柳楽優弥&有村架純が考える“未来”のこと 黒崎博監督と「映画 太陽の子」を語る

2021年8月15日 14:00

「映画 太陽の子」は公開中
「映画 太陽の子」は公開中

かつて存在した“日本の原爆研究”。その事実を背景に、時代に翻弄されながらも全力で駆け抜けた若者たちを描く「映画 太陽の子」(公開中)。知られざる史実にフォーカスした作品ではあるが、未来を信じ生き抜こうとする若者たちの姿は、今を生きる人々の心にも強く響くはずだ。主演を務めた柳楽優弥、共演の有村架純、そして黒崎博監督に本作の話を聞いた。

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柳楽が極秘任務に携わる京都帝国大学の科学者・石村修、有村が、修とその弟がほのかな思いを寄せる幼なじみ・朝倉世津、三浦春馬さんが修の弟で、戦地で心に傷を負った軍人・裕之を演じた。有村が主演を務めたNHKの連続テレビ小説「ひよっこ」や、現在放送中のNHK大河ドラマ「青天を衝け」で知られる黒崎監督が脚本も担い、日米の豪華スタッフが参加している。

――本作は、黒崎監督が10年以上前に広島県の図書館で手にとった“ある日記”が基になっているそうですね。

黒崎監督:考えに行き詰まると、大きな書店や図書館に行って、背表紙だけずっと見て歩くことがよくあるんです。その時に「広島県史」という分厚い本を手に取り、若い科学者の日記の断片を見つけました。京都大学で原子物理学を勉強していた方の日記の断片だったのですが、8月6日以前は毎日を一生懸命生きていることが伝わってきて、これを物語にしたいと思いました。

構想10年だなんて言うとすごく聞こえますが、すぐにはうまくいかなかったんです。テーマがテーマなので、昔はその部分にアレルギーを示す方が多くて難航しました。映像化まで10年以上かかりましたが、絶対に撮れないと思った時期もあれば、次第にやらないといけないと言ってくださる方も出てきて、受け取られ方も変化してきました。今思えば、10年は必要な時間だったのかもしれないです。

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――柳楽さん、有村さん、三浦さんのキャスティング理由を教えてください。

黒崎監督:この企画のゴーサインが出る前から、お2人と春馬くんに連絡をさせていただいて、まだ撮れるかもわからないなかで「やります」「やらないとダメです」と、3人が背中を押してくれました。

柳楽さんが演じた修は、科学者としての夢が膨らんでいて、とてもいい奴だけれど科学でいうと自分の力で何かを見つけたいという思いが強くて、時としてそれが狂気の方に進んでいく瞬間があるという難しい役。普通の人の中に秘めた狂気をどう演じてもらうかを考えてもらったとき、柳楽さんしかいないなと思いました。しかも、その表現は体を使ったわかりやすいものではなく、静かな狂気でした。お芝居でどうやって表現するんだろうって自分で書いていて思ったのですが、本番で見せてくれた柳楽さんはやっぱり素晴らしかったです。

柳楽:ありがとうございます、嬉しいです。黒崎監督は、修はみんなが共感しやすい主人公じゃないかもしれないとおっしゃっていて、確かに難しいなと思いながら演じていました。

黒崎監督:有村さんが演じた世津は庶民の女の子なのですが、作っている我々からしても、修や裕之から見てもリスペクトの対象になる。毎日をちゃんと生きているということは、この映画の中の男たちに欠けていることなので、日常を生きて明日のことを考えている世津は、僕も書いている間に尊敬すべき人だなと思いました。そういうのってセリフがうまく言えるとかではなく、存在としてそこにいてくれることが大事なので、それをやってくれるのは有村さんだなと、一方的に熱い思いを持っていました(笑)。

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――10年以上かかった企画なので、黒崎監督の思いも相当込められていると思います。柳楽さん、有村さんが現場で黒崎監督の熱量を感じた瞬間はありますか?

柳楽:僕は体力的に大変なシーンが多くて、山場が終わってまた山場のような撮影だったのですが、それでも黒崎監督のモチベーションはずっと変わらなかったです。黒崎監督のモニターの見方が好きでした。こうやって(前のめりの姿勢で)見ているのですが、そういう監督のエネルギーがみんなに伝染していてって、現場の熱量がキープされていました。

有村:黒崎監督は人柄がハンサムで、作品や役者に対して真摯に対峙してくださるので、自然と一緒についていこう、頑張ろうと思える方です。撮影では長回しをされるのですが、私たちのセリフが終わった後も回し続けていて、何か起きるんじゃないかっていうミラクルを待ってくださいます。私たちの可能性をさらに引き出そうと何テイクか重ねるときもありますし、細かい部分を確認して、一緒にセッションをしてくださる方です。

黒崎監督:有村さんには、何テイクか撮った後、僕が何か感じて現場に言いに行こうとすると「わかりました」って先に言われたことがあります(笑)。

有村:そのときは自分で「今のは違うな」と感じていて、そういうときは見透かされちゃうので、いらっしゃったときに「ですよね」って返したんだと思います(笑)。

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――裕之が戦地に戻る前の夜、3人で願いが叶うことを祈るシーンがあります。修と裕之の手を取る行動は、有村さんのアドリブだったと聞きました。

有村:あのシーンは裕之が戦地に戻る前の最後の夜で、もしかしたらもう3人で会えないかもしれないと思っている場面だったので、ただただ言葉を交わすだけだと物足りなさを感じました。もっとこの気持ちを伝えられないかなと考えたときに、アクションがあった方が伝わりやすいのかなと思いました。自分のなかで、“つながっていたい”という気持ちもあったんだと思います。

柳楽:手を握られて、安心したのを覚えています。そういうアクションがあることによって、美しいシーンになりました。

黒崎監督:そのシーンは見ていてハッとしました。撮り終わってみると、あたかも最初からそうなるべきシーンだったように感じました。手を握られた柳楽くんや春馬くんのリアクションもとっても素敵だったし、人と人が触れるということが、この物語にとってとても大事なんだと感じました。

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――本作を通して、観客にどのようなメッセージを届けたいですか?

柳楽:戦争をテーマにしてはいますが、懸命に生きた若者たちと家族の物語も丁寧に描かれています。僕たちがチャレンジしたことで、同世代やもっと若い方々にも見ていただきたいです。戦争を描いた作品を見ることで、学ぶことや成長することがでるのではないかと思います。そして、今を生きる人々が未来についても考えることができる、すばらしい意味を持っている作品だと思います。

有村:今、日常のいろんなことが奪われることもあるなかで、希望や夢を持っている子どもたちはどれだけいるんだろうと考えることがあります。未来へ希望を持つことが途絶えてしまうのは悲しいですし、もっともっと眩しい世界があることを知らない子どもたちがいることがもどかしいです。この作品をきっかけに、戦争もそうですが、未来についてみんなで考えていくことができたらいいなと思います。自分たちが今から起こす行動が子どもたちのためにも重要になる。少しでもそこに思いを馳せることができたらと思います。

黒崎監督:こういう質問のとき、お2人、そして春馬くんはいつもこの作品の本質をしっかり言葉にしてくれるのが心強くて、本当に嬉しいです。「生きていこう」ということを伝えるためにこの映画を作っているので、複雑なことをはらんだ物語ですが、そこが伝わるといいなと思います。そして、キャストの皆さんを本当に誇りに思います。

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(映画.com速報)

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