松本まりか、ドキュメンタリー映画で求められたのは「地球の泣き声」 三島有紀子監督「東京組曲2020」予告公開
2023年4月7日 18:00
三島有紀子監督が、役者たちが過ごしたコロナ禍の日々をとらえた自身初のドキュメンタリー映画「東京組曲2020」の予告編が公開された。あわせて、“泣き声”を担当した松本まりか、三島監督のコメントも到着した。
全世界を揺るがした新型コロナウイルス。2020年1月に日本で最初の感染者、2月には死者が出たことが発表され、不穏な空気が流れ始めた。4月7日にコロナ対策の特別措置法(特措法)に基づく緊急事態宣言が初めて発令されると、人々の生活は一変。都道府県知事は飲食店やスポーツジム、映画館やライブハウスなど幅広い業種に休業要請を出し、全国的かつ大規模なイベントは中止や延期などの対応が求められた。そのなかには、映画の舞台挨拶、演劇公演、音楽コンサートなどもあり、エンタメ業界にとってもいまだかつてない事態となった。
本作は、三島監督が2020年4月22日に実際に体験したことを元に、20人の役者たちが各自撮影、その映像全体を三島が監修して一緒に作り上げたドキュメンタリー。NHK在籍当時はドキュメンタリー番組を手掛けていた三島監督。NHK退社後、初のドキュメンタリー映画となった。
「明け方(朝4時)に女の泣き声がどこからか聞こえてくる」というシチュエーションをすべての出演者共通の出来事として撮影。その女の泣き声は事前に録音し、8分にも及ぶその声を実際にイヤホンで聞いてもらい、その時に自然と湧き上がってくる感情の動きやリアクションが記録されている。
松本は「三島監督のオーダーは『地球の泣き声が欲しい』でした。次元が違いました。もう私は空っぽになるしかないと思いました。空っぽのこの身体を預けて、三島監督の求める声まで連れて行ってもらう」と振り返る。
松本「最初に私が発した個人的なひとりの女の泣き声から、地球の泣き声というものに至るまでを三島監督の発するその優しく深く温かく鋭い声(演出)だけに集中する。あの時その声だけが私の世界でした。情報に溢れ、何が正しく何を信じればいいのかわからなくなるこの世の中で、何より演技をする上で、この体験が教えてくれたものは計り知れない」
一方、三島監督は「泣き声をやってもらうとしたら松本さんしかいないだろう、きっと彼女だったらこの趣旨を理解してくれるはずと思いお願いしました」と振り返る。
三島監督「『誰かの声ではなくみんなの声で、そこには様々な感情があるはず。単に悲しいだけではなく悔しい人もいるだろうし、肉親を亡くした人や仕事がなくなった人、会いたい人に会えない人、政府のやり方に対する怒りを持っている人……そうした多様な感情がプロセスの中で見えてきてほしい。そして、その泣き声を聞いたときにみんなから何が生まれるかを引き出したい』というお話をしました。それを聞いた松本さんが『寝転びながらやっていいですか』と提案してくれて、地面に這いつくばりながら慟哭に近い悲しみや怒り、誰かが横にいてくれた時の泣き方までの長いプロセスを見事にやって下さいました。松本さんの泣き声が出演者20人の役者たちにどのような感情を生んだのか、ぜひスクリーンでご覧ください」
「東京組曲2020」には、荒野哲朗、池田良、大高洋子、長田真英、加茂美穂子、小西貴大、小松広季、佐々木史帆、清野りな、田川恵美子、長谷川葉月、畠山智行、平山りの、舟木幸、辺見和行、松本晃実、宮崎優里(※「崎」はたつさき)、八代真央、山口改、吉岡そんれい(五十音順)が出演。5月13日に公開。
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