「マッド・ハイジ」脚本家は警察官だった 副業でハイジをマッド化→警察を解雇→裁判沙汰に【情報量多すぎ】
2023年6月10日 09:00

名作児童文学「アルプスの少女ハイジ」を大胆にアレンジし、R18+指定のエログロバイオレンス描写を満載にしたB級エクスプロイテーション映画「マッド・ハイジ」に関する衝撃的な裏話を、映画.comが入手した。さまざまな観点からスイス本国より“お叱りを受けている”同作だが、脚本家のひとりはなんと警察官。しかも、本作の脚本を担当したことによって“解雇”されていた。
幾度となく映像化されてきたヨハンナ・シュピリの児童書「アルプスの少女ハイジ」。このスイスがほこる名作を、同国出身の監督とプロデューサーがB級エログロバイオレンスバージョンにアレンジ。“スイス映画史上初のエクスプロイテーション映画”となった。
配給会社は、R15になるよう修正を入れようと試みたが、過激なシーンが画面一杯に本編で随所に繰り広げられているために、修正を断念。世界19カ国538人の映画ファンによるクラウドファンディングで、約2億9000万円もの資金集めも話題を呼んだ。

チーズ製造会社のワンマン社長にしてスイス大統領でもある強欲なマイリは、自社製品以外のすべてのチーズを禁止する法律を制定。スイス全土を掌握し、恐怖の独裁者として君臨した。それから20年後。アルプスに暮らす年頃のハイジだったが、恋人のペーターが禁制のヤギのチーズを闇で売りさばき、見せしめにハイジの眼前で処刑されてしまう。さらに唯一の身寄りであるおじいさんまでもマイリの手下に山小屋ごと包囲されて爆死。愛するペーターと家族を失ったハイジは、邪悪な独裁者を血祭りにあげ、母国を開放することができるのか!?

とにかく設定がぶっ飛んでいる本作。製作中にはさまざまなトラブルがあったという。
一つは、衣装問題だ。映画の内容に反対する人々が伝統的な衣装を売る店に対し“「マッド・ハイジ」に衣装提供をしないように”という通達をしたという。結果「マッド・ハイジ」チームは、劇中衣装を独自にデザイン&制作することになった。プロデューサーのバレンティン・グルタートは、こう語る。
「僕らのやっていることがどうしても理解できなくて、この映画に強く反対する人たちが一定数いたんだ。おそらく彼らは誰もこの映画が成功したことを知らないんじゃないかな」

さらに、裁判沙汰にも発展している。
脚本家のひとりは、自身の自由時間を使い、副業として本作の作業に参加していた。そこで生まれた脚本をベースに「アルプスの少女ハイジ」とはかけ離れた“過激なティザー予告編”が解禁。やがて脚本家が務めていた“ある職場(=本業)”のボスが、その映像を観ることに。ボスが映像を確認した後、脚本家は突如解雇されてしまう。


“ある職場”とは、なんとチューリッヒ州警察。
解雇の理由は「このような映画にかかわる人物は警察の管理職にふさわしくない」というものだったという。そんなことが許されるわけはない……プロデューサーのバレンティンは怒りをあらわにした。
「本当に許せないことだよ。だって彼らは脚本を読んでもいないのに、ティザー(予告)を観ただけで彼を解雇したんだ」

最終的に彼らは、チューリヒ州警察を訴えることに。脚本家は“違法に解雇された”という判断となり、チューリヒ州警察は彼に大金を払うことになったようだ。
(C)SWISSPLOITATION FILMS/MADHEIDI.COM
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