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【「ソウル・オブ・ワイン」評論】本物とは何かを味わうことができる、ワインへの愛で満たされたドキュメンタリー

2022年10月30日 16:30

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「ソウル・オブ・ワイン」
「ソウル・オブ・ワイン」
(C)2019 - SCHUCH Productions - Joparige Films - 127 Wall

映画を見ていて、こんなにもワインが飲みたくなったことはない。それは世界最高峰と言われる、1本数百万円も下らない高級ワインの代名詞であるロマネ=コンティをはじめ、ジュヴレ・シャンベルタン、シャンボール・ミュジニー、ムルソー、ヴォルネイなど、世界中の人々を魅了し続けるブルゴーニュワインを、筆者が飲んだことがないことも大きく起因している。しかし、手の届かない高級ワインを飲んでみたいという欲望をかきたてる以上に、このドキュメンタリーが、ワインへの愛で満たされているからなのだろう。

世界最高峰のワインを生み出すワイン愛好家の聖地、“神に愛された土地”と言われる、フランス、ブルゴーニュ地方。1年を通じて名だたる畑を守る生産者たちがワイン造りに魂を注ぐ。マリー=アンジュ・ゴルバネフスキー監督は、なかなか見ることのできない貴重な舞台裏、ブドウ畑と人間の何世紀にもわたる関係にスポットを当てている。そして、世代を超えてブドウ畑を守り続け、最高級ワインが生まれるプロセス、偉大なワインを追い求めて受け継がれてきた技と知恵を、四季を通して記録しており、“世界最高峰のワイン”の理由を知ることになる。

技と知恵が受け継がれてきたとはいえ、さすがに世界に流通させるためには自動化(機械化)されている工程もあるのではないかと思ったが、最初の畑の耕しから樹の剪定、摘み取り(収穫)、醸造、樽づくり、貯蔵に至るまで極力昔ながらのやり方で丹念に“魂を込めて”造られている。生産者や樽職人たちが土壌や生育環境といった自然の真理について、有名ソムリエや醸造学者たちがワインやその歴史について語る内容は実に深く、哲学的でさえある。そんな言葉とともに、四季を通してワインができるまでを我々は体験することになるのだ。

さらに、ゴルバネフスキー監督の眼差しは、どこか詩的で芸術的であり、ブルゴーニュ地方の自然を記録した映像は息を呑む美しさで、行ってみたいと思わせるほど。ワイン造りは大変な作業であろうが、伝統を受け継いできた生産者たちの表情は自信と喜びにあふれているように見え、まさに彼らのソウル(魂)を知れば、そんなワインを飲んでみたいと思わずにはいられない。終盤に、パリでビストロ、レストランを経営する日本人のオーナーソムリエ、オーナーシェフの二人が1945年もののジョルジュ・ルーミエを飲むシーンが秀逸だ。本物とは何かを味わうことができる作品である。

和田隆

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