うという構造が、作品の魅力を最大限に押し上げている。トータルでの面白さが相乗効果を上げているのです。
あらためて「東京リベンジャーズ」という作品において「血のハロウィン編」というエピソードが人気になっていることに納得できました。
では、本作の興行収入はどうなるのでしょうか?
まず、2021年に公開された「東京リベンジャーズ」は、同年公開作品において「実写映画の動員ランキング年間1位」(ハリウッド映画も含む)となり興行収入45億円を記録しました。
そのため、前編となる「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 運命」の興行収入は、通常の「続編8掛け」を適用して、興行収入36億円を簡易的な目途と考えていました。
ところが、先週末の6月25日時点で興行収入25億6472万8850円と、「5.7掛け」の状態になっているのです。
これには、大きく2つの要因が考えられます。
1つ目は、後編の「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 決戦」へと続く“壮大なイントロ的な作品”なので、単体の作品としての“強度”が弱かった点。
2つ目は、2021年に公開された「東京リベンジャーズ」が社会現象的な盛り上がりのピークだった可能性。これは、現時点では原作マンガが連載終了を迎えているなど、同コンテンツへの関心が薄れつつある可能性があります。
特に2つ目が大きな要因ですが、これは「キャストらの作品にかける熱量の高さ」を目の当たりにしていると、心のどこかで認めたくない気持ちがありました。
ただ、結果は認めないといけないのでしょう。
一般に、前編を見ていないと後編を見ない確率は上がります。本作の興行収入は、通常の「続編8掛け」で20億5000万円くらいが目途になりそうです。
ところが、本作における重要なキャラクター・場地(ばじ)を演じた「永山絢斗が起こした事件」で、先が見通しにくい状況になってきています。
本来であれば、前編を超えるような盛り上がりをみせる作品で、リピーターも増え、興行収入が前編を上回る可能性も高かったと思います。
以上のように、非常にパラメーターが多い中、人がどのように動くのか。「今後の映画業界」にとっても「重要な指標となるような作品」になってきています。
個人的には、映画の完成度を考えると、何とか興行収入20億円は死守してほしいと考えます。
原作マンガにはまだ“続き”があります。状況的にこれが最後の実写化になるのかもしれませんが、キャストやスタッフの熱量がどこまで世の中を動かせるのか大いに注目したいと思います。
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