「HiGH&LOW」なぜ沼落ちする? 人気の理由は“世界観”と“余白”、イジリやすい味わいも魅力に

2022年9月17日 09:00

「HiGH&LOW THE WORST X」は公開中
「HiGH&LOW THE WORST X」は公開中

人気バトルアクションシリーズ「HiGH&LOW」(通称ハイロー)と、不良漫画の金字塔「クローズ」「WORST」(原作:高橋ヒロシ氏 ※高は、はしごだかが正式表記)がクロスオーバーした映画の続編「HiGH&LOW THE WORST X」(読み方:「X」=クロス)。9月9日から公開され、SNSなどの口コミでは「HiGH&LOW」にどっぷり“沼落ち”したファンの熱い感想をよく見かける。

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キャストのファンもちろん、目の肥えた映画ファンからもその独特な世界観から「一度見ればハマる」と勧められた人もいるはず。シリーズ新作の公開を機に、なぜ「HiGH&LOW」は人気なのか、その理由を探っていく。

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「HiGH&LOW」とは、2015年からEXILE HIROが企画・総合プロデュースを務め、ドラマや映画、コミック、オリジナルアルバム、ドームツアーなど数多くのメディアやエンタテインメントを巻き込み展開させてきた巨大プロジェクト。

HiGH&LOW THE WORST」の続編となる「HiGH&LOW THE WORST X」は、SWORD地区最凶と呼ばれる鬼邪高校の頭・花岡楓士雄(川村壱馬)の前に、並み居る不良たちが立ちはだかる姿を描く。ドラマ、映画、スピンオフ含めると本作がシリーズ12作目となり、公開3日間の累計は動員17万6550人、興行収入2億6870万円を記録している。

■「全員主役」のキャラクター、感情が込められたアクション

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TwitterなどのSNSでは、俳優だけではなく「HiGH&LOW」に登場するキャラクターのファンを名乗る人や、キャラクターをイラスト化したファンアートを楽しむ人も多い。シリーズを通して「全員主役」を謳ってきており、名前やビジュアルが全員凝っているだけではなく、キャラクターの数がとにかく多いので、自分好みの“推し”が見つけやすい。さらに、「HiGH&LOW THE WORST X」には過去作で活躍した、上田佐智雄(志尊淳)、小田島有剣(塩野瑛久)らが再登場するなど、シリーズのファンを楽しませる仕掛けも用意されている。

キャラクターと共に毎回注目されているのがアクションシーンであり、映画好きからも「掛け値なしに素晴らしい」などと、クオリティの高さに驚く声が上がっている。シリーズのアクション監督は「るろうに剣心」のアクションコーディネーターを務めた大内貴仁氏が担当し、迫力の集団戦を生み出してきた。「HiGH&LOW THE WORST X」では、これまでアクション監督補として支えてきた鈴村正樹氏がアクション監督を担当している。

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HiGH&LOW THE WORST X」のマスコミ用の資料に掲載されている鈴村氏のコメントによると、「HiGH &LOW」のアクション部はまず脚本をもらうと、各シーンに出てくるキャラクターの心理を大まかに分析するそう。

「アクションって単なる動きじゃない。誰でも心に抱えている感情があり、戦う目的があるじゃないですか。膨大な人数を描くモブシーンこそ、どんなに大変でも一人ひとりの理由をきちんと抑えることが不可欠。今回の長いクライマックスでは、その積み重ねがじわじわ効いていると思います」(鈴村氏)

アクションの総量は前作より大きく増えているそうで、特に後半、天下井公平(三山凌輝)が率いる瀬ノ門に鬼邪高・鳳仙の連合軍が乗り込む長いパートでは、瀬ノ門内のあらゆる場所で壮絶なバトルが展開。それぞれの動きに感情が込められているからこそ、より胸に迫るシーンとなっている。

■プロデューサーに聞く ヒットのキーワードは“世界観”と“余白”

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最後に、シリーズを支えてきたプロデューサーの小川江利子氏のコメントからも人気の理由に迫っていく。ここまでブームが大きくなったことについて、小川氏は「立ち上げ当初から先々のプランや、挑戦したいことが明確にあり、長く時間をかけて育てていくべきプロジェクトであることは認識していました。が、ここまで多くの方に愛して頂ける作品になるとは……」と驚きつつ、シリーズに携わった全キャスト・スタッフ、そしてファンたちへ感謝を伝える。

映画ファンからも支持されている理由については、「私達はまだまだ若輩者で、多くの方に『HiGH&LOW』を楽しんで頂くためには、更なる努力と勉強が必要だとは感じていますが、強いて理由を挙げさせて頂くとしたら……」と前置きしたうえで、2つの理由を挙げる。

「1つ目は、完璧に創り上げられた世界観ではないでしょうか? 『HiGH&LOW』はドラマから始まったのですが、テレビ画面が小さく感じるほどの圧倒的なスケールで、美術・衣裳など、どんな細かい部分も一切の妥協を許さず、その世界を構築しました。それによって、俳優部の演じるモチベーションと目指す方向性が明確になった……というのもあるかもしれません。『HiIGH&LOW』は『全員主役』というワードを語っていますが、それは演者だけではなく、この世界を創り上げたスタッフさん達の『職人魂』のようなものも含めての表現だと思っています。

そしてもう1つは、良くも悪くも、完璧じゃない、“余白”があったところかもしれません。このSNSの時代に、ご覧になった方々がそれぞれに『HiGH&LOW』を持ち帰り、二次創作的に作品を楽しんでくださったことは、当初は予想していなかった嬉しい誤算でした。アーティストや出演者のファン以外の方も、いい意味で“イジリやすい作品”として『HiGH&LOW』を味わって下さっていることが、私達にとっては刺激であり喜びでもあります」

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さらに、小川氏はシリーズを通して「俳優がキャラクターを育てる」ということを体感したと明かし、「例えば、山田裕貴さん演じる村山良樹もそのひとつです。もちろん、ドラマseason1の登場時から強烈なインパクトを持ったキャラクターではありましたが、『行くぞテメェら!』は山田裕貴さん自身が生み出したセリフですし、村山も台本の枠を越えて『行くぞテメェら!を吠えるキャラ」にどんどん変化・成長していきました。キャラクターと演じる俳優の掛け合わせが、予想外の魅力を生み、その挑戦を自由に発信でき、寛容に受け止め、まとめ上げていく監督がいる。その現場そのものが『HiGH&LOW』の魅力だと感じています」と語る。さまざまな魅力が現場で掛け合わさり、それぞれが高め合える環境だったことも人気を高める大きな要因となったようだ。

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